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自作自演の無双能力者  作者: てんやもの
第三章 ルミア王国魔物調査/クシャリカ王国編
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037「ラウ六歳(魔物調査) 七武神集結っ!」



『ラウ・ハイドライトを預かった。私はお前の知っている魔族の一人だ。魔宝具まほうぐ灯火ともしび再燃さいねん』を持って一週間後にクシャリカ王国の王の間に来い』



「……やられた」


 マルスが歯軋りしながら呟く。


「あの商人…………魔族だったのかよ」


 愕然とした表情でゾイドが呟く。


 他の皆もまた同じように状況をすぐに受け入れられないでいた。


「マルスさんっ! すぐにクシャリカ王国へ行ってラウ君を助けに行きましょうっ!! 少しでも早いほうがいいはずですっ! マルスさんっ!!」


 メルシーが必死にマルスに懇願する………………が、


「……ダメだ。俺たちだけで行ってもただ犬死するだけだ。魔族の力は圧倒的だ、それに加えてクシャリカには他にも何かいるかもしれない…………今の俺たちだけでは正直……………………力不足だ」


 マルスはそう言いながら今の状況でラウを救いにいけない自身の力の無さを痛感していた。


「……それにしても、どうしてその魔族はラウを誘拐するだけで、魔宝具は奪わなかったんでしょう?」


 

 アーカムが疑問を投げ掛ける。


 袋の中に保管していた魔宝具『灯火ともしび再燃さいねん』はそのままになっていた。


「確かに…………妙ね。皆、眠らされていたんだから魔宝具もついでに持っていってもいいはずなのに…………なぜ?」


 シャンディがアーカムの疑問に頷き、考える。


「……おそらく、七武神の一人、ジェシカ・カトラの力が必要だからだろう」

「どういうこと?」


 シャンディが聞き返す。


「村長が言うにはあの『灯火ともしび再燃さいねん』を使うにはカトラ家の直系の血筋の魔力が必要らしい……。村長はカトラ家の血筋ではあるが直系ではないらしくてな……分家の血筋であるようだが分家はあくまで魔宝具の管理をする役目だけだそうだ……」

「どうしてカトラ家の直系だけが扱えるのよ?」

「あの魔宝具はカトラ家の初代当主が作ったものらしくてよ、大きな影響を及ぼす魔宝具ということでカトラ家の直系のみが扱えるようにしたらしい……ちなみに、さっき村で村長にルミア王国に『七武神を集結させろ』って伝言をすでにお願いしてある。俺たちがルミアに着く頃には七武神は全員集まっているだろう……今はとにかく奴らと対抗できる『力』が必要だ。だから俺たちは一刻も早くルミアへ帰還するぞっ! いいなっ?!」

「「「「は、はいっ!!」」」」


 マルスの力でさえ及ばないという魔族、また、それだけでなくクシャリカ王国の実力者もいると考えられ、しかも、下手をすると『魔王』も復活しそれも迎え撃たないといけない、という…………大きな、とても大きな壁を皆、感じつつも、それは絶対に乗り越えなければいけない壁であると皆は自覚し、とにかく急いでルミア王国に戻り、約束の一週間後までにできることをやろう、という決意を胸に、皆はすぐに支度を終え、ルミアへと向かった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 マルスたち『踊る道化師ダンシング・ピエロ』は、本当なら一週間ほどかかる距離を、寝る間を惜しんで馬車を走らせ続け、わずか三日でルミア王国に到着していた。


 到着した皆はすぐに王宮へ向かう。


 城の門前の兵士らにもすでに話がいっているようですぐに王宮の間へと案内された。


「マルスっ!!」


 王宮の間にマルスたちが入るや否や、ライオウ・スピルデンが大きな声で声をかけた。


 意外な出迎えだっただけに、マルスだけでなく他の皆も滅多に大声を出さないライオウ・スピルデンに驚いていた。


「ラウ君が……誘拐されたってのは…………本当か?」

「ああ、本当だ。すまねえ……」

「あのラウ君が…………」

「商人に変装した『魔族』に眠らされてしまってな…………俺のミスだ」

「マルスっ!!」


 すると、横からラウの父親のロイ…………拳聖ロイ・ハイドライトが右拳をマルスの左頬にめり込ませた。


「ぐはっ!!」


 十メートルほど吹っ飛ぶマルス。


「お前、何やってんだ…………マルスっ! お前は……『暴虐のマルス』だろうがっ! 何、魔族ごときにやり込められてんだよっ!!」


 ロイが激しい口調でマルスに告げる。


「すまん、ロイ……俺のせいだ」


 マルスは素直に謝罪する。


「当たり前だ、馬鹿やろうっ!! だから、俺たちが力合わせてラウを助けるんだろうがっ!!!」

「…………ロイ」


 そう言ってロイはニッと笑顔になり、マルスに手を差し伸べる。


 マルスはそのロイの手を握り立ち上がる。


「すまない、ロイ…………」

「いいさ。大事なのは過去じゃない、次だっ! 俺たち七武神が力を合わせれば不可能なんて…………ないさっ!!」


 と、ロイはそう言うとマルスの後ろを指差した。


「お、おまえら…………」


 そこには、マルスとロイ以外の七武神が全員終結し立っていた。


「久しぶりね、マルス。相変わらず野蛮人丸出しの顔ね」

「大きなお世話だ…………ジェシカ」


 マルスに面と向かって大きな口を叩いたのは女性…………七武神の一人で

大魔法使いのジェシカ・カトラだった。


「あの人が…………ジェシカ・カトラ」


 メルシーが呟く。


「話は聞いてるわ、マルス。『灯火ともしび再燃さいねん』…………持ってるんでしょう?」

「ああ………………これだ」


 そう言ってマルスが『灯火ともしび再燃さいねん』を見せる。


「まさか、この魔宝具を使う時が本当に来るとは…………ね」

「??…………ジェシカ?」


 ジェシカはボソッと小さな声で呟いた。


 すると、ここで……、


「マルス、ジェシカ…………今は私語は慎め。事は一刻を争う。まずは今、マルス、お前の魔物調査の詳細を教えてくれ」


 と、ライオウが二人の会話と強引に止め、マルスに調査報告をするよう促し、マルスはすぐに報告を行った。


――報告後


 ライオウも七武神も皆、驚きを隠せないでいた。


「魔族…………あの二十年前の二人の内の一人、か」


 そう呟いたのは、七武神の一人で戦士の『エミリオ・バクスター』。


 顔はいつも怒っているような顔をして、マルスよりもひと回り大きな身体で、また派手な赤い鎧を身につけている為、何もしていなくても相手を威圧する外見をしている。


 だが、性格は外見とは真逆で温厚で優しい。


「おそらく、ここであの魔族の生き残りが『クシャリカ王国』の名を堂々と出してきたということは…………向こうはすでに準備が整ったということなのでしょう」


 と、皆に告げるように話をし出したのは、『癒しのイライザ』という二つ名を持つ七武神唯一の治癒士『イライザ・メリーナ』。


「……ふむ。つまりは逆を言えば、これは…………『罠』、かもしれないね」


 鋭い眼差しで話す甘いマスクの男は、七武神『知のトライアス』こと、魔法使い『トライアス・メルボーゼ』。


「…………まあ、割りかし、どうでもいいかな?」


 と、まるで話に関心が無いそぶりを見せる七武神の剣士『刹那剣のハヤテ』こと、『ハヤテ・タカマガハラ』。


「す、すごい…………初めてみたわ、七武神全員が集まってるとこ…………」


 意外にも、シャンディが『七武神集結』に一番、大きな反応を示していた。


「た、確かに……。マルスの兄貴もバケモンだけど、他の七武神もやっぱハンパねーほど強そうでバケモンそうだわ」


 褒めてるのかディスってるのか紛らわしい言い方をして興奮するゾイド。


「……圧巻」


 一年ぶりに一言だけで話が終わるアーカム。


「……何か、私たち場違いじゃないですか?」


 冷静に自分たちの状況を把握するメルシー。


 なんだかんだで『踊る道化師ダンシング・ピエロ』のメンバーも通常通りのノリでこの場に臆することなく立っていた。


「皆、聞いてくれっ!」


 ここでライオウ・スピルデンが皆に声をかける。


「事態は一刻を争う。マルスたちに接触した魔族が我々を呼び出した場所はクシャリカ王国。そこへは馬車で早くても一日半かかる。そしてすでに時は三日目。我々が準備する時間は残り二日弱だ! 各々が各々でクシャリカへの準備を済ませておいてくれ。おそらく、この戦いは厳しい戦いとなるだろう…………その為にも皆、残りの時間を有効に使ってくれ。では、二日後の夕方、ここで集合だっ! 解散っ!!」


 そう言うと、ライオウは軍隊の司令官のような男と一緒に早速、王宮の間から出て行った。



 いよいよ――ルミア王国とクシャリカ王国の戦争が始まる。



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