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壊れた赤頭巾ちゃん

作者: 翳の使者

入試直前なので長い話は書けてないと思い童話にしました。今年中にのんびり書きたいと思ってる新作ネタで使うお話の一つです。

むかし、むかし、あるところに一人の少女が住んでいました。少女の名前はマリア。華奢な体に海のように青い目をした可愛らしい女の子です。近所ではおばあちゃんから貰った赤い布で作られたずきんをいつも被っていたので赤ずきんちゃんと呼ばれていました。

ある日、お母さんは赤ずきんちゃんに言いました。

「マリア、おばあちゃんがお花が欲しいって言ってたからいつも優しくして貰っているお前が持って行っておやり、いい?寄り道をせずにまっすぐおばあちゃんのお家に行くのよ。それとオオカミには用心しなさいオオカミは人を食べちゃう恐ろしい動物よ、話かけられても知らん顔をしているのですよ」


「はい、お母様」

赤ずきんちゃんは元気に答えました。


「それじゃあ、この花束を持ってお行き、匂いを嗅ぐとリラックスしてすぐ眠くなる特別なお花だから行く途中に匂いを嗅いだりしちゃダメよ」


「はい、行ってきます。お母様」


赤ずきんちゃんは元気に頷いておばあちゃんのお家に出かけて行きました。


おばあちゃんのお家は赤ずきんちゃんの家から歩いて30分程かかる森の中にありました。

その日はとてもいい天気で赤ずきんちゃんはスキップをしながら歩いているとオオカミが現れたのです。

「やあ、こんにちは君は村のお嬢ちゃんかな?こんなところで何をしているんだい?」

オオカミはニコニコしながら話かけてきました。

赤ずきんちゃんはお母さんから言われたことを思い出しましたが、動物好きの赤ずきんちゃんはオオカミが人を食べるとは思えませんでした。

「こんにちはオオカミさん、私は今から森の中にあるおばあちゃんのお家に行くところよ」

「へぇ、森に行くんだ……君一人で行くのかい?」

オオカミは笑顔のまま赤ずきんちゃんの顔を見つめながら言いました。

「ええ、そうよ。いつもおばあちゃんには優しくして貰ってるから私が一人で行って喜ばせてあげるの」

「そうなんだ。それは今日じゃなきゃ駄目なのかい?僕は今日森に入るのはオススメしないよ。今日の森は騒がしい、君みたいな女の子には危険だよ」

オオカミは相変わらずニコニコとしたままけれど先程より低い声で言いました。

「うーん、でも森で危険なのは貴方だけだってお母様から聴いたわ。でも貴方はこんなに優しい。きっと私だけでも大丈夫よ」

赤ずきんちゃんは元気よくそう言いました。

「……ふーん、そうすればいいよ。僕は忠告くらいはしても止める義理はないからね。じゃあ、気を付けてねお嬢ちゃん」

「ええ、さようならオオカミさん」

赤ずきんちゃんはオオカミにそれだけ言うと森に向かって歩いて行きました。

「いつもその能天気な性格は愛らしいと思ってたけど、こんな壊れちゃた世界じゃあ身を滅ぼすだけだったね・……赤ずきんのマリアちゃん」


赤ずきんちゃんはオオカミと別れるまたスキップをしながらおばあちゃんのお家に向かって歩いて行きました。しかし、いつまで経ってもおばあちゃんお家に着きません。真上にあったお日様も沈み始めました。

赤ずきんちゃんは日が沈み始めたので仕方なく今日はお家に帰ろうと来た道を戻り始めました。

ところが、来た道をいくら戻っても森を抜けることができません。

「どうしよう……」

ついに日も完全に沈み、赤ずきんちゃんは途方にくれてしまいました。


辺りは暗くて何も見えません。雲で夜と照らす月すらも見えない辺りは本当に真っ暗です。聞こえるのはフクロウの不気味な泣き声と悲鳴のように木霊す風の音だけ。

赤頭巾ちゃんは段々怖くなってきました。

「誰か、誰かいないの!」

暗くて身動きが取れない赤頭巾は怯えながら必死に叫びました。

すると……

「誰かそこにいるのかい?」

赤頭巾の後ろから男の声が聞こえてきました。

「はい!ここにいます!村のマリアです!」

赤頭巾は後ろを向いて大きな声で言いました。

「ああ、よかった。マリアちゃんもう、大丈夫だよ。ワタシは君のお母さんに頼まれて探しに来た猟師だ。今そっちに行くからそこを動かないで」

「はい!」

マリアは安心しました。大人が助けにきてくれたと、もう何も心配は要らないと。そう思いました。

「良かった。もう大丈夫だよ」

誰かの手がマリアの顔に触れました。しかし、触れられた感触には違和感がありました。

マリアは気になって尋ねます。


「ねぇ、なんで猟師さんの手は硬いの?」


「それは色々な獲物を狩ってきたからだよ。武器をずっと持っていると豆が沢山できて硬くなるんだ。フフ」


「なんで笑てるの?」


「それはマリアちゃんを見つけれて嬉しいからだよ」


「じゃあ、なんで……らしているの……?」


「それはね、夕食が楽しみだからだよ」


「……そうなんだ。じゃあ、早く帰りましょう」


「ああ、そうだね、君を返さないとじゃあ……―――」




しばらくすると雲が晴れて金色に輝く満月が森を照らした。

先程までマリアと猟師が居た筈の場所には二人は居ない。変わりに黒い耳を生やし、口から牙が生え、赤い汁を滴らせる一人の大男だけが立っていた。





その後、赤頭巾マリアの姿を見た者は居ない。




「皮肉なものだよね、何回も何回も僕が赤ずきんちゃん食べ、猟師が赤ずきんちゃん助けるっていう話の流れを繰り返してしたのに、ちょっと壊れたらいつも騙して食べてた僕が赤ずきんちゃん忠告し、命の恩人だった筈の猟師に食べられる。僕は別に構わないけどさ。本来の姿、性格すらも変え、主人公が辿りつくべき最高の最後に辿りつくための道、もしくは線路『シナリオ』ってやっぱり重要だよね。でもいつもガタ一つないから完璧過ぎるからちょっとでも壊れると大変なことなっちゃうんだよね。この世界・・みたいに……」










補足、解説:この物語は前書きの通り、新作で使う予定のネタの1つです。テーマは「壊れたシナリオ」にしました。文字通り物語のシナリオを壊したお話です。今回はグリム童話でお馴染み「赤ずきん」で作ってみました。バッドエンドだし、意味分からないかも知れませんが自分なりに「赤ずきん」を壊してみたつもりです。新作はこの壊れたシナリオを違う形で主人公が修正していく物語です。なので新作の方ではこの「壊れた赤ずきん」もハッピーエンドになる筈なので楽しみにして頂けたら幸いです。新作は受験後に本格的に書くつもりですが実はこっそりエブリスタ様の方で少しだけ公開してたり、してなかったりするので気になる方(居ないかなぁ……)は見て下さい。では


追記:一瞬だけかもしれないけど日刊カテゴリー別ランキング3位に入りました!ありがとうございました!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一話だけだと、いまいち分かりませんが、設定として考えと楽しそうですね。 シナリオが狂う元凶は何かとか気になってきますね。 [一言] 本編も読みたくなりました
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