51 ~夢が光になって~
ユウキにそう言われると、さっきふたりで投げ入れたふたつの青い石が、目の前の深い池の中で本当に光っているように思えた。
今は小さな光だけれど、ユウキの言うとおり私たちはいつかきっとこの池を飛び出して大きな光になって世界を照らすことができる。
「ユウキ、私も大きな光になりたい。私は必ず画家になる。この世界を明るく照らす絵を描きたい」
私はユウキの両手をとって、空に向かっていっぱいに伸ばして広げた。
両手にユウキの手のぬくもりが伝わってくる。
顔に暖かい陽が当たる。
私はユウキと一緒に明るい太陽の光に包まれている。私は空に向かって叫んだ。
「私たちは夢に向かって進んで行く。私たちの夢が光になって世界中を照らすの。ねえユウキ、そうでしょう!」
「そうだ、アオイの言うとおりだよ! いつか僕たちの夢が光になって世界を照らすんだ!」
わたしたちは空に挙げていた手を離した。手のひらをひまわりの花のように太陽にかざして暖かさを存分に感じた後、二人とも同時に手を降ろした。
ユウキが微笑んでいる。私も微笑んでいる。わたしたちは見つめ合った。どちらからともなく近付いて、胸と胸が触れた。わたしは思い切ってユウキの背中に両手を回した。しばらくして背中にユウキの両手を感じた。わたしたちは、はじめて抱き合った。ずっとこうしていたい。ユウキとずっとこうしていたい……。
「ユウキ、大好き」
耳許でささやいた。
「僕もだよ、アオイ。大好きだ。君のことが大好きなんだ」
ユウキの声が心地いい。
「いつまでもユウキと一緒にいたい」
「僕はいつまでもアオイと一緒だよ」
空で雲雀が囀り始めた。春の真ん中で、私たちは時の経つのを忘れて二人の世界を抱きしめていた。




