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自作自演の無双能力者  作者: てんやもの
第三章 ルミア王国魔物調査/クシャリカ王国編
42/46

041「ラウ六歳(魔物調査) 皆の成長」



「……それでは、早速、今後のついてのお話を私のほうからします」



 ライオウがマルスに代わって、二日後のラウ救出と魔族討伐の話を始めた。


「クシャリカ王国へは二日後に向かいますが、クシャリカ王国との戦争、と言うわけでなく、今回はあくまで魔族討伐が目的なので、私と七武神、あと兵団総長と騎士団長、それに『踊る道化師ダンシング・ピエロ』の面子でクシャリカへは赴きます。ただし、魔族が残した書き置きには『クシャリカ王国の王の間に来い』と書かれていました…………ということは、クシャリカの国王や兵隊たちも仲間グルである可能性もあります。あらかじめ、調査もしましたがクシャリカ王国内部の動きは掴めませんでしたので、最悪の状況を踏まえて私たちの出発から三時間ほど時間をずらし、後発隊として第一から第七兵団まで、そして、ルミア王国騎士団が進軍する手筈となっています」


 ライオウは今後の予定を一気に説明した。


「ライオウさん……」

「ミレーネ? 何でしょう?」

「私も…………私も、その先発隊に一緒に帯同いたしますっ!」

「…………ミレーネ」


 ミレーネが意を決してライオウに進言する。


「それは…………個人的な理由ですか?」


 ライオウが厳しい表情でミレーネに問う。


「違います。私はルミア王国の王です。王たる者は民の先頭を歩くものだという理由からです」


 ミレーネが冷静に粛々とライオウの問いに答える。


「確かに、先代もそのようなお考えの方でした。しかし、ミレーネ…………あなたは王としてはあまりにも………………幼い」


 ライオウが厳しい表情を変えずに言及する。


「そうかもしれません…………ですが、それでも私は、王です。そして…………王が民を守る気持ちに年齢は関係ないと思います」


 ライオウはミレーネの言葉にハッとさせられる。


「…………ミレーネ……様」


 ライオウは思わず『ミレーネ様』と呟く。それはライオウが初めてミレーネに『様』付で名前を呼んだ瞬間でもあり……ミレーネを初めて『王』と認めた瞬間でもあった。


「でも、正直、ラウ君の心配も大きいけどね……エヘヘ」


 ミレーネが個人的な理由も隠さず、しかし、少し照れながら言葉にする。


「…………フッ。子供はある時から一気に成長することがあると聞きますが……………………いいでしょう、それではミレーネ様もご一緒に帯同願います」

「はい、わかりました」


 ライオウはミレーネの成長に微笑みながら答え、ミレーネもまた笑顔で返事をする。


「「「あ、あの、ライオウ様っ!! 私たちもミレーネ様と一緒に先発隊に帯同させてもらってもよろしいでしょうか!」」」


 今度は、フィネス、サイモン……そしてライオネルも先発隊への帯同を申し出た。


「いえ、さすがに君たちは帯同させられない。まだ戦闘経験も無い君たちの帯同を許可することはできない」


 ライオウが即答で答える。


「で、ですが、私たちは中等部へ飛び級しました。そして、その飛び級の理由は『軍事強化』…………でしたら、帯同するのが筋ではないのですか?」


 フィネスがライオウの言葉に諦めずに食って掛かる。


「確かに飛び級の理由は間違っていません。ですが、中等部に飛び級して『まだ半年』の君たちでは正直…………力不足です」


 ライオウははっきりと告げ、さらに続ける。


「……しかも、今回、相手は魔族です。人との本当の戦闘経験…………殺し合いの経験も無い上、人間以上に力もあり、且つ、相手を殺すのに躊躇のない魔族との戦闘に参加させることはできません」


 そう言って、三人に諦めるよう告げる。しかし、その時……、


「行かしてやりなよ、ライオウ様……」

「ネ、ネルさんっ!?」


 意外な人物からの、意外な進言にライオウが驚く。


「どのみち、魔族に歯が立たなければここにいる私たちも殺されるし、子供たちも戦闘に参加しなきゃ行けないことになるんでしょ? だったら、まだライオウ様や七武神のいるところに居てくれたほうが私は安心するわ……」

「…………ネルさん」

「それに、中等部への飛び級の話を認めたのは子供たちにちゃんとした覚悟を感じたからです。それからは私は子供たちがこういう事態が来た時には胸を張って送り出すつもりで半年間過ごしてきました。だから、私のワガママですが…………もし、ラウのことで気に病むところがあるのであれば、私のワガママを聞いてもらえませんか?」


 そう言って、ネルはペロッと舌を出し手を合わせて懇願する。


「………………ふう。まったく、やっぱりネルさんには敵いませんね」


 ライオウもまたネルに向かって苦笑いながら笑顔を返す。


「……わかりました。三人も帯同して構いません。ただしっ! 戦闘には参加せずあくまで自衛を最優先で参加してください、いいですね?」

「「「は、はい……っ! ありがとうございますっ!!」」」

「お礼はネルさんに言ってください……」


 ライオウは笑いながら三人にそう告げ、三人はネルにお礼をする。


「はい、苦しゅうないですっ!」


 それに満面の笑顔で答えるネル。


「それにしても母さん、ラウが魔物調査に行った半年前から変わりましたね」

「ホントだよな、なんか、すっかり『ヤンキー母ちゃん』って感じだよな!」

「そうね。あの時、母さんも隠し事はやめよう、って想うようになったからね。でも、こんなに変わって……………………ショックだった?」

「そんなことないですっ!」

「むしろ、今の母さんも大好きだよっ! かっこいいよ、母さんっ!!」

「あんたたち……………………ありがとう」


 ネルはフィネスとサイモンの言葉に感動しつつも少しホッとした表情を浮かべた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「それにしても気になるのが……」



 と、ここでマルスが皆が思っている疑問を投げ掛けた。


「クシャリカ王国が魔族に支配されていると考えたとき、じゃあ、クシャリカ王国の王族や貴族、国民は今どうなってんだ?」


 すると、ライオウが苦虫を潰した様な顔で言及する。


「……うむ。それなんだが、クシャリカ王国に調べを出したが調査結果は『もぬけの殻だった』という内容だった」

「もぬけの殻? どういう意味だよ?」

「そのままの意味だ。王国内には王族も貴族も平民も誰もいなくなっていた…………消えていたらしい」

「はぁっ?! な、なんだよ、それっ!!」

「……詳細は何もわかりません」

「……クシャリカでは今、一体何が起こっているんだ?」


 ロイがライオウに問いかける。


「……わかりません。ですが、一つだけわかっているのはそこに『魔族』がおり、『魔王』を復活させようとしている、そして………………ラウ君もいる、ということです。クシャリカがどうなっているのかわかりませんが、どういう状況だろうと今やるべきことは『ラウ君の救出』と『魔族の討伐』『魔王復活の阻止』ですっ!」

「「「「「はいっ(おうっ)!!」」」」」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



――現在



「……ネルさんもそうですが、他の皆もラウ君が魔物調査に出て半年しか経っていないのに強くなっていますね。個人的にはミレーネ様があそこまで心的成長を果たしていたとは正直驚きでした……」

「なんてったって、お前が自然と『ミレーネ様』と呼び名を変えたからな」

「まったくです。自分でもあの時はあまりに自然に言葉が出たのでビックリでした。まあ、それだけミレーネ様の成長を感じたからですが……」


 などと、先頭を歩いているライオウとマルスが話している中、列の真ん中ほどにいるミレーネとライオネルが話をしていた。


「ねえ、ライオネル君……」

「なんでしょう、ミレーネ様……」

「私なんか変なの…………」

「変?…………それはどういう……」

「私ね、これから危険な場所に行くことは十分理解しているつもりなんだけど、でも…………それ以上にラウ君に会えることの楽しさを感じるのっ!」

「……ですが、ラウはまだ囚われの身で、しかも魔族に捕らえられている状況ですので会えるかどうかは…………言いにくいのですが、まだ、わからない……というのが現実です」


 ライオネルが静かに口を開き返事を返す。


「わかってる……そんなことわかっているのよ、私も。でもね、ライオネル君、あなたも感じているんじゃないの?…………………………ラウ君なら魔族でも絶対にやられることなんてない、てことを」

「……はい。あまり言いたくはないですが、あいつは頭もキレるし、そもそも持っている能力自体が六歳の時点で『人間最強』に近いんです。そんな奴が魔族に簡単にやられるとは思えません」

「でしょっ! そうでしょっ!! やっぱ、ライオネル君はわかってるわねっ!!!」

「…………正直、認めたくありませんが」

「うふっ! 何か、ライオネル君が私よりもラウ君のことを一番理解しているようで、ちょっぴり……………………妬けるわ」

「…………やめてください、ミレーネ様。気持ち悪いです」

「ふふふ…………はい、はい」


 ライオネルはふてくされた顔をしたが、一瞬だけフッと笑ったところをミレーネは見逃さなかった。


 ミレーネたちよりさらに後ろにはフィネスとサイモン、そしてロイが歩いていた。


「父さん…………今更ですが、本当に七武神なんですね」

「なんだよ、本当に今更だな…………フィネス」

「い、いや、それは俺も同じ意見だよ、父さん…………。だって、こうして周囲に…………七武神が勢ぞろいしてるんだから」


 ロイとマルスを除く七武神が、フィネスとサイモンを周囲から囲むように従軍していた。


「まあ、そうか…………確かにお前らからすれば、そう感じるよ……な」


 ロイも周囲を見て、フィネスとサイモンの言葉に納得がいった。


「なかなか、かわいい子供ではないか、ロイ」


 と、七武神『知のトライアス』こと『トライアス・メルボーゼ』が声をかける。


「だろう? ウチの将来の七武神候補だっ!」

「なるほど。中々、親バカぶりだな…………相変わらずでホッとしたぞ、ロイ」

「……うるせー」


 ロイとトライアスはそんな軽妙なやり取りで会話を交わす。それを見ていたフィネスとサイモンの二人に、


「ふふ……あの二人は昔からあんな感じで仲良かったのよ」


 と、『癒しのイライザ』こと『イライザ・メリーナ』が二人に言葉をかける。


「「い、癒しのイライザ………………さんっ!!」」


 イライザに声をかけられると、二人はビックリし、つい、彼女の二つ名を口にした。


「まあっ! うれしいっ! 私…………まだ少しは有名なのね!!」


 イライザが悪戯っぽい笑みを浮かべながら答える。


「も、もちろんですよっ! 七武神の方々は今でも国民の英雄ですからっ!」


 フィネスが力強くイライザに言葉を返す。


「うふ、ありがとっ! でも、だからと言って私たちは何も偉いわけじゃないからさ、あまり、固くならないでね。もっと、気楽に『イライザさん』でいいからっ!」

「「は、はいっ!! い、い、イライザさんっ!!!」」

「あらあら…………ふふふ」


 気を遣ったイライザだったが、逆に二人を緊張させる結果となってしまった。


 皆、戦闘前に少しでもリラックスしておこうという気持ちでお互いがお互い、声を掛け合ったり、話をする者が多かった。


 すると。


 突然。


 国境の大きな詰所…………『クシャリカの番所』から、巨大な火炎魔法が襲ってきた



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