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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第2章  ~文通~
36/59

36 ~こっちもびっくりした ~


 本当にびっくりした。


 京都でアオイに会えたなんて今でも信じられない。でも、会えてよかった。アオイは前よりずっと大人びていた。だんだん女の子から『美しい女性』に変身していくんだろうなあ。


 僕も負けてはいられない。『頼りがいのある男性』にならなくっちゃ。でも、アオイはあんまり人に頼らないしちっとも甘えないから、僕がいくら頼りがいがあっても意味ないかもしれないね。


 アオイはきっと言うだろう「頼れるとか頼れないとか関係ない。そのままのユウキでいいのよ」って。僕はアオイに甘えてほしいのだろうか……。甘えてくれてもいいし、今のままでもいい。アオイがそのままのアオイだったら僕はそれでいい。


 なんだかお互い同じようなことを考えているのかもしれないね。


 でも、「そのままの僕」ってなんだろう。僕が僕だって言えるのはどんな時なんだろう。あんまり難しいことを考えても答えは出そうにない。


 簡単に考えよう。そうだな、僕が一番「そのまま」でいる時はアオイのことを考えている時と発明のことを考えている時かな。それが一番楽しい時間だから……。

 



【アオイへ


 十月も終わったね。


 修学旅行で会えたのは不思議だった。


 何十万分の一かの偶然だ。けれど、いつも会いたいと思ってたから神様が会わせてくれたのかもしれない。僕はそう思ってる。


 アオイに会えてよかった。アオイはとってもきれいになっていた。本当だよ。もっと長い間話していたかったなあ。もう一度東京へ転校できたらいいんだけれどね、父さんに聞いたら徳島は長くなりそうなんだって。


 これから先、アオイと僕は何度会うことができるんだろう。大人になったら近くに住んでいつでも会えたらいいね。いや、近くに住んで、なんて違う。もっと近くにずっと一緒にいたい。


 新京極で、確かにミカちゃんがアオイをにらんでたから僕もびっくりした。でも、ミカちゃんが僕のことを好きなのかどうかは僕にはわからない。もしそうだとしても、ミカちゃんは僕の友達のひとりだよ。


 僕は相変わらず発明と工作に励んでいる。これをしているときが一番楽しい。時々風景も描いている。


 アオイは今、このときも絵を描いているんだろうな。


 吉野川は水がとても澄んでいる。夏と違ってだんだん冷たそうな色になってきた。藍色から青色へ。


 いつかアオイとふたりで堤防に座って写生したい。アオイはこの水の流れをどう表現するだろうか。


 最近、かなり視力が悪くなってきたんだ。今まで一.五だったのに急に〇.五くらいになって、黒板の字も読みにくい。もしかしたらメガネをかけるかもしれない。アオイは視力、だいじょうぶかな。それじゃ、また。


         十月二十七日   ユウキより      】



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