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リアルダンジョン  作者: 真城まひろ
一章 迷宮出現
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1-6 力の使い方

矛盾点があり過ぎて死にそう……。

なんとか修正して頑張りたいと思います。

では、六話です!

 放課後に俺は遠坂と七瀬の三人で学校の近くにあるスーパーへ向かっていた。


「委員長〜お菓子はいくらまでですかっ?」


 七瀬がおどけた様子で遠坂に聞く。

 鞄を持っていない左手を挙げて質問するようにしている。


「上限は無いけど常識の範囲内って感じだと思うよ。荷物が一杯になってもいけないでしょう? 高校生だから自己管理くらいしないとね」

「ぶーぶー。真面目過ぎだよ〜莉乃っち〜」

「ちょっ、変な名前で呼ばないでよー」


 そんな感じでじゃれついている二人。容姿が整っていて可愛らしいのでとても絵になっている。

 ただし、周りの視線を気にして欲しい。人通りは少ないが男性女性問わず必ず二度見するという面白い事が起きている。


 そもそも、何故俺が遠坂と七瀬の二人とスーパーに向かっているのかと言えば明日の遠足で持っていくお菓子を買うことになったからだ。

 正直、お菓子はいらないと思っていたのだけど、部活があって忙しい晴人がお菓子を買っておらず買ってきて欲しいと頼まれて、丁度今日買いに行くという遠坂と七瀬の二人に誘われて……という流れになる。


 しかし、今の俺は授業中に考えて念話による指揮で迷宮改造計画を進めた様子をいち早く帰って見たいのだ。

 さっさとお菓子を買って帰ろう。

 そう思っているとスーパーに着いた。


「スーパーに到着〜」

「いぇーい」

「すごい棒読み感」


 依然として俺は二人のやり取りを見聞きするだけで介入しない。

 否、出来ないと言うべきだろう。俺は小心者なのだ。

 それに、俺じゃなくてもこの二人と歩くとなると萎縮してしまうだろうと思う。


「そう言えば、上坂くん」

「なに?」


 唐突に七瀬が話し掛けてきた。


「凄い静かだけど?」

「え? あぁ、まぁ……ちょっとボーッとしてた。ははは……」


 ボーッとしてたと言うより眼福だったのだけど誤魔化した。


「しっかりしてよー。明日、遠足なのに休んじゃったら意味無いよ」

「そうだよ! 今日は早く寝ないとダメだよ?」


 何故か美少女二人に怒られてしまった。全然怖くないけど。

 むしろ可愛いまである。


「うん、分かった。ありがとう」


 適当に返事をしつつお菓子コーナーへ足を運び晴人に頼まれた嵩張らない小さなお菓子を買っていく。

 二人は昔ながらのお菓子を見て「懐かしい〜」とお菓子談義に花を咲かせていた。

 暇になった俺は二人にトイレに行くと声を掛けてその場を離れた。


 一応一人暮らしの身なので店内を回りながら必要なものだったり切らしてしまっている調味料とかを買う。

 たまたま特売をしていた牛肉が安かったのでそれも買って今日は肉パーティーだとウハウハしていると迷子らしき子供を見つけた。


 泣きそうな顔をして右往左往する少年と少女の兄妹らしき二人の迷子。

 見て見ぬふりをするかと一瞬脳裏を横切るが、店員に声をかけて放送してもらえばいいだけだと思い迷子に声をかけることにした。


「君たち、迷子かな?」


 できるだけ威圧しないように中腰になって目線も合わせるようにして声を掛けた。

 それにしても俺……傍から見たらヤバイ人に見えるんじゃなかろうか。


「うん……。ま、まっ、いなくなっちゃっ、た」


 嗚咽混じりに話してくれる少年。流石お兄ちゃんだなと感心しつつ泣かないでと頭を撫でて落ち着かせる。


「妹さんも大丈夫かな?」

「……いもうと?」


 知らないような反応が帰ってきて思わず「え、」と声が漏れる。

 俺は少年と少女に視線を行き来させて見るが……別々の迷子って事かとやっと気が付いた。


「わたしもまいご」


 冷静な様子の迷子の少女。

 俺は「そうか、迷子か」と繰り返すように返して取り敢えず店員に事情を話すことにした。

 しかし、レジの店員は忙しそうだし、肉のところで陳列していた人にでも聞こうと思い二人と手を繋いで移動してる途中に遠坂達と鉢合わせた。


「あれ? 上坂君、何してるの?」

「え、まさか誘拐?」

「人聞きの悪いことを言わないでくれ。見てわかるだろ、迷子だよ」


 七瀬にいきなり失礼なことを言われて少々強く返してしまった。

 だが、二人が来てくれて助かった。俺の出番はもうないだろう。


「迷子かぁ。大丈夫? お姉さんがお母さん探してあげるからね」


 七瀬が少年に抱擁して慰める。

 何故だろうか。少女の方には誰も見向きもしない。

 そんなことこの二人なら有り得ないはずなのに。


「迷子は一人じゃなくてこの女の子もだぞ」


 念のために二人に告げるが……。


「ん?」

「ねぇ、上坂君。女の子なんていないわよ?」

「はっ? いやいや、え、嘘だろ……」


 何が起こってるのか分からなくて手を繋いだままの少女を解析してみた。

 すると、解析結果に表示されたのは少女が人間ではないことを示していた。


ーー猫又


 少女は猫の妖怪だった。

 目を見開いて驚く俺をクスクスと笑いながら隠していたのだろう黒い耳と白いワンピースから見える二本の黒い尻尾から分かった。

 正真正銘、人に化けた猫娘だった。


「お主は良い眼を持っているようだな。まさか妾を見ることが出来る人間がいるとは思ってもみなかったわ」


 その幼い容姿とは裏腹に妖艶な雰囲気を醸し出す猫耳娘は妖怪なのだと改めて俺に実感させた。


「妖怪ってやつだろ? 何しにここに来たんだよ」


 小声で猫耳娘に聞く。


「それはな……」


 気を引いて、俺の手から逃げようとしたので壊れないように手加減して逃がさないように手を掴んだ。


「くぅ……っ! お主っ、本当に人間か!? ギブッ! ギブなのじゃ!!」


 俺が猫耳娘を捕まえていると遠坂が、


「……上坂君。やっぱり体調悪いの? なんか今日変だよ」


 と、心に刺さる一撃を俺にお見舞いした。

 しかし、意識が遠坂に向いたことで力が抜けて猫耳娘の手を離されてしまった。


「今日のところは勘弁してやる。覚えてるニャーー!」


 そう言って刺身を盗んで猫耳娘は消えていった。

 やってる事がこそ泥レベルな件について。

 凄い奴かと思ったらステータスもそう大したことなかったし。

 Lv.40だったのには驚いたけどね。能力値では俺の方が上だったが。

 見えなくなる前にマップを開いて猫耳娘を示す赤い光点にマーカーを付けた。

 これで動向が詳しく分かる。

 それにしても唐突な遭遇に心が驚いている。


「なんだったんだ……。体調は悪くないよ。大丈夫! はははっ」


 あぁ、ダメだ。遠坂、七瀬、迷子の少年の三人とも完全に俺を見る目が変な人を見る目だった。


 誤解なんです! 俺は変人じゃないんですーー!


 そう叫びたかったけれど、妖怪なんて普通の人には見えないし信じられないだろう。

 そもそも、妖怪なんて前の俺には霊感ゼロだったから見えるはずもないのだ。

 今回、猫又が見えたのは魔人になって、ユニークスキルにも魔眼なんて眼に関する能力があったのでそのせいだろう。

 厄介事が多くなってきたというか知らなかった世界を垣間見ている、そんな気がした。


「ママ!!」


 俺が意気消沈してブツブツと考え事をしている間に迷子の母親が見つかったようだ。

 中途半端でごめんと二人に謝ると全然気にしていないと言われた。

 君達の心が広くて俺は涙が出てきそうだよ。

 迷子の少年の母親にお礼を言われた。

 そして、迷子だった少年達が帰っていく姿を見て手を振りながら俺達も帰ることにした。


■□


「って言うことがあったんだけど、やっぱり能力を持て余してるから上手く使って対処しないといけないと痛感したよ」


 猫耳娘の件を眷属達に話した。

 眷属部屋で気持ちのよく寝転がりながらレイリーをモフモフする。


「猫又というのは知りませんね……。気になります」


 ソフィーは研究者として知識欲を刺激されたようだ。


『ご主人様、鍛錬をしてみてはどうでしょうか。自身を知ることから始めた方が良いと思います』

「そうなんだけど……。すぐに出来るのはマップやログの常時展開で状況把握に努めることかな。敵だとわかれば対応は出来なくもないし」


 視界の邪魔になる問題点もマップを縮小化してログも端に置けばゲームをしている感覚で特段気にならないだろう。

 それに半透明だから一応見えるんだよね。邪魔だけど。


「そうは言っても、もしもと言う時がありますからやって損は無いと思いますよ」

『私が壊されればマスターも死ぬんですからね!』

「ですよねぇ……」


 眷属達に注意されてしまった。

 しかし、注意というのは心配の裏返しということだと思うから慕われているのだと少し安心する。


「まぁ、切り替えて。さて、それにしても新たに召喚した魔物の働き具合が凄いね! ジャイアントアントって社畜の鏡だよ」


 そう、新たに召喚した魔物ジャイアントアントは名前の通り大きな蟻で体長は二メートルにもある。

 迷宮を拡大するのに魔力を使うのは勿体ないと思い、閃いたのが蟻の魔物を召喚することだった。

 蟻の巣を作るように迷宮の入口からラピスの部屋までの入り組んだ道を更に困難な状態にしてしまおうという計画が上手く行っていたのである。


「迷宮を拡大するのに蟻の魔物を使うのは面白い発想ですね」

『召喚した分の魔力を取り戻すまで拡大するのに数日くらいかかりますが将来的に考えれば良い案でした』

「ありがとう。生物の資料集見てたら閃いてさ」


 何か役に立ちそうなものはないかと探していたらこんなに上手くいくとは思ってもいなかった。


「ですが、我々は仕事が無いです。外で魔物を狩ってこの迷宮で素材を吸収させればより多くの魔力が手に入って整備も整うと思うのですが……」


 レイリーの呟きに俺は、


「そうだね。俺の命令が絶対ってわけじゃないし考えてより良い環境を作ろう」


 そう言うのが限界だった。て言うか、全然頭が回ってなかった。

 本当、一度冷静に計画を練り直さないといけないかもしれない。

 主としての威厳が……危ない!


「主様、これからは異世界についてや迷宮についても勉強していきましょう。それで……良ければ主様が住む地球について教えて欲しいのですが」


 言外にお前は頭が足りていないと言われている気がして更に落ち込む。

 あぁ、主様って馬鹿なんですね。なんて言われた日には俺は死ねる。


「う、うん。いいよ。ソフィーも色々教えてね?」

「はい。私の全てをお教えしますよ」

『ご主人様、我は外で狩りに行ってきます』

「いってらっしゃい。気をつけてね」

『はい!』


 レイリーは外に魔物狩りに出掛けた。

 じゃあ俺は部屋に家事をしに行こう。やることたくさんあるんだよね。


「主様、手伝います」

「うん。ありがとう」


 俺とソフィーは迷宮を出て部屋に出た。


「……やはりこちらの世界に慣れるのは難しいですね。魔力も薄いですし世界を越えるということが大きな負担になっていて力の半分程度しか発揮出来ないでしょう」


 そんなことこの前は言ってなかったのにいきなりどうした。

 そう思って聞いてみる。


「いえ、今更ですが主様はものともして無さそうだなと思ったので……」

「そう考えると確かに、俺は何も変化は無いな。多分だけど俺はこの世界の生まれだろ? だけど異世界で魔人になって異世界にも適応している。そんなこんなで両方の世界に適応出来てるんじゃないのかな?」


 俺の勝手な妄想と持論を研究者であるソフィーに言ってみた。後になって恥ずかしくなってくる。


「なかなか筋が通ってますね……。その可能性も否定出来ないでしょう」


 おぉ! 馬鹿にされなかった! 良かった……危うく死ぬところだったよ。


「まぁ、いいや。ご飯作ろうか!」


 俺は腕まくりをして言った。

 ジャイアントアントにも何か食わせてあげたいなぁと思いつつ俺達は調理に取り掛かるのだった。


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