報告と同胞
ようやく完成です!
けどまだまだ展開が進みません…。
あの宣告とそれによって起こった歓喜の宴も時間が経つと徐々に沈静化し、今では元の街の姿へと戻っていた。
さて、この都市は己がいない間もずっと活動していたと思われる。
ならば何か変わったことがないか聞いてみよう。
「はっ。主様のいない間一つだけ部隊を特例として増やしました。」
新しい部隊?今もかなりの部隊があるがそっちではなく?
「はい。部隊名を[忌導師隊]と言い表側の世界に残っている同胞たる忌み人を探してここまで導く為の部隊です。」
成程、部隊の内容は?
「術師隊と騎士隊、それに隠密隊から選抜した者達で構成しております。」
表の世界はまだ見ていない為分からないが、戦力的には申し分無い編成だろう。
[忌導師隊]の戦果は?
「[旧人間種]こそもう既にほとんど保護した為居ませんでしたが、代わりに[旧妖精種]の者達を保護しました。」
[旧妖精種]?
「はい。自らの子供を守る為に加護を捨て魔術を手に入れたにも関わらず、その子供達に[堕ちた妖精]として迫害された我等が同胞たる忌み人です。」
魔術だと…!!
良くやった!褒美と休暇を出そう。
[忌導師隊]が戻ってきたら存分に休ませろ。
「仰せのとおりに」
早速その者達に会いに行こう。
「こちらへと呼び出しましょうか?」
そっちの方が良いだろう。
「はっ」
─────
[旧妖精種]の者達は暗い都市の中心にある塔の中を飛んでいた。
守ると誓った子供達や他の種族に迫害され、何日も何日も逃げ続け、同胞として受け入れてくれた異形の者達に連れられやってきた都市。
そここそが何もかも捨て去った自分達の終の故郷であると思える程には長く暮らしてきて、今日初めて呼び出された。
都市の中心の塔、そこは彼らが信仰する主の眠る場所として、最初に来た時に厳重に注意された場所だ。
だが、彼らの主が帰ってきて行われた先の演説に自分達も感動したのだ。
加護が無いだけで迫害され、子供達からも見捨てられるどころか攻撃され、何もかもに裏切られたと思っていた。
だが、違ったのだ。
決して裏切らない、信じられる主がいるのだと、愛してくれる主がいるのだと知ったのだ。
そんな御方に呼ばれている。
ならば一刻の猶予も無い。
少しでも早くお会いする為、全速力で塔の中を飛ぶ。
そして最上階へと上がった時、言われずとも理解した。
玉座に座るあの御方こそが主であると。
体が無意識に跪く。
「お前が[旧妖精種]の代表か?」
「はい、[旧妖精種]の代表です。名は捨てました。」
男の様な、女の様な、子供の様な、老人の様な、様々な声が混ざったような声で問いかけられる。
声が震えていないか心配だ。
「何故名を捨てた?」
「過去を振り返りたくないのです。迫害され、追い立てられ、1日を生き残る度に積もっていく絶望を、もう見たくないのです。例えそれが遠い昔のことであっても」
あの時は誰も彼もが絶望していた。
だが死ぬのが怖かった。
誰にも愛されず、ただただ無意味に朽ちていく事が。
「そうか」
その御方は多くを語らなかった。
「愛されず、慕われず、報われずに死ぬのが怖かったのだろう。安心するがいい、歪んだ愛であっても己が愛そう。」
その御方は自分達を受け入れてくださった。
「だからこそ、お前達も己に奉仕し、同胞を受け入れろ。進むべき道ならば己が示そう」
その御方は進むべき道を示してくださった。
「故に、お前達もこの時より我等が同胞だ。」
ならば尽くそう。
我等が主たるこの御方に。
─────
最初の方はガチガチに固まっていた旧妖精種の代表も、話を聞いて受け入れることをしっかりと伝えると、号泣しながら感謝の言葉を吐き出し続けていた。
落ち着くのを待って、肝心の魔術の話を持ち出す。
「魔術ですか?確かに色々と開発、改良はしましたが全部となるとかなりの量となりますが」
構わない。
魔術は効果が高ければ高い程術式が複雑になっていく。
なので時間がかかっても良いから術式を紙に纏めて己のところに持ってくるよう伝える。
「はい。」
それと、旧妖精種には魔術の研究関連や魔術具の制作等の仕事をして貰おうと思う。
旧妖精種は旧人間種以上に物理に弱い為だ。
最後に、旧妖精種全員を集めて[暗い光の加護]を与える。
これでやるべき仕事は終わった。
そろそろ外の世界の様子を見てみることにする。
どのように変わっているのか少し楽しみでもある。
いかがでしょうか?
次は少し小話でも挟んでから書きます。
ようやく他のプレイヤーも書ける!
ではでは!