第34話「本物」の思わぬ遭遇wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ちょうど陽も暮れかけてきた頃、この世界では今は夏なのだろうか?
少しひんやりしてきて、ひぐらしの声が響き始めた。
みんなでご飯を食べ和んだ後、沙織は川を渡ってきた太田道灌の兵がまだ生き残ってるかもしれないと言って、一部の武士達を5人1組に班編成し4班作ると、この辺一体をチェックしに行かせた。
沙織はしつこく「必ず5人で行動しろwwwwwwwwwwwwwww何かあったらすぐ他の班も応援に行けるように各班離れて行動するなwwwwwwwwwwwwwwwww」と指示を飛ばした。
沙織はどうも力があるというよりは身軽な兵を集めて班を編成したようで、その武士達は沙織に一礼すると霧が晴れるかのように姿を消した。
ああ、こんな感じで忍者って生まれたのかもしれないね…
それに刀で斬り合うなら、1撃の重さも重要だけど、眼に見えない速度で移動しながら刀を振り回した方が強いのかもね。
特にこんな雑木林の中では、長い刀を振り回してもすぐに草木にぶつかってしまう。
物陰に隠れたり、器用に動きにくい雑木林の中をすり抜けながら戦った方が有利だと思う。
そして、その間にコブが新羽のイオンで買ってきた大量の食品を、城から持ってこさせた荷車に積む作業を始めた。
それは主に速さはないが力がありそうな武士達に任せ、他の武士達は再びお堂周りの警戒に当たらせた。
「お前達急ぐんだ!wwwwwwwwwwwwwwwwww補給は迅速さが重要wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww今太田道灌軍に狙われたら明日から食べるものがなくなるぞ!!wwwwwwwwwwwwwwwwwww敵が現れたら全力で物資を守れ!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はM3と言っていたサブマシンガンを手に取り、いつ敵が襲撃してきても対応できるようにしながら武士達に作業を急がせた。
どの武士もしっかり食べたせいか、覇気がみなぎり作業も順調に進んでいった。
これは沙織が武士達を適材適所に配置したのもあるだろう。
あと中身は見えないんだけど、恐らく武器が入っていると思われる大きな木箱も、たくさん運ばせようとしていた。
それを見て、いったい今がいつの時代で、誰がどこで戦っているのかなんて、僕にはまだよく把握できていないんだけど、このまま沙織が天下を取ってしまうんじゃないかと思えた。
なんかめっちゃ危険な気がするよ…
そのうち沙織は船で海外にも出向いて、この世界のすべてを掌握しちゃうんじゃないんですかね…
あんまりやり過ぎると未来とかが変わっちゃって、僕達の存在が消えちゃったりするんじゃないのかなあっ!!!!!!
僕はそんな沙織の横でみんなの仕事を眺めてたんだけど、ふと沙織は病んだ真顔で僕に話しかけてきた。
「差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww安倍総理は1つだけ分かっているのに嘘をついてるところがあるwwwwwwwwwwwwwwwwwwなんだか分かるか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が病んで笑みを浮かべながらそう聞いてくるんだけど、そんなこと考えたこともないので困ってしまった。
「ええ…そんなこと言われたってわからないよ…」
そう返事をする僕を見て、沙織はいかにも僕が駄目みたいな態度で病んだ笑みを浮かべ首を振った。
「私は安倍総理には賛成だwwwwwwwwwwwwwwwwwww戦わなければ死んでしまうwwwwwwwwwwwwwwwwwこれは太古の昔から変わることがないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwそもそも国連憲章にも書いてある通りで『全ての国に集団的自衛権は認められている』のだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwしかしだwwwwwwwwww補給路を断ったり補給部隊を襲うなんてことはこれもまた昔から行われている戦術の1つだwwwwwwwwwwwwwwwwwww自衛隊が後方支援するだけだとしても当然安全だとは言い切れないwwwwwww子供にも分かるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこうして物資を城に運ぶことは戦略的に必要だからだwwwwwwwwwwwwwwwああ!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwしかしこのままではアメリカに自衛隊が取り込まれてしまう!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwなんとかならないのか!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwしかもTPPにより日本の食料自給率が下がり補給が困難になったらまともに戦えない国になってしまうではないか!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が興奮しながら難しいことを言ってるんだけど、僕には意味がよくわからなかった。
わからないんだけど、沙織にとっては重要なことなんだろうね。
たまに沙織は1人で興奮して難しいことを言い出すから困る。
でも今ここで城に食料を運び込めば、しばらくは安心して戦えるし、この食料を奪われてしまったら本当に飢え死ぬ人も出てくるというのはわかる。
実際に今日初めて戦場に出て分かったんだけど、どこもかしこも安全なところなんてない。
本当の戦場はいつどこで襲われるかわからないのだ。
こうしていても僕はさっきまでこのあたりをうろついていた太田道灌の兵の生き残りがいて、いつ斬りかかってくるかわからないと考え不安になっている。
沙織が僕にRPGを撃たせた意味が分かってきた気がした。
あれくらいのことをやって、ギリギリこっちの命が危険から遠ざかるかどうかなのだ。
だんだんと戦争が本格化してきている。
とりあえず、ひたすら死なないように逃げ延びるしかないな…
しばらくして周囲をチェックしに行った武士達が帰還した頃には、荷車に荷物は全て詰め込まれていた。
沙織は武士達に細かい指示を与えると、隊列を組み荷車と共に城へ向かった。
コブ達と一部の武士は協力して、お堂を引き続き警備するよう沙織は指示した。
コブも見たこともないめっちゃでかい銃を持ってたんだけど、あれさえあれば100人位襲いかかってきても数分で殲滅できるかもね。
沙織と僕は道案内役の身軽な武士と一緒に先頭を歩いてた。
どうも銃を扱う沙織は、周りに仲間の武士達がいると発砲しにくいので、先頭にいるのが一番動き安いらしい。
お堂からお城までは坂道が大変だったけど10分かかるかどうかの短い距離だった。
お城は僕の身長より少し高いくらいの塀に囲まれていて、お城自体は沙織の豪邸よりは小さいみたいだ。
なるほど、大阪城とかテレビで見るようなお城を想像してたんだけど、そこまで巨大な城というわけではないんだね。
3階建てくらいなのかな???大きめな公民館的な感じとでもいうべきだろうか。
でもお城なんていうとお殿様が悠々自適の生活を送っているようなイメージがあったけど、目の前に広がる「本物」のお城は、戦い生き延びるために作られた拠点であり、無骨で黙々と苦難に立ち向かい続けるような不屈の闘志を感じさせた。
お城の門前で僕達は立ち止まると、一緒に先頭を歩いてきた身軽な武士が門の前に立っていた武士達となにか話しを始めた。
「差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwww我々は神として入場するんだからなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww堂々としてないと駄目だぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は武士達の様子をじっと見ながら、僕にそう話しかけてきた。
「沙織、この後どうするんだ?城に入った後に何をすればいいんだ?」
ここまで来たのは良いんだけど、僕はただついて来てるだけなので色々心配だった。
でも沙織は全く動揺した様子もなく、なんどもこの城に出入りしている武士のように、威風堂々と病んだ笑みを浮かべていた。
「心配するなwwwwwwwwwwwwwこの小机城城主小机弾正に言いたいことはいくつかあるが向こうから色々言ってくるだろうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwなあに流れに身を任せてゆったりしてればいいんだよwwwwwwwwwwwwwwwこっちは堂々としてればいいんだwwwwニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は心配するなという感じでそう言うんだけど本当に大丈夫なのかなあ?
僕と沙織が話していると、武士達の間で話がついたようで、ゆっくりとお城の門が開かれ始めた。
沙織はゆっくりと歩き出し城の中に入っていったので、僕も沙織に置いていかれないようについていった。
お城の中は良く整備されていて、ゴミ1つ落ちている様子がなかった。
このお城の城主は真面目できっちりした人なのかもね。
外の世界は戦いに染まり、いつどこで人が死んでもおかしくない感じだったけど、お城の塀の中は別世界でまだ平和な感じがするな。
僕はお城の中なんて入ったことがなかったので色々見回していると、見たことのある女の子が1人で落ちていく夕日をポツリと立ち尽くし眺めていた。
あれってキレイな和服を着てるけど…間違いなく佐藤さんだ!!
「沙織!佐藤さんがいるよ!」
僕が沙織の腕を引きながらそう言うと、沙織は僕の指差した方を見て怪訝な表情になった。
「ニャンパス!!!wwwwwwwwwwwwくそwwwwwwwwwwwwwwwwwwwあいつまだ生きていやがったかwwwwwwwwwwwwwwwww死ねばいいのにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「何言ってるんだよ。佐藤さんを探しにきたんだろ?一緒に行こう」
「しかたないなあwwwwwwwwwwww元の世界に連れて帰るかwwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕が諭すと沙織はしぶしぶ納得して、僕と一緒に佐藤さんの所へ向かった。
佐藤さんも1人でこんな所に放り込まれて大変だったろうな。
めっちゃ辛かったと思うから、早く元の世界に連れ帰ってあげないとな。
「佐藤さん!!!!」
僕が佐藤さんのそばに駆け寄りそう声をかけると、佐藤さんは不思議そうな顔をして振り返った。
「よく生きてたなwwwwwwwwww」
沙織が続けてそう言うと、佐藤さんがめっちゃ怒ったような顔になり僕達を睨みつけた。
「何でお前達がこんな所まで来てるんだよ!!!!!!!」
佐藤さんはそう僕達に怒鳴りつけてきたんだけど、僕には佐藤さんが何で怒っているのか全然わからなかった。
その怒鳴り声を聞いて、沙織の目には黒い影がかかり凶悪な光を放ち始めた。
僕はそこまで親しくないけど、まさか佐藤さんが怒鳴ってくるとは思わなかったので、しばらく呆然として何も言えなくなってしまった。