47 ~恐ろしいほど澄み切って~
僕は起き上がってアオイが指差す方を探した。けれど、何も見あたらない。
「ほら、あそこの草むらの先にあるじゃない」
アオイが肩を僕の肩にくっつけてきて、白い指をまっすぐに伸ばし、小さな声で「あれ」と言った。
「本当だ。まるく光ってる」
確かに、本流から少し離れた平らな場所がキラキラと円形に光っている。
「行ってみない?」
「行こう!」
僕はアオイと一緒に高い堤防を駆け下り、光るもののそばに行った。
近づくにつれてそれがなんなのかわかってきた。水たまりだった。直径五メートルほどの大きな水たまりなのだ。
なんだ、水たまりか、と思ったとき、アオイが「あー!」という声をあげた。
そのとき、僕も気付いた。「あー!」と僕も思わず声がでた。
その水たまりは、恐ろしいほど澄み切っていて、それなのに底が見えなかったのだ。
これは池だ。じっとのぞきこむ。深い。いったいどれくら深いのだろう。
池の半分より向こう側は青い空を映している。雲がゆっくり流れていく。雲も池に映る。水面に風が当たるとさざ波が立って空も雲も輝く細かな光になる。
「ユウキ、これはなんなのかしら。とっても深い。それに、空をくっきり映して、まるで鏡みたいな池ね」
「ただの池じゃないな」
「こんなの初めて見たわ」




