プロローグ
四畳半の部屋。
一人虚空を見つめる老人がいた。
家族もいない。生涯独身の男。
その部屋は築五十年の古いアパート(風呂無し・トイレ共同)だった。
老人は、これまでの人生を振り返りながら一言呟く。
「ああ、何も得られる、残せる人生じゃなかったな~。今度生まれ変われるなら、もう少し人の役に立てるような人間に生まれ変わり……たい……」
そう言うと老人は静かに目を閉じる。そしてその目は二度と開くことは無かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
気が付くと、雲の上のような場所にいた。
ふと目の前を見ると、女性が一人立っている……女神?
「私は女神セイラ……あなたを迎えに来ました」
「迎え?」
「はい。その前に『本人確認』をしてもよろしいでしょうか?」
「?……は、はい」
「源栄太。七十七歳。独身。十代の学生時代は皆からイジメやパシリを受けていた。合っていますか?」
「は、はい。その……とおりです」
嫌なことを思い出させてくれる。まあ、確かに十代はそんな時代だったな。はは……我ながら情けない。
「二十代……中小の広告代理店の営業として勤務するも成績を出せず、ずっと退職まで社内イジメを受けていた。合ってますか?」
「は、はい。そのとおり……です」
うわあ、また嫌なことを思い出させる。でも、事実だからしかたない。はは……なんかこうやって第三者から言われると、学生時代からずっと変わっていないんだな、僕って人間は。
「あと、一度、結婚して家族を持ったようですが、これは……奥さんと娘さんが結託してあなたと離婚をし、さも、あなたが悪いことのように仕立て上げ、離婚した後も死ぬまでずっと奥さんと娘さんに養育費を渡していた。間違いないですか?」
「そ、それは違います! 妻と娘はそんな人間ではありません! 私に甲斐性がないばっかりに、二人には辛い思いをさせていました。なので、二人が僕を見限ったのは仕方のないことです。単に僕が悪いだけです! そこは訂正してください!」
男はそのことに関しては必死に抵抗し、『自分が悪いから当然の結果です』と女神に思いをぶつけた。
「……そうですか。わかりました。訂正しておきます」
「あ、ありがとうございます」
男はホッと胸を撫で下ろす。そして、そんな男の仕草や言動を女神はずっと目で追っていた。
"なるほど……やはり、素晴らしい逸材のようだ。これなら……"
女神セイラはふふっと笑い、そして男に告げる。
「源栄太……あなたの願いを叶えてあげましょう」
「願い?」
「死に際に言ったこと、覚えていますか?」
「し、死に際?…………あ、たしか、『もう少し人の役に立てるような人間に生まれ変わりたい』って」
「その願いを叶えてあげます。あなたにはこれからこれまで生きていた地球とは違う別の世界へ行ってもらいます」
「別の……世界? 天国とかですか?」
「そうではありません。あなたには別の人間に転生してもらい、もう一度、地球とは違う別の世界…………つまり、異世界で生まれ変わってもらいます」
「え? え? 僕は生まれ変わるんですか? 異世界で?」
「そうです。そして、あなたには『ある特殊能力』を授けます……その能力を利用してその世界でもう一度人生を歩んでください。『人の役に立ちたい』……その願いを叶えなさいっ!」
「ほ、本当ですか! その『特殊能力』というものがあれば人の役に立てるんですか?」
「はい。人の役に『立ち過ぎる』くらいです」
「……え?」
「では行ってらっしゃい、源栄太さん!」
「うわっ!?」
女神セイラがそう言い放った瞬間、源栄太の周りに強烈な光が凝縮されていき、そして源栄太はその場所から消えた。
「あなたならきっと……この『試練』を乗り越えることができると私は信じていますよ……」
女神セイラはそう言うとニコッと乙女のような微笑みを浮かべる。
そうして、『源栄太・享年七十七歳』は異世界へと転生した。
どうも、はじめまして。
「アコ美容室」といいます。
半年前に別のアカウントで投稿していましたが、昨日までモチベーションが落ちて(堕ちて)いましたw
「心機一転」という気持ちを込めて新アカウントで再出発したいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
ちなみに前アカウントの作品のことは公表せず、墓場まで持っていくつもりです。
そっとしてあげてください。
では、今後ともよろしくお願い致します。 m(__)m




