第22話「本物」のニャンパスの穴デートwwwwwwwwwwwwwwww
「うひひwwwwwwwういひひhひひいひひっひひいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が急に僕の腕の中で狂った様に笑い出した。
僕の「死亡フラグ回避センサー」が反応する!!!!
ヤバい…なんかある…なんかあるぞ!!!!
沙織は笑いながらしばらく小刻みに震えていたが、そのうちゆっくりと顔をあげた。
沙織の目には黒い影がかかり凶悪な光を発していた。
まただ!この何をしでかすかわからない「本物」の悪魔の目。
しかもこの至近距離!!!!
いつ僕を殺してもおかしくない暗黒オーラを漂わせながら、沙織は「本物」の狂気を振りまいていた。
「そうだwwwwwwwwwwwwwwwwwwww昨日屈強なタイ人がニャンパスの穴に誰か投げ込んでた気がするなあwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww私1人だと探すのが大変wwwwwwwwwwwwwwwwww『差身も』一緒にニャンパスの穴に入るなら佐藤若菜ちゃんを探してもいいぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織がしらっととんでもないことを言い出した。
当たり前の流れといえばそうなんだけど、ニャンパスの穴に僕が入るということは全く考えてなくって、かなり引いてしまった。
「えっ?!」
僕は思わず声を上げた。
いや確かに佐藤さんは助けなきゃいけないけどさ…
あの中に僕も入る必要あるの?
というかあれって入っちゃって本当に大丈夫なの???
だいたい佐藤さんはあの中をさまよってて出てこれないんでしょ???
僕の命まで消えてしまうことはないんだよね!!!!
「そうだぞwwwwwこれは当然wwwwwwwwwwwwまさか差身wwwwwwwwwwwwwwww私一人であんなに『恐ろしくて危険な』ニャンパスの穴に入って来いっていうんじゃないだろうな?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が理詰めで僕を追い込んでいく。
知能の高い「本物」の悪魔沙織が容赦なく攻め立てる。
僕は何も言い返せずに、ただニャンパスの穴に入る恐怖に震えていた。
「そ…それは…」
「まさか差身は外で待ってるだけなんてことはないよな?wwwwwwwwwwwwwwwwww私に1人で行けというなら行かないぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwそれとも差身1人で行ってくるか?wwwwん?!wwwwwニャンパス?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「分かった…沙織…一緒に行こう…」
「やったwwwwwwwwwwwwwww差身とニャンパスの穴デート決定wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwまさにデート・ア・ライブwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身が私をニャンパスの穴デートでデレさせたら全て解決するかもしれないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕がしぶしぶニャンパスの穴に入るのを了承すると、沙織はめっちゃ嬉しそうに病んだ笑みを浮かべながら僕に何度も飛びついてきた。
あれ…おかしいな…
なんだか僕、沙織にはめられてないか?…
沙織と一緒にニャンパスの穴へ入るように誘導されてないか???
最初から最後まで全てが沙織の演技で、ここまで僕が騙されている気がするんだけど…
まあでもしょうがないな。
絶対に入りたくはないんだけど、ニャンパスの穴の中に入ってあれが何なのか知っておかないと、あとでまたなにか起きた時に対処しづらいしな…
確かに沙織1人だと危ないこともあるかも知れない。
それに沙織がニャンパスの穴の中で佐藤さんを見つけて「ニャンパス」してしまう可能性だってあるしな…
「ああでもニャンパスの穴デートはできるって分かってたんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「どうして?何でだ?」
沙織が今までのことなど何もなかったかのように、ケロッとした様子でわけの分からないことを言い出したので理由を聞くと、沙織は両腕を組みながら何かを思い出すように目をつぶりゆっくりと語りだした。
「ああwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww色んな私から未来のことを少し聞いたwwwwwwwwwwwwwwwwwwww12人の私と繰り広げたニャンパス会議は大変意義深い濃密な時間だったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwでも全部は知らないwwwwwwwwwwwwwwwwwww楽しみはとっておけと言われたwwwwwwwwwwwwwwwwでも私もそう思うwwwwwwwwwwwwwwwwずっと差身と未来永劫一緒にニャンパスな毎日を送れることさえわかればいいんだwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「沙織と僕は未来でもずっと一緒にいるのか?」
「そうみたいだぞwwwwwwwwwwwwwそれは間違いないらしいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwどの時代のどの世界線の私でも差身を逃すはずがないwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
どうも沙織が未来の自分とかと会ってきたというのは信ぴょう性が増してきたな…
しかし…やはり未来の僕も沙織から逃げ切れないんだな…
ああでも、沙織に殺されてもいないんだな…
とりあえず、生きてられればそれでいいか…
沙織は小刻みに震えながらコンバットナイフを取り出すと、とんでもない速さで僕の後ろに回り込み片手で僕を抱き寄せながらコンバットナイフを僕の喉元に突きつけた。
「じゃあwwwwwwwwwwwwwww今日の夜中にでもニャンパスの穴デートをしに行こうwwwwwwwwwwwwwwwww私をデレさせたら佐藤若菜ちゃんも見つかりやすくなるぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身wwwwwwwwwwwwちゃんとエスコートして私をデレさせるんだwwwwwwwwwwwwwwこれは『本物』の戦争なんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwういひひひひひひひひひひひいひひっひひひひ!!!!!!!!!!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は興奮しているのか声を震わせながらそう言うと、何故か「戦争」という部分で絶叫し狂った様に笑い始めた。
なにが戦争だよ、いいかげんにしろ…
まったく佐藤さんを助けに行くことより、一緒にニャンパスの穴に入ることを楽しみにしてるだろ?
僕はニャンパスの穴を見せるために、沙織が嬉しそうに僕の部屋にやってきたのを思い出し始めていた。
全て始めっから僕とニャンパスの穴に入るための作戦だったのかもな。
そう…ニャンパスの穴に佐藤さんをたたき落としたのも、全部僕とニャンパスの穴に入るための作戦…
ついでに憎いから死ねば良いくらいには思ってるかもしれないけどな。
あああああああああっ!!!!!!もう全部なかったことにしたあああああああああああああああああいっ!!!!!!!
この地下室ごと沙織や東南アジア系の怖い人達をコンクリートで埋め尽くして、平和な学校生活を送りたあああああああああいっ!!!
地べたを這いずりまわるような生活でもいいから、あの狂った穴が存在しない世界へ行きたあああああああああああああああいっ!!!
しかし戦争と言ったのも、あとで考えれば全く的はずれな言葉ではなかった。
ニャンパスの穴の先で、僕達をとんでもないものが待ち受けているとは、まだ沙織ですら知ることはなかった。