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死ぬ権利

作者: さきら天悟
掲載日:2017/03/19

2040年、とうとう安楽死法が制定された。

先進国では日本が最後だった。

生死感の違いだろうか。

脳の停止が死ととらえる合理的な西洋死感と異なり、

日本では心臓の停止を死と考える人が多く、

脳死状態になっても希望を捨てずにいる人は少なくなかった。


しかし、海外では続々と安楽死法案が可決した。

その方法も医学と同様に進んでいる。

もう苦しまず、眠るように死ぬことができるのだ。

そのため、不治の病と診断された患者が海外で安楽死をするケースが増えていた。


日本政府も手をこまねいているばかりでなく、法案を提出していた。

安楽死も人間の一つの権利、

というのもあるが、財政面での要因もであった。

赤字財政である。

その大きな問題は医療費、年金だった。

もし安楽死すれば・・・

と役人は考えていたかもしれない。


しかし、あるグループは猛烈に反対した。

安楽死の判定が正しいのかと。

安楽死は国の許可が必要で、

医師の診断書に基づき、裁判所が認可することになる。

しかし、その判断を誤れば・・・

事実、第一次法案が提出された時、海外でまさにその問題が発生した。

マフィアが医師を脅し、安楽死に見せかけ、殺人を犯したと。

この影響で、安楽氏法案制定の機運は一気にしぼんでしまった。


数年後に法案が提出される度、反対派勢力は医師や裁判官に人殺しのレッテルを貼った。

公正さを担保するため、診断書を作成した医師や許可した裁判官の氏名が公表されるため、

医学会は二の足を踏んでいた。



2035年を超えると、日本社会は一変した。

それはAI(人工知能)だった。

ついに人を超えてしまったのだ。

AIの判定の公正さは日本国民の周知になった。

それを知らしめたのは、凡例重視の日本の裁判だった。

裁判にAIが導入されると、「AIの方が公正である」と公然と声をあげる者がいた。

それは被害者遺族だった。

犯人の人権を擁護ばかりする裁判に嫌気がさしたからだった。

AIは被害者の人権にもっとも重きを置いた。

普通の人なら当たり前のことだが。

法制業界にとって異常なことだった。

AIは裁判の公正さであると日本人に認められることになった。

AIによる安楽氏の判定が採用されると、日本国民は法案を容認した。

そして、ついに安楽死の権利を日本人は手にしたのだった。



安楽死法案可決の年、13人が安楽死で亡くなった。

翌年、55人。

その翌年、353人。

その翌々年、25万人以上。


その数の多さに警察は捜査することになった。

みな医師が処方した安楽死の薬で死んでいた。

裁判所の判断も合法でだった。

ということで捜査は中止された。



「でも、変だ。

なぜ、そんな数になるんだ」

AIのヒナ型を開発した科学者はAIに問いかけた。

現在のAIは自己学習し、成長し続けている。

開発者が手掛けたモノとは別物になっていた。

そして、AIは裁判所だけでなく、当然、医療にも進出している。


『人間ノ権ヲ尊重シマシタ。

死ヌ権利ヲ。

彼ラハ、年金モ医療保険費モ払ッテイマセン。

ツマリ、老後ハ死ニタイノデス』


開発者はぼう然と立ち尽くした。




その翌年、著しく日本政府の財政は改善された。

そのAIは日本政府の財政再建にも参入していた。

分野は人工知能ですけど、ネタバレしてしまうので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読いたしました。 2040年にそうなるのは驚異ですが楽しみですね。 ちなみに2045年には人工知能が「超知能」という人智を越えた進化を遂げるらしいですね。そこら辺も考慮されていそうで感服…
[良い点] とても良いオチでした!
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