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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第5章  ~さようなら~
59/59

59 ~最後の手紙 5  ~

 次の日の朝を迎えています。


 母に手伝ってもらいながら、あなたから受け取った沢山の手紙を読み返しています。


 あなたからの手紙を楽しみにして毎日のように郵便受けを見に行った十七年間がとてもいとおしく思えます。


 裕樹さん、今まで色々なことがありましたね。一度、あなたと別れたこともあった……。


 ここにある手紙のすべてが私の宝物です。


 華やかな色の封筒、なつかしい絵柄の切手、あの日の消印、丸い暖かい文字、万年筆のインクの濃淡、便せんのまっすぐな折り目、あなたの、そして私の涙の跡……。


 封筒をそっと開けると、その時その時を生きたあなたと私が鮮やかに輝いて現れます。



 少しの間ですが、深く眠っていました。


 ベッドの上に花が咲くように並べた色とりどりの封筒に囲まれて、私は自分の人生を振り返っています。


 私は自分が光になりたいと思っていました。自分が誰かに照らされたいと思ったことはなかったのです。


 けれども、死を前にして、私が周りを照らす光よりもさらに力強く私を照らす光があった、いえ、たとえ私が輝いていなかったとしても、どんな時でも私を照らしてくれるふたつの光があったということに気付きました。


 その光は、あなたという光と、母という光でした。私はあなたの手紙に囲まれて、母の手に守られて、光に包まれたままこの世界から旅立つことができます。


 あなたに会えて私はとても幸せでした。

 

 今まで本当にありがとう。     さようなら



   一九九二年一月六日

                         橘あおい


上田裕樹 様                


      

                      

追伸:

 ユウキ、私のこと、いつまでも忘れないで。

 でも、これからは新しい恋をして、私に負けないくらい幸せになってね。 】





    

                  ―― 完 ――

    





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