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レッドリング ギャングスター  作者: 須賀川 純
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完璧な女

レッドリング ギャングスター


完璧な女


女は決して裕福な家の産まれではないが、完璧な親の愛が彼女を強く育てた。だが彼女の両親は1つだけヘマを踏んでいた。両親はこの世の綺麗な部分だけ彼女に教え、決して汚れた部分教えなかった。

学校で彼女は生徒及び教師達にも信頼され、成績もトップクラス。生徒会に勤め、会長にも推薦された。卒業式には涙し、両親が自分を産んでくれたことを感謝し、同時にそれを言葉にして伝えた。彼女は大学にあがり、いつも通りの完璧な日々を送っていた。しかしその大学で彼女は初めてイジメに合う。まるで誰ともウマが合わず、不思議なことに旧友達も彼女を避けている。突如孤独に追いやられた彼女はふさぎ込んでしまった。愛のこもった親の言葉も耳には入らず、彼女の世界は徐々に崩れていった。それでも彼女は努力を怠らず、大学を卒業し国家の犬となった。もはや金だけが彼女の友だった。天使のようだった彼女も今や悪魔のような女になり、ついには彼女も裏に手を伸ばす。殺し屋を雇い、かつて自分を裏切った仲間達への報復を始めたのだ。

ある日彼女殺し屋にキャッシュを渡すために、は町外れの駅へと向かった。駅には誰もいない。真夜中のレッドリングに、優しい、優しい雪が降る。無音の世界。電車が来るその瞬間まで、一切の音は発生しないだろう。だがその足音に気付いた時にはすでに遅い。目覚めると彼女の足はコンクリートで固められていた。ここは港だ。恐怖と混乱で頭が真っ白になる。そしてそこには、自分が雇ったハズの殺し屋がそこにいる。そしてその仲間達も。

「久しぶりだなぁ、会長。まあ、俺のことなんて覚えてはないだろうがね。なんせあんたらお嬢様グループに俺は関わっていなかったからな。」

殺し屋は小さい頃によく遊んだ、幼馴染みのジェリーだった。

「気付いてないようだが、アンタは自分でも意識しないうちに、多くの人間を傷付けてきた。当日殺し屋ごっこしてた俺に、よく依頼が来たもんだよ。尊敬するよ、どうやったらそこまで恨みを買えるのか。俺の友人からの頼みでね、アンタを始末するように言われたのさ。確かに俺はクズ以下だよ。殺しで金を稼いでる。だが、殺しもしたこともないのに、ここまで多くの人間から恨まれるとぁ、大したもんだよ。アンタ俺よりも敵が多いね。本物のギャングよりも、おテテが綺麗な偽善者の方がおっかないか………。あっ、全財産もらうよ?それから君を殺す。親を恨みなよ?この世は腐ってる、それが鉄則であり全てだ。それを親御さんは教えてくれなかったんだな。」

彼女は尋問される前に金の在り処を吐いた。だが確認の為、ジェリーはしつこく彼女の体を滅多刺しにする。地獄の叫びは、優しく地面に降り注ぐ雪粒の中に消える。ヤクザ者達は彼女を生かしたまま海に捨てる。息ができない。傷口から冷たい海水が入り込む。それは多くの人間の彼女に対する憎しみか。ジェリーは仲間に指示をだし、タバコに火を付ける。

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