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自作自演の無双能力者  作者: てんやもの
第一章 幼少編
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004「ラウ五歳 武道を始めました」



 五歳。


 今日から僕は父ロイの指示で『武道』を習うこととなった。


 ちなみに『武道』とは、格闘技とか体術のことを言っているらしい。


 『武道』は国の中でもいろいろと種類があるらしく、また、他の国にも同様にその国独自の『武道』があるそうだ。


 そして、父ロイはこの『武道』に特に精通しているとのことで、剣術は普通くらいの腕前らしいが『武道』においては、この国の師範代レベルと言う。実際、目の前で長男のフィネスに稽古をつけているのを見ているが、確かにロイの動きは只者ではなかった。


 三歳の頃からずっとステータス値は年相応のステータスで設定しているが、その状態では二人の動きはまったく捉えられなかった。それだけロイだけでなく、フィネスも初等部の四年生……九歳にしては規格外の動きをしていた。


 にも拘らず、ロイはさらにそのフィネスの遥か上のレベルなんだということが『敏捷性』のステータスを一旦『フルコンプリート状態』に戻してようやくわかった。フィネスのするどい突きをロイは直前で余裕でかわしており、しかも、打撃を入れてはいないがフィネスの突きをかわした一瞬で、四発もの寸止めをフィネスに行っていた。


 しかし、あまりに速すぎるからだろう……フィネスはそのロイの寸止めまでは気づいていないようだった。


「よし、では次! サイモン!」

「はい!」


 続いて、次男のサイモンの稽古が始まる。


 そこで僕はサイモンの意外な才能を知ることとなる。


 なんと、兄のフィネスよりも攻撃が早く、そして重い。


「驚いた? サイモンはね、父と同じ武道が得意でね、武道に関しては僕よりもサイモンが上なんだよ」

「へぇ~」


 素直に驚いた。


 サイモンのこの稽古の動きもそうだが、フィネスがサイモンのことをここまで手放しに認めていることが何よりも驚いた。


「サイモンは武道が得意なだけあって、少々、荒っぽい性格だからね。だから、勉強がよくできるラウのことが少し男の子として物足りないって思って、つい、ラウにちょっかい出したりするんだと思うんだ。まあ、髪の色のことがサイモンにとっては一番面白くないんだろうけどね。ほら、あいつ、母さんっ子だからさ……あんな荒っぽい性格のくせして、クス」

「い、いやいや……笑い事じゃないよ、フィネス兄さん。サイモン兄さんに何とか言ってよ~。ちょっと嫌なことがあったらすぐ僕に八つ当たりするんだからこっちはたまったもんじゃないよ~」


 僕はどこか他人事のように呟くフィネスに、こっちの身にもなってと懇願する。


「まあまあ、何とかうまくかわしてくれよ、ラウ。お前、頭良いだろ?」

「そ、それとこれとは別じゃないか~!」

「わかった、わかった……僕からも言っておくよ。ただ、サイモンはああ見えて面倒見の良い奴だからもう少しラウのことを認めてくれたら少しはラウへの接し方も変わると思うんだけどな……」

「へ? 面倒見の良い奴……? サイモン兄さんが?」

「ああ。初等部では後輩からも同級生からも面倒見の良い奴ということで人気者なんだぞ」

「うそだ~! あのサイモン兄さんが~! 絶対ウソだ!」

「本当だって! だから、サイモンが少しでもラウのことを認めてくれることができればラウへの対応も変わってくると思うよ」

「そんなの信じられない。あのサイモン兄さんが面倒見の良い奴なんてありえな……」


「ほう……ラウ。今、俺のことがなんだってぇ~~? ん~~?!」


「げっ! サイモン兄さん!?」

「ありゃりゃ、サイモン。もう稽古は終わったのかい?」

「いや、ラウが俺のことをごちゃごちゃ何か言っているな~と思ってさ……どうなんだよ、ラウっ!」

「ひえっ! い、いや、何も言ってないよ、サイモン兄さん!」

「ウソつけ! 今、俺の名前出していただ……」

「コラー、サイモン! まだ稽古は終わってないぞ! 戻ってこい!」

「あれ? まだ稽古終わってなかったの?」

「終わってないよ! でも、稽古中にラウが俺の名前を呟いてたからてっきり文句でも言っていると思ったんだよ!」

「な、なるほど……」

「コラー! サイモン!!」

「はーい! ちっ! ラウ、後で話があるから逃げんなよ!」


 そう言うと、サイモンは父のところに戻り、また稽古を再会した。


「ふ~、えらい目にあった……」

「いや~、災難だったね~ラウ」

「……フィネス兄さん」


 フィネスは言葉と裏腹にメチャメチャ良い笑顔をしていた。天然というかマイペースと言うか……。


「それにしても……」

「ん?」

「父さんとの稽古中で僕らの会話が聞こえていたなんて……やっぱりすごいよ、サイモンは」

「?? フィネス兄さん?」


 フィネスが急に真顔になりひとり言のようにそう呟いた。


「よし、サイモンはここまで! 次! ラウ!」

「あ……は、はい!」


 今度はサイモンの稽古が本当に終わったらしくロイがいきおい良く僕の名前を読んだので、僕はあわててロイのところへ向かおうと足を踏み出した。


 その時。


 フッ!


「!?」

「なっ……?!」

「ラウが……消えたっ?!」


 ロイ、フィネス、サイモンが突然目の前で消えた僕に呆然となった。


「し、しまった!」


 僕はさっき稽古でみんなの動きをしっかり見たいと思って、『敏捷性』のステータスを『フルコンプリート状態』のままだったことを忘れ、そのまま移動してしまったことに今更ながら気づいた。


 おかげで『敏捷性999状態』で移動してしまい、最初の一歩で稽古をしている庭を越え、門のところまで一瞬で移動してしまっていた。


「やばっ! ステータス戻さなきゃ……ウィンドウ、オン!」


 そうして僕はステータスを五歳の平均値に戻した。


 ステータスを戻した後、僕は三人にバレないようにそーっとさっきの場所に近い草むらに行き、そこから顔を出した。


「ご、ごめんなさい。急に、その~、おしっこがしたくなって、それでつい……」


 三人は目を見開いた状態で僕のことを見ていた。


「お、おい、ラウ……」

「はい、父さん?」

「なんだ、今のスピードは?」

「え? な、何のこと?」


 ロイがラウに問いただしている横から、


「とぼけるな! あんな一瞬でその草むらに移動するなんてありえないだろ! お前、今、何をやった!」


 と、サイモンが僕の胸倉を掴みながら矢継ぎ早に聞いてきた。


「そ、それは……」


 ま、まずい!


 どうしよう……これは言い訳が難しいぞ。どうすればいい?


 僕はこの瞬間、頭をフル回転させて考える。


 元々、三歳の頃から『知性』『体力』『防御力』だけはフルコンプリート状態にして生活をしていたのでそのフルコンプリートの知性を駆使して対策を練り上げた。


「じ、実は僕、すばしっこさだけは自信があるんだ……父さん」

「何? すばしっこさ?」

「ま、まさか、『敏捷性』……のことか?」


 ロイとサイモンが呟く中、僕は『敏捷性』のステータスを上げる。


 ただし、フルコンプリート状態だとあまりにも早すぎるのでこの国の武道家の師範代……父ロイと同レベルほどの数値である『100』を敏捷性のステータス値として設定した。


「……もう一度やるね」


 そう言うと、僕は三人の目の前で一瞬で姿を消し、そして、さっきの草むらから出てくる。


「どう? 父さん?」

「む、むう……」


 ロイはなぜかいろいろと考え込んでいるようでコメントが出てこなかったが、その横にいたフィネスとサイモンは、


「す、すごい! すごいじゃないか、ラウ! 一体、いつからだい? こんなすばしっこくなったのは?」


 フィネスが僕のところに来て喜びながら褒めてくれた。


「ラ、ラウーーーッ!!」

「サ、サイモン兄さんっ!?」


 サイモンはズンズンと僕に向かい、顔が触れるくらいの距離まで詰めてきた。


「な、なに? サイモン……兄さん」

「……なんでこのこと黙ってた?」

「い、いや……黙ってたって言うか……普段、フィネス兄さんもサイモン兄さんも父さんとの稽古が忙しそうだったし、見せる機会もほとんどなかったから……」

「……」


 サイモンがすごい形相で僕を睨み続ける。


 僕は殴られると思った。


 が、それは勘違いで、それどころか……


「やるじゃねーかよ、ラウ! 他にも何かできるのか!」


 意外なことにサイモンは笑顔で僕のことを認めてくれたのだった。


「あ、いや、すばしっこいだけだけど……」

「そうか! でも、戦いではそのすばしっこさはすごい武器だぞ! よし、父さんとの武道の稽古が終わったら俺が教えてやる! いいな!」

「え、あ、は、はい……」

「声が小さーーい!!」

「は、はいーー!!」


 そう言って、サイモンは僕の肩をバンバン叩きながらすごく嬉しそうな顔をしていた。


「ふふ……どうやらサイモンがラウのことを認めてくれたようだね。よかったね、ラウ」


 フィネスはサイモンとラウの後姿を見て微笑みながらそう呟いた。


 確かに、この日を境にサイモンからのイジメは無くなり、それどころか前よりもよくサイモンとしゃべったりすることが多くなった。


 さっきは自分の『特殊能力』のことを告白しないといけないのか内心ヒヤヒヤだったが、結果的にうまくごまかすことができただけでなく、サイモンとも仲良くなれたので本当によかった。


 そんなラウがホッとしている横で父ロイはラウのことをずっと見つめながら心の中で考えていた。


(今、見た動きは確かに速い。速いが今のは私の目で追えた。しかし、初見のやつはまったく見えなかった。私の油断か……?)


 ロイはいろいろ考えながらその後、ラウと稽古をする。


 ラウはすばやさこそ異常だったが、それ以外のパンチや蹴りは『からっきし』……というか五歳児の平均程度だった。ただし、素早さ……『敏捷性』の恩恵は相手の動きを見ることにも繋がっているので、ロイの攻撃をすべてかわすことはできていた。


「おお! やるな、ラウ!」

「ありがとうございます、父さん!」

「よし、今日はここまで! 明日から武道も教えるからな!」

「はい、わかりました!」


 ロイはラウを見ながらまた考える。


(なるほど。確かに素早いがそれ以外は他の五歳児と変わらないということか。それでもこの素早さは異常だ。レベル的にはこの国の師範代レベルと同等だ。これだけの敏捷性がこの年齢ですでに到達しているのであれば、攻撃力が無くても戦いで遅れを取ることはまずないだろう。それどころかこれから鍛えていけば今以上にもっと成長するぞ、この子は! こりゃあ、これからの成長が楽しみだ! すごいぞ、ラウ!)


 ロイは親バカな顔を全面に出しながら、ウキウキして屋敷に戻っていった。


「ラウ、すごいなお前! 父さんの攻撃を全部かわしたじゃないか!」


 サイモンが笑顔で僕の肩を叩きながら言ってきた。


「は、はい。な、なんとか……でも、攻撃はまったく当たらなかったけど……」

「いや、それでもすごいぞ! まあ、打撃や防御は俺が教えてやる! よし、稽古始めるぞ、ラウ!」

「え、は、はいーー!!」


 サイモンは強引に俺の手を取り、すぐにまた稽古を始めた。


「ふふ、ラウのやつ、すっかりサイモンにも気に入られたみたいだな。よかったね、ラウ……」


 こうして武道の稽古を始めたおかげでサイモンとも仲良くなり、また、『武道』のステータスもフルコンプリートとなる。結果、幼少期が終わる頃には『基本能力』のステータス値はフルコンプリートとなった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


名前:ラウ・ハイドライト

年齢:五歳

階級:ルミア王国傘下ハイドライト村の

   下級貴族の三男


[基本能力]

体力:999

敏捷性:999

攻撃力:999

防御力:999

魔法力:999

魔法量:999

知力:999


[魔法]

治癒魔法/1……[詳細]


[特殊魔法]

偽装カモフラージュ

ウィンドウ


[スキル]

なし


[武道]

ルミア王国一般武道/習得……[詳細]


[言語]

ルミア語/習得


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「今回の武道の稽古で『攻撃力』『腕力』ともにフルコンプリートと……。あと『敏捷性』は自分の動きだけでなく相手の動きの把握にもつながっているんだな~。ん? 『武道』の欄に『ルミア王国一般武道/習得』とある……つまり、ロイのやっている武道がこの『ルミア王国一般武道』ということなのか。いや~今日一日でいろんなことがわかってすごく勉強になったな~!」


 僕は今後の生活のことを考えて、以前と同じように『知力』『体力』『防御力』はフルコンプリート状態とし、『敏捷性』においてはとりあえず『100』で設定。また、今後は『敏捷性100』の状態で生活していくことになるので、その状態に慣れる為の練習を家族のいないところで必死に行ったのは言うまでもない。


 そんなこんなでピンチを乗り切った僕は、いよいよルミア王国魔法学園の初等部一年生として学生生活を送り始めることとなる。




 第一章 幼少編 完



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