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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第1章  ~転校生~
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8  ~アオイの部屋~

 今日は土曜日だから授業は昼までだ。


 放課後、僕たちふたりは南門を出て三丁目にあるアオイの家へ向かった。葉っぱの落ちたプラタナスの並木道を話をしながら歩いていくと十分くらいで着いた。アオイの家は薬局をしているらしい。


 一階のお店でアオイのお母さんにあいさつをした後、アオイと一緒に二階に上がった。アオイの小さい弟と妹もついてきた。


 アオイの部屋に入るのはもちろん初めてだ。


 六畳くらいの広さの部屋には学習机と椅子と本棚があって、きれいに整頓されていた。壁にはたくさんの絵が掛けてあり、どれも持って帰りたくなるほど輝いている。きっとアオイが描いたものに違いない。


「ユウキ、これ、私の宝物なの」


 アオイは電気ストーブのスイッチを入れると、そう言って押し入れから大きな箱を出してきた。それは木でできていて、銀色のちょうつがいが付いていた。


「これね、油絵セットなの。開けてみるね」


 アオイは箱を床に置くと、ゆっくりと開けた。


 絵の具のチューブがある、パレットがある、ナイフがある、筆がある、オイルもある。どれも使われている感じだ。


 アオイはきっとこの宝物で大好きな絵を描いているんだろうな。そう、この宝物で新しい宝物を生み出しているんだ。


「私ね、これでユウキを描いてみたいの」


 アオイは両手に絵筆を持つと、ちょっと硬い表情になって小声でそう言った。


「僕をかい」


「そう、ユウキを。だめかしら」



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