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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第2章  ~文通~
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32 ~頭冷え冷え帽子~


 そうか、アオイはあくまでも画家への道を進むんだ。迷いはないんだな。


 お医者さんにも向いていると思ったんだけどな。アオイはしっかりしてるし。でも自分の行きたい方向がはっきりしたってことはいいことだと思う。


 もうすぐ夏休みが終わる。プールに毎日通ってたら真っ黒になった。発明工夫展へ出す作品も最後の仕上げだ。


 ムー君も何か出すって言ってた。あいつも僕と似ているところがあって工作好きなんだ。でも、ムー君は高校は徳島市にある進学校に行くと言っている。大きな発見をしたいんだそうだ。ノーベル賞を狙っているらしい。すごいなあムー君は。


 でも、それはムー君がそうなりたいからそうするだけだ。僕は別にノーベル賞を狙っている訳じゃない。工作とか発明とかが大好きだからそれができる方向へ行きたいだけなんだ。



 

【アオイへ


 夏休みの宿題はすんだかい? 


 僕は発明工夫展に出す作品をなんとか仕上げたよ。『頭冷え冷え帽子』っていうんだ。ミシンを使ったり、手縫いしたり、楽しかったよ。これを使ったらかなり暑さを防げるはずなんだ。この帽子をかぶった僕の写真を同封するよ。


 アオイは画家への道を進むんだね。お母さんが応援してくれることになってよかったね。強く決意して迷わず進め、だね。


 僕も少しはアオイの役に立てたようで嬉しいよ。


 僕は工業高校か高専に行きたいと思っている。とにかく僕は手を動かして物を作りたいから、机の上だけで勉強するのは耐えられないと思うんだ。実習がたくさんあるところがいい。


 このまえムー君がね、「ユウキは誰ともつきあわないのか」って聞いてきたんだよ。


 どうやら、僕のことを好きな女の子がいるらしい。名前は秘密なんだって。


 僕は言ったんだ。僕は東京にいるアオイって子が好きなんだよって。そしたらね、ムー君が「仕方がないなあ」って。


 アオイはどう? 僕の他に気になる男の子がいる? では、また。


       八月三十一日  ユウキより      】



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