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レッドリング ギャングスター  作者: 須賀川 純
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プロローグ

レッドリング ギャングスター


プロローグ


姉とケンカした男の子がすねてしまい、いつまでたっても部屋から出てこない。彼がよく遊んだ校庭は、彼の世界そのものだった。しかし、彼が世界地図を見て、地理、社会を学んだ時、きっと彼の世界は崩れてしまったのだろう。父親はいつまでたっても食卓に来ない男の子に腹を立てる。姉は父親の様子を見るなり恐怖を覚え、男の子のいる部屋へと向かい、「ジェリー……お、おいでよ…」と優しく誘うが、男の子は大嫌いな姉を無視した。しばらくして父親がテーブルを強く叩く音が聞こえ、男の子は部屋から出た。激怒した父親が廊下に立っている。男の子が父親の前を通り過ぎると、父親は彼の後頭部を殴った。続けて男の子の腰に蹴りをくらわせ、男の子はまるでアニメのように吹っ飛んだ。「このガキ……目から火がでるまで殴ってやろうか?勉強もしないで反抗ばかりしやがって。お前はいったいどんな大人になるんだろうな?」男の子はすぐに立ち上がり、食卓へ向かう。その真っ赤な目から流れ落ちるハズだった涙を復讐心へと蓄積させた。


両手両足を縛られた男が、闇夜の山奥の中で男達に囲まれている。目の前には自分を埋める為の穴が掘ってある。男を取り囲むヤクザ者達の中で1番洒落たスーツを着た男が口を開く。「俺が欲しいのはアンタの全財産だ。講座と、カードの暗証番号も教えてくれ。」

教えて後で殺されることを分かってはいても、ヤクザ者達の拷問に一般人が耐えられるハズがない。もう指はほとんど削ぎ落とされた。耳も、鼻も……。

「そんな姿じゃ生き残っても死にたくなるから、今始末するよ。理不尽だよな?世の中ってのは。別にアンタが悪いことした訳じゃないのにな。お悔やみ申し上げるよ。俺の親父も、俺に対して最高に優しかった。」

男の喉を裂いてトドメを刺し、溢れ出る血をうっとりとした顔で眺める。ヤクザ者の名をジェリー。平和な北の国を暗黒街に変え、20代で組織の幹部となった。癒えることのない彼のキズは、他人の血で癒される。残虐な彼にさえも、愛はしつこくまとわりつく。レッドリングに、また長い冬が来た。

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