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最後の手紙  作者: 白鳥 真一郎
第2章  ~文通~
27/59

27 ~自分の夢~


 ユウキは普通の中学校に行くんだなあ。私も普通の中学校に行きたい。


 お母さんにそう言ったら、普通の中学校より中高一貫の方が高校受験がないし、いい大学に行けるって。


 いい大学ってなんなんだろう。いい大学に入ったらいいことがあるのかしら。


 私の家はそんなにお金があるわけではないと思う。でも、もし大学に行けるんだったら美大に行きたい。サカモト先生に聞いたら、美術学科がある都立高校があるって言ってた。できれば高校はそこに行きたい。思い切ってお母さんに言ってみよう。


 私の絵はとびっきり上手な訳ではない。それは私が一番よく知っている。


 でも、私は思うの、ユウキも気付いているように、私の絵にはきっとね、人を幸せにする力があるんだと思う。だから、私は絵を描いて生きることが一番いいと思っている。そうしたら私が私らしく生きることができるって思うの。





【ユウキへ


 返事が遅くなってごめんなさい。


 いろいろ考えていたの。


 やっぱり私は絵を描きたい。そうお母さんに言ったの。できれば美術学科のある高校に行って、それから美術大学に行きたいって。一生絵を描いて生きていきたいって。


 そしたらね、お母さんは、それは絶対にだめだって。絵を描いて生きていける人なんて本当に少ないんだって言うの。資格を取ってきちんとした勤めを持って堅実に仕事をしていかないといけないって。


 実際に絵を描いている人で売れなくて行き詰まった人をたくさん知っているんだって。そのときになって後悔しても遅いって。自立して生きていけるだけの技能を磨いておかないといけないって。


 お母さんの言ってることはよくわかるんだけど、私は絵を描くことにしか興味がないから、もし普通の会社で働いてもきっとうわの空だと思う。


 そしてね、これから受験までの間は絵を描くことをやめて受験勉強に専念しなさいって言われて……。塾にも通えって。私、いやだ。ユウキは自分の夢をどうやってかなえていくの? 


 雨が降っている。この雨が巡り巡っていつかユウキのところに行くのね。私は雨になってユウキのところに行きたい。


          七月十八日   アオイより      】




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