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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第5章  ~さようなら~
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56 ~最後の手紙 2  ~

 今、大きな病院の静かな白い病室にいます。


 窓の外には、イースト・リバーの向こうに私のアトリエがあるルーズベルト・アイランドが朝もやにかすんでいます。


 ニューヨークに帰ってきてしばらくして、突然倒れてしまったようです。


 いろいろな検査の結果、私の体は悪性の腫瘍に侵されていて、もう手の施しようがないのだということがわかりました。


 そして、生きることができるのはあと数週間だとはっきり告知されました。


 アメリカではこういうことはとてもドライなんですね。けれども、私が入院したことも含めて、このことは私が息を引き取る日まで決して公表しないことに決めました。あなたにも秘密です。


 この手紙は、私がこの世を去ってから投函してくれるよう母に頼むつもりです。


 入院してから、私を看病してくれている母の肖像をベッドの中で描いています。


 この絵を完成させることはできないかもしれません。けれど、私は、あなたと同じように決してあきらめません。意識がなくなるその瞬間まで描き続けたい。


 命ある限り、光になりたいのです。




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