016「ラウ六歳(初等部一年生) 運動会の新たなる狙いと目立つ人物たち」
※ちょっと遊び要素を入れました。
※アネスタ・グビルネの紹介部分に下記内容を追記しました。
「ちなみに、魔法兵器製造の職人を目指してはいる者の持っている能力は高く、身体能力は勿論のこと、特に魔法の才能が非常に高く、その為、周囲からは『マルチプルガール』と呼ばれている。」
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『ルミア王国魔法学園初等部 運動会プログラム』
【あいさつ】
・学園長あいさつ
・生徒会長あいさつ
【競技】
1.二百メートルリレー(四名)
2.騎馬戦(五名)
3.四百メートルリレー(八名)
4.百メートル走(一名)
5.二人三脚(二名)
【表彰式】
・各学年の優勝クラス代表
【応援賞】
・一番目立った総合応援団長
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ということで運動会が開幕。
全学年が各クラスごとに分かれてクラス対抗で競い合うらしい。
例えば、僕の一組なら一年生から六年生までの一組が仲間となる。
そして、競技は各学年、クラスごとに行われる。つまり、最初の二百メートルリレーなら一年生から六年生までの各クラスの代表が走る。つまり、二百メートルリレーを一年生から六年生まで六回行うということだ。
そして、一番勝ち星を挙げたクラスが二百メートルの勝者となり、十ポイントが入る。種目は全部で五種目あるので最大五十ポイントを獲得したクラスが優勝となる。
ちなみにこの運動会――趣旨は新一年生と上級生との交流、親善を図るのがこれまでの趣旨だったが、今年からはもうひとつ、新たに生徒には知らされていない狙いがあった。それは『基本能力の高い子』や『飛びぬけた才能を持つ子』を中等部へ飛び級で進学させることだった。
この世界では中等部から大人扱いに近い権利と責任が得られる。
そしてもうひとつ、有事の際……つまり『戦争』や『紛争』といった軍事的な問題が起きたとき、中等部の生徒からは戦闘員として戦いに参加することが義務付けられている。
現在、ルミア王国では『軍事』を強化することが実は急務となっていた。
理由はひとつ――戦力の弱体化である。
具体的に言うと、先々代の国王であったウィンスター・キング・ルミア時代に活躍した英雄剣士・ライオウ・スピルデンやマルス・ヴィンテージなどの七武神たちは皆、その頃は十代から二十代の若者だった。
次の王でライオウたちと同世代のロマネシア・キング・ルミアが即位した後も英雄剣士と七武神が王国を太くて大きく揺るがない剣で支えた。
しかし現在――病に倒れ、四十九歳という若さでこの世を去ったロマネシア国王の後を継いだ一人娘のミレーネ・クイーン・ルミア女王陛下が誕生。年齢も四十代後半から五十代となった英雄剣士と七武神たちは今でも尚、現役でミレーネ・クイーン・ルミア女王陛下を支えている。
つまり、三代続けて王国を支えてきた『剣』だが、時間には抗えることもなく、先々代のウィンスター・キング・ルミア、先代のロマネシア・キング・ルミア時代が力の全盛期であり、やはり現在はそれよりは力が落ちているのが事実である。
とは言え、今でも強さは他に比べれば圧倒的な力を誇るが、同じレベルの強さを持つ若い世代が現れたときを王国は危惧していた。
その為の『軍事強化』として『初等部からの飛び級』を行い、ルミア王国の新たな『剣』を育てるべく、『人材強化』に乗り出したのだ。
それがこの運動会の『新たなる目的』であった。
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そんな内部の事情を知らない生徒たちは運動会を楽しんでいた。
まずは最初の第一種目である二百メートルリレーがスタート。
ちなみに今更だが、この世界の暦や季節、時間や距離、重量などの単位(お金は別)などは地球……主に日本とほとんど変わらない。行事ものに関しては日本とは別の文化っぽいが(『祭り』を知らなかったのが良い例)、でも、あまり日本の生活と大きな違いはない。
なので、運動会の種目内容も日本と似たりするのは至極当然である!
※【メタ】けっして作者が『あ、この世界の設定などなど書き忘れてた』というわけではありません。この物語は寛大な心で受け入れましょう。
――と、そんな何者かの都合はさておき。
二百メートルリレーはフィネス兄さんのいる三組の圧勝だった。
周囲の話からするとどうやら三組は優勝候補と言われているらしい。
理由は、この三組……一年生から六年生まで初等部の有名人が顔を連ねているとのこと。
例えば、今の二百メートルリレーで言えば六年生のリレーのスタートと二番手を『上級貴族』の『エイワス兄弟』が務めていたが、彼らは他を圧倒するほど足が速かった。
「ふん。これくらい当然だ」
「そうですね、さすがリチャード兄様です」
「おい、パーシー! お前もすごいことをちゃんと理解しろ! まったく、どうしてお前はいつも自分を卑下するのか……しっかりしろ!」
「ご、ごめん……」
エイワス兄弟――淡い緑の髪色で髪と同じ色の目をした双子の兄弟。特徴は顔が二人とも瓜二つ。違いは目の下のホクロの位置。右目の下にホクロがあるのが兄『リチャード・エイワス』で、左目下にホクロを持つのが弟『パーシー・エイワス』だ。
そして、五年生の部でもフィネス兄さんが率いる三組が圧勝。
そこには『アネスタ・グビルネ』という上級貴族だが、下級貴族であるうちの兄を尊敬している女子生徒がアンカーを務め、ぶっちぎりで五年生の部で一位となった。
「よっしゃー! ぶっちぎってやったぜーーー!! どうだ、すごいだろ、フィネス!!!」
「うん。さすがだね、アネスタ」
「だろっ! まかせておけ、フィネス。私が必ずお前を優勝させてやるからな!!」
「あ、いや、一人一種目だし、団体戦だから……」
「なるほど、そりゃそうだ! あっはっは!」
アネスタ・グビルネ――上級貴族。グビルネ家は過去の戦争……五大国頂上戦争にて王国を『魔法兵器製造』で支えた貴族。グビルネ家の血筋の者は皆、魔法兵器製造に携わる職人であり、アネスタもまた『魔法兵器製造』の職人を目指している。
顔は黒髪でポニーテルで目も黒色と日本人っぽい顔をしている女子生徒。性格は先ほどのフィネスとのやり取りでわかるとおりはっきり言ってガサツ。まあ、その辺が職人家系の血筋というものなのだろう……とはフィネス談。
ちなみに、魔法兵器製造の職人を目指してはいる者の持っている能力は高く、身体能力は勿論のこと、特に魔法の才能が非常に高く、その為、周囲からは『マルチプルガール』と呼ばれている。
三組は結局、一年生から六年生まですべてのクラスで勝ち星を上げ、二百メートルリレーを完全制覇して十ポイントを獲得した。
「す、すごいな、フィネス兄さんの三組は……」
「何だか濃いキャラクターが揃ってるな、三組は」
と僕とライオネルが盛り上がっている三組のテントを見て呟く。
「二百メートルリレーでは三組に勝ち星を譲っちゃったけど、今度の騎馬戦で一年生の部では勝ち星を拾っていこうっ!」
「「「「「おおおおおおおお~~~~~!!!!」」」」」
ミレーネが先頭に立って皆を盛り上げていた。
僕も負けてられない!
「騎馬戦のみんな、頼むぞーーー!!」
「おまかせをっ! 私が騎馬戦で見事勝利へと導いてごらんに入れましょう!!」
と、僕の掛け声に答えたと思ったその男は、僕ではなくミレーネの前で肩ヒザをついてミレーネの手を取って言葉をかけていた。
「こ、こここ、こ、こら! き、貴様、無礼だぞ…………て、お前は、アビゲイル!!」
ライオネルの反応からすると、どうやら知り合いのよう?……だった。
「ふん! オードリッチ家のバカ息子か。何がミレーネ様の専属従者だ、ふざけるな! 私は認めんぞっ!!」
「あーわかった、わかった。とにかく早く騎馬戦の準備しろよ、アビゲイル」
「ふん。恐れをなしたか、ライオネル。まあいい。私はミレーネ様だけの為に騎馬戦で勝利をもぎ取ってくる! ミレーネ様、見ててくださいねっ!!」
「あ、は、はい……が、頑張ってください、アビゲイルさん」
「ふおおおーーー!! ミレーネ様から『頑張ってください』いただきましたーーー!! 今日はお赤飯だなっ!」
ミレーネに声をかけられテンションが暴騰しストップ高となったアビゲイルさんは颯爽と騎馬戦会場へと向かって行きました。
な、なんだろ、あの人……なんか、独特……。
「なあ、ライオネル。お前よくあんな『オードリッチ家のバカ息子』って言われてキレなかったな……」
「ああ、アビゲイルならキレることはない……というか、できれば関わりたくないしな」
「へ、へえ~……」
ライオネルのみたいなプライドの固まりのような奴の口から『アビゲイルとは関わりたくない』と言わせるアビゲイルに興味が湧いた。
「な、なあ、ライオネル。アビゲイルって何者なんだ?」
僕はライオネルに尋ねる。
「ふっ…………次回を待てっ!」
メタ発言多いな、今回!
しかも引きまでメタ発言かよ!
ということで次回をお楽しみに。




