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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第2章  ~文通~
37/59

37 ~青い東大寺 ~

 ❤


 寒くなってきたわ。


 もうすぐ本格的な冬だから寒いはずよね。ユウキはどうしているのかな。


 視力が落ちたって書いてあったけど、だいじょうぶかしら。きっとまた小さなものをいっぱい組み立てて何か発明しているんだろうな。


 そういえば五年生のとき『米粒に文字を書く機械』を作るって一生懸命だったけれど、結局失敗したって言ってた。他にも『逆に回転して過去に向かっていく時計』とか『風邪予防フルフェイスヘルメット』とか作ってたわね。それに『からだと一体化するこたつ』。ユウキの発明ってなんだか笑えるんだよね。


 修学旅行でスケッチした東大寺を油絵に描いている。黒い屋根と白っぽい壁の建物だったけど、あえて青い色を基調にしてみた。時代が変わっても変わらないもの、そうだな、なんていうか『祈り』のようなものを表現したいんだけど、いい感じに仕上がりそう。


 奈良公園の鹿さんたちも今頃は寒さに震えているんだろうなあ。また旅行に行きたいな。日本中を歩いてみたい。それに、いつか外国にも行ってみたいし住んでもみたい。知らない国にアトリエを作るのも悪くないな。私が外国に行きたいって言ったらユウキは何て言うかしら。


 川の色や流れをどうやって絵に表現するかはとても難しい。川の流れってなんだか永遠を感じる。流れても流れても流れてくる。そこにある水は同じように見える。なのにさっきあった水とは違う。私の心も川の流れと同じかもしれない。どんどん流れていって、ここにはいつも新しい私がいる。



 

【ユウキへ


 もうすぐ冬本番ね。


 ユウキのところは東京よりずっと南だから雪はそんなに降らないかもね。


 どんなところなのかしら鴨島町って。行ってみたい。いつか行って、吉野川っていうところでユウキと一緒に写生したい。


 近くに住むよりももっと近くで一緒にいたいってどういう意味なの? なんとなく分かるけれど、なんだかはっきり聞くのが恐いような気もする。今度会えた時に話をしたいな。 


 今ね、修学旅行でスケッチしたものを元にして油絵を描いているの。『青い東大寺』なのよ。私が尊敬する日本画家が描く青をイメージしたの。透明感のある、内側から輝くような青。


 最近、油絵だけじゃなくて日本画の作品もたくさん見ているの。絵だけじゃなくて建築の雑誌なんかも立ち読みしている。勉強することが本当にたくさんある。どこまでも無限に。自分でどんどん調べていくってとってもおもしろい。ユウキの発明と一緒ね。


 目が悪くなったんだって? とても心配。工作で細かい物を見過ぎてるのよ、きっと。私の視力は二.〇のまま変わってない。毎日『目の体操』をしているからかな。ユウキは『目の体操』って知ってる? 遠くの山を見て目をクルクル回すの。試してみてね。


         十一月十四日   アオイより      】



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