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自作自演の無双能力者  作者: てんやもの
第三章 ルミア王国魔物調査/クシャリカ王国編
44/46

043「ラウ六歳(魔物調査) 劣勢……そして」



 七天の力は圧倒的だった。



「かはっ……っ!?」

「「父さんっ!!」」


『拳聖のロイ』…………ロイ・ハイドライトは七天の『神速のデメロフ』ことデメロフ・サンターナの連撃をまともに食らって吹っ飛ばされる。


 その様子をジェシカ・カトラが展開した防御魔法……『覆う繭コクーン』の中で見ていたフィネスとサイモンが悲痛な声を上げる。


「……どうした? こんなもんか、破壊のエミリオ? 二つ名の名が泣くぞ?」

「……くっ…………うぐっ!」



――また、七天の武神ガルニアスの攻撃に防戦一方のエミリオ・バクスターだったが、徐々にその攻撃の圧が自身の防御を越えて浸食し始めていた。


「魔族になった我々は圧倒的な力を得た。もはや、ライオウ、七武神など敵ではない」

「はあはあ…………こりゃ、まずい……ね」



――そして、ライオウ、マルスもまた、七天のトップ、ヴェルネド・アイリスに押されていた。


「これが、魔族となった我々の力だ…………もはや、お前たちの敗北は必然だ」


 ライオウ、マルスはヴェルネドの前で傷だらけになりながら言葉を聞いている。


「へっ! は、恥ずかしくねーのかよ…………そんな、魔族の力をありがたがっている自分をよっ!」

「……ま、まったくです。そんな力に喜んでいるなど、もはや、以前の……敵ながら畏怖を感じさせていた、あのヴェルネド・アイリスとは思えません、ね」

「ふ…………負け惜しみはよい。これが現実だ。見よ、周りの戦いを…………」


 周囲でぶつかり合っている皆もまた、七天に防戦一方またはかなりの苦戦を強いられていた。


「お前たちには二十年前、苦汁を飲まされた。今度は、お前らが飲み込む番だ」

「…………悲しいですが、あの時のヴェルネド・アイリスはもういない、これが現実なんですね」

「……………………目障りだ。死ね」


 ヴェルネドが魔力を高め、それを掌に凝縮させていく。


 そして、そのヴェルネドの攻撃を察知した七天は戦況から退避し始めた。


「お、おいおい、こりゃ…………マジでやばいぞ」

「ああ……あれだけの魔力の凝縮された魔法を放たれれば………………隊の全員がやられる。マルスっ! 防御魔法を最大出力で展開するぞっ!!」

「もうやってるってのっ!!」


 マルスとライオウは最大出力まで高めた上級防御魔法『覆う繭コクーン』を隊、全体に展開する。


 ヴェルネドの凝縮され高密度化した魔力が掌から浮かび上がり、それがどんどん大きく膨らみ始め、その大きさは直径十メートルを超えるまでの規模になっていた。


「な、なんて、高密度で巨大な魔力な、の…………」


 ジェシカ・カトラもライオウ、マルスと同じように防御魔法を展開していたが、ヴェルネドの巨大な魔力の前に絶望した顔を浮かべていた。


「こ、これは…………地形が変わるレベルだね」


 普段、冷静と余裕の塊であるトライアス・メルボーゼでさえも目の前の状況に驚愕の顔を隠さない。


「ミレーネ様っ!!」

「はいっ!」


 ライオウがミレーネに声をかけた。


「ラウ君の救出前に……ここで……このような事態になっていしまい申し訳ありません…………」


 ライオウが険しい顔で頭を下げながら言葉を続ける。


「彼ら……七天の得た魔族の力は圧倒的でした。私や七武神の力を持ってしてもその魔族の力には届きませんでした。ですが、ミレーネ様だけはお助けします! 私の後ろで最大の防御魔法を自身に展開してください! どこまで防げるかわかりませんが、何とかこの場は食い止めて見せます。ですが、その後は……おそらく我々はほとんど力が残っていませんが、私たちが七天の気をそらすくらいはできますので、その間にフィネス君、サイモン君、ライオネル君と共にこの場から撤退してくださいっ!」

「で、でも……私は国の王です。逃げるわけには…………」

「ミレーネ様! これは、『逃げる』のではありません! 未来への希望を託す『撤退』です! ミレーネ様やフィネス君といった将来のルミアを背負う優秀な若者がここで死ぬのは、人間が滅ぼされる事態をより進ませるだけですっ! だから、生き延びて……ここを生き延びて、いつか、七天を…………魔族を倒し、平和を取り戻してくださいっ! いいですねっ?!」


 普段のライオウとは違い、真剣でまっすぐな瞳で言及するその言葉はミレーネに覚悟の火を灯した。


「…………わかりました。何としてでもここから撤退して、必ず…………七天、魔族を倒しますっ!」

「…………お願いします、女王陛下」


 ライオウがやさしく、そっと言葉を呟く。


「……さあ、これで、この戦いの…………………………お前らの最後だ」


 ヴェルネドが巨大に膨れ上がった魔力を放つ構えに入った。


「……ミレーネ・クイーン・ルミア女王陛下…………ルミアの未来をよろしく…………お願いします」

「ラ、ライオ……………………っ!!!」


 ライオウに最後の言葉をかけようとしたミレーネだったが、途中で言葉を詰まらせる。


「?…………ミレーネ……様??」


 ライオウがミレーネの異変に気付き声をかける。


「あ、あれは……………………」


 ミレーネが遠くを指差すのに気づき、ライオウもその指差す方向に目を向けると、物凄いスピードでここに向かってくる『人影』をライオウも捉えた。


「!!! あ、あれは………………ラ……」


 その『人影』はあっという間にライオウやミレーネたちの前に立ち塞がった。


 それと同時にヴェルネドが魔法を放つ。


「爆砕魔法…………『殲滅の魔弾ザキリス・ヴェーゼ』っ!!」


 巨大な高密度の魔力の塊……『魔弾』が放たれ、それはラウに一直線に向かってきた。


「「ラウ(君)っ!!!!!!!!」」


 ドゴォオオオオォオオンン…………っ!!!


 ライオウとミレーネが叫ぶと同時に『魔弾』は爆音を上げ、ラウに直撃した。


「…………今、何やら人影のようなものがあったが、まあ、それもろとも吹き飛んだか」


 ヴェルネドが笑みを零しながらすべてが焼き払われている光景を目に焼き付ける為、その場で土煙が晴れるのを待っていた。


 しかし……、


「ふうー……正直、どうなるかと思ったけど何とか凌げたな。あ、でも、服が……」


 土煙が晴れたそこには、ライオウたちルミアの者が焼き払われ死体となっていた光景ではなく、先ほどの『人影』…………………………ラウ・ハイドライト六歳が破れた服を気にしながら、平然と、のほほんと、そこに立っている光景だった。


「なっ…………?!」


 誰もが、そして、誰よりも魔弾を放った本人が、その目の前の状況に理解が追いついていなかった。


「「「「「「「「「ラウ~~~~~~っ!!」」」」」」」」


「ん?……………………げっ?!!」


 ミレーネを先頭に、フィネス、サイモン、ライオネル、ロイ…………そして、マルス、ゾイド、アーカム、シャンディ、メルシーの『踊る道化師ダンシング・ピエロ』のメンバーがラウに飛び込んできた。


「ラウ君っ! ラウ君っ!! ラウ君っ!!!」


 ミレーネは嬉しさと興奮のあまり、ラウの名前を連呼しながらラウを思いっきり抱きしめていた。


「ミ、ミレーネ…………ちょ、ちょっと…………」


 ミレーネの熱い抱擁にラウはただただ戸惑っている。


「ラウっ! 何がどうなってんだよっ!!」

「ラウっ! す、すごいっ…………すごすぎるよっ!!」

「に、兄さんたちも…………来てたんだ」


 フィネスとサイモンがラウとミレーネを囲むように抱きしめている。


「お前、何だよっ! ちゃんと生きているじゃないかっ! 早く、報告にこいよ、馬鹿やろうっ!!」

「ライオネルも………………す、すまん」


 ライオネルが横で声をかける。


「おいおいおいおい、おいっ! 何だよ、今のっ!! 何であの『魔弾』を受けて平気なんだよ、お前はっ!! 意味わかんねーよっ!! でも、よかった…………本当に……無事でよかった」

「……マルスさん…………すみません……ご心配おかけしました」


 それからは同じように『踊る道化師ダンシング・ピエロ』のメンバーも声をかけるなどして、周囲にお構いなくワイワイ騒いでいた。


 まだ、七天の戦いが終わっていないにも関わらず、七天を気にすることなく…………いや、そのそぶりさえなく、ラウの登場にただただ大はしゃぎしている状況を、七天のメンバー、ライオウとマルス以外の七武神、そして、兵団総長、騎士団長らが呆気に取られたまま、その光景をしばらく眺める……という戦場らしからぬ光景が広がっていた。



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