研究
ようやく書き終わりました。
かなり遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでしたっ!!
待ってくれている方々のためにも失踪だけはしないように頑張ります!
今回は研究パートです。
人によってはつまらないと思うかもしれませんが、作者はこういう設定を考えるのが好きなので嫌いな方は読み飛ばして頂いても結構です。
個人的には見ていただけると嬉しいです。
これからもこういう研究パートをちょくちょく挟んでいきたいと思っていますが、「こういうのを書くぐらいならさっさと本編進めろ」というような方が多ければ別話でやろうと思います。
それでは、どうぞ!
さて、やるべき事も粗方片付いたので本題の魔術研究を早速始めようと思う。
そもそも魔術とは何か?
[魔術]とは、極めて簡単に言ってしまえば自作のプログラムの様なものだ。
術式を回路、魔力を電気と捉えればイメージしやすいだろう。
詳しく説明すると、内部もしくは外部の魔力を術式を用いて変換し、それを現象として発生させるというものだ。
まあ、術式に使う言語や記号、法則を見本も無しに自分で1から研究を繰り返して組み上げる必要があるためそう簡単にはいかないが。
一番簡単な【魔力の矢】を例として見てみよう。
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【魔力の矢】
術式
[円術式][エインファー式魔術言語]
術式内容
[魔力形成][矢型][射出]
第三階梯魔術
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まず始めに術式。
これは術式自体に含まれる要素の説明だ。
[円術式]は魔法や魔術と聞いて真っ先に思いつく形だろう。
円形に術式を組み上げることによって無駄な魔力の消費を抑え、1発あたりの燃費を向上させるとともに、魔力の込めすぎによる暴発を防ぎやすくなる。
もっとも普遍的な術式ではあるが、欠点としては円形であるため武器や道具に加工を施す際、加工面積的にかなりの制限を受けることと、燃費が向上するとともにつぎ込める魔力の総量も減ってしまうため、使用できる最大魔力量がかなり減ってしまうことが挙げられる。
[エインファー式魔術言語]とは使用している魔術言語の事であり、もっとも簡単な魔術言語である。
攻撃から回復、味方の補助から敵の弱体化まで幅広く応用できる汎用性の高い魔術言語だが、その分威力や効果が他の魔術言語より劣るという欠点がある。
次に術式内容。
これは術式の威力や挙動をわかりやすく書き直したものだ。
[魔力形成]はつぎ込まれた魔力をただ漂っているのと同じ魔力から物理的な影響を及ぼせる魔力へと生成し直すこと。
[矢型]は生成された魔力を矢の形に形成すること。
[射出]は文字通り形成した魔力を射出すること。
を表す。
最後の[第三階梯魔術]とは、要求されるスペックの高さを表す。
簡単に言えば魔術の難易度にあたる。
これが高ければ高い程原則として魔力消費が大きく、術式が複雑になりより精度の高い魔力操作能力が必要になる。
【魔力の矢】の場合、[魔力形成]で1、[矢型]で1、[射出]で1、
合計で3になるため第三階梯魔術となる。
というような仕組みになっているのだが、今回は普段から使っていける燃費のいい魔術を作りたいと思う。
別に広範囲の魔術を使ってもいいが、かなり目立つハメになるため次の目的にそぐわないのだ。
そう、次は実際に表側の世界に出て実地研究してみようと思う。
だが問題として広範囲の魔術を使ったり、部下達を引き連れていたりすると十中八九目立ちすぎてしまい実地研究どころでは無くなるだろう。
実地研究の邪魔をする連中をまとめて焼き払ってもいいが、そうなると周囲に影響が出過ぎてやはり研究どころでは無くなる。
となれば、目立たない事が第一課題。
次に、邪魔なモンスターやプレイヤーを一撃で葬り去る程度の威力。
最後に、ある程度連射しても問題無い魔力消費。
出来ればそれとは別に姿を消したり、一定場所に転移したり、周囲のモンスターやプレイヤーを察知する魔術があれば尚更いい。
まずは攻撃魔術から。
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【魔力の傀儡矢】
術式
[円術式][エインファー式魔術言語]
術式内容
[魔力形成:1][矢型:1][射出:1][手動操作:1][増幅:1][増幅:2]
第七階梯魔術
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これは最初の【魔力の矢】に[手動操作]と[増幅]を入れて調整したものだ。
[手動操作]によって自分の思考操作を可能とし、命中精度を上げると共に[増幅]2つによって低い威力を格段に引き上げたものである。
[増幅]を2つ入れたことによって階梯がかなり上がってしまったが、元々の魔力消費がそこまで高くないため問題無い。
次に索敵用の魔術だ。
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【警鐘する地図】
術式
[円術式][セーン式魔術言語]
術式内容
[魔力形成:1][波形(弱):1][情報取得(敵):1][情報取得(地形):1][情報整理(地図化):2]
第六階梯魔術
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この魔術は見ての通り索敵及び地形の把握のためだけのものである。
魔力を波形に形成し、それを魔力波として周囲に拡散させて触れた敵や地形の情報を取得、脳内地図に反映するというものだ。
魔力波を利用して情報を取得する関係上、どうしても魔力感知系のスキルなどで位置がある程度分かってしまうがそこまで問題にはならないだろう。
ちなみに[セーン式魔術言語]とは“見る”関連の魔術に特化した魔術言語であり、索敵や鑑定などの情報取得に大きな適正がある代わりに、戦闘や防御の適正が全く無い。
次は帰還用の魔術。
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【異界門:深淵】
術式
[簡略術式][ラウム式魔術言語]
術式内容
[転移(指定位置固定):3]
第三階梯魔術
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これは少し特殊な魔術だ。
本来、自分の意識した位置に自由に転移出来るが、都市にわざわざ位置指定用の目印を建て、その地点にのみ転移する事によって階梯数を低く調整した魔術である。
階梯数を低くしたため、緊急時に素早く発動できるようにしてある。
[ラウム式魔術言語]は魔術言語の中でも空間の制御に優れており、転移や結界系の魔術に使用される。
[簡略術式]は本来相応の大きさの術式を、簡略化することによって比較的小型にする事ができる術式様式だ。
術式自体を小型化することによって、術式を書き込む媒体も指輪やペンダントなどの小物を利用することが出来る。
何らかの要因で帰還用の魔術具を壊されても困るため、指輪とイヤーカフの二種類を常に付ける事にする。
更にもう一つ。
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【自立結界】
術式
[円術式][言文術式][ラウム式魔術言語][スペルング式魔術言語]
術式内容
[魔力形成:1][結界型(物理障壁):3][自立化:2]
第六階梯魔術
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見ての通り防御用の魔術だ。
結界を物理障壁として利用し、自身の周囲を覆うことで敵の攻撃を無効化する。
注ぎ込んだ魔力分のダメージを耐えることができるが、常時発動していても魔力を無駄にするだけなので、攻撃を感知した時点で相応の魔力量で自動防御する様にした。
術式の部分が二つ書かれているのは複合術式であるためだ。
二つ以上の術式・魔術言語を使うことによって効果や能力をかなり引き上げることが出来るが、代わりに術式の作成難度が高く、更に術式自体が大型化しやすく、極めつけに魔力消費が大きくなりやすいという欠点がある。
[言文術式]は文章の形をとる術式の一種である。
文章であるため他の術式と反発しにくく、そのため大体の複合術式には使われている。
代わりに単体での効果があまり高くなく、文章であるため効果を高くすればするほど文章が長くなりやすく術式が大型化しやすい欠点がある。
[スペルング式魔術言語]は防御や強度の強化などに使われる魔術言語であり、防御用の魔術の他に剣などに刻んで強度を上げたりとなかなか汎用性のある魔術言語だと言えるだろう。
これで大まかな準備は整った筈だ。
後は日持ちする食料や水、研究材料保管用のガラス瓶などをアイテムポーチに突っ込んで都市の代表者達に連絡を入れれば全ての準備が完了する。
楽しみだ。
如何だったでしょうか?
次は表側のフィールドに出てのお話となります。
できれば他プレイヤーとの絡みも書いて行きたいです。
また更新がかなり遅くなりそうですが、首をながーくして待って頂けると跳ね回りながら喜びます。
ではでは。