第20話「本物」の遠い記憶wwwwwwwwwwwwwwwww
「差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwこれに見覚えないか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww私は見た気がするんだが…wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は僕に抱きつきながらそう言うんだけど、こんなの見たことあるはずがない。
でも沙織はじっとニャンパスの穴を覗きこむように観察していた。
沙織の「本物」の直感が何かを感じているようだった。
「こんなの見たことないだろう?だいたい、これなんなんだよ…」
僕がそう言うと、沙織はニャンパスの穴を凝視したまま首をひねった。
「このニャンパスな感覚wwwwwwwwwwwwwwww私は覚えているwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww過去?wwwwwwwwwwwwwwwwいや未来?wwwwwwwwwwwwwwwwwww次元を超えたどこかか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww何度もこれを見た気が…wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwむしろ懐かしいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はそう言うと僕から離れて病んだ笑みを浮かべながら右手をニャンパスの穴に突っ込み始めた。
「バッ!バカッ!!!沙織、駄目だ!!!こんなに触ったら危ないだろ?!」
ニャンパスの穴に手を奥まで突っ込みガサゴソ探ってる沙織を、僕は慌てて引っ張り、ニャンパスの穴から沙織を遠ざけた。
そしてそのまま沙織と僕は一緒に後ろに転んでいった。
「差身wwwwwwwwwwwwww痛いじゃないかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwでも私のことを心配してくれたんだなwwwwwwwwwwwwwwww差身の愛を感じるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwわざと心配させて差身の気を引くヤンデレリストカッター作戦もいいかもしれないなwwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の腕の中に倒れ込みながら、何故かめずらしく顔を赤らめ沙織はもじもじしていた。
全く何がヤンデレリストカッター作戦だよ…
もう恐ろしくて想像もできないよ…
それよりこのニャンパスの穴をどうにかしないと、何かヤバいことが起こるんじゃないのかなあ…
「沙織、これは駄目だよ。どうみてもまともなものじゃない。大人に対応してもらおう。とりあえず、フタをしてここを出るんだ」
「大丈夫wwwww私は全く怖くないwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身wwwwwwwwww私は中に入ってみるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこの感じは間違いないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwちょっと待ててくれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はそう言いながら立ち上がると、スタスタとニャンパスの穴に近づきプールにでも飛び込むかのように頭からニャンパスの穴に入っていった。
沙織の体は異様な渦の中に飲み込まれすぐに見えなくなってしまった。
「ああっ!!!沙織!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は急いでニャンパスの穴に駆け寄ったが、そこには極彩色の渦がゆっくり動いているだけでどうすることもできなかった。
でも沙織はすぐにニャンパスの穴からよじ登るかのように出てきた。
全く怪我などなく元気そうなどころか、めっちゃ充実したような表情であった。
「ニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれ凄いなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はニャンパスの穴からはい出てくると僕の前に立ち、思いにふけるように目を閉じながら何かを考え始めた。
「まさしくこのニャンパスの穴を見つけたのは運命wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwまさかこんなことがあるとはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「沙織、中はどうなってるんだ?」
「いろんな場所に行けるぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwそしてどうやら過去にも未来にも行けるwwwwwwwwwwwwwwwwwww私はニャンパスの穴の中で自由自在に移動することができるwwwwwwwwwwwwwwwwwwそれより差身wwwwwwwwwwww私がニャンパスの穴に飛び込んでどれくらい時間が過ぎた?wwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「2~3秒だと思うぞ」
「そうかwwwwwwwwwwwwwwwwwwいろんな場所に行ってきたんだがなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww未来の私にも会ったぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww色んな私が12人集まってニャンパス会議もしたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身もいたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwそして色んなことを思い出したwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「沙織…お前…何言ってるんだ?ちょっと言ってることが分からないよ…」
沙織は訳がわからないことを言い始めたんだけど、どうやらニャンパスの穴はどこかにつながっているようだ。
そしてそれは一箇所ではなく複数。
何かしらのあってはならない「本物」の経験をこの一瞬で沙織はしてきたのだろう。
時間と空間がネジ曲がっているとしか言えない。
沙織がニャンパスの穴の中で自由自在に移動できると言ってるのには信ぴょう性があった。
なんでかというと、こんな訳の分からない物の中に入って、当たり前のように帰ってきたからだ。
僕ならこのおぞましい渦の中で死ぬまで浮遊してしまいそうだ。
今は頭がまわらないから、あとで沙織とゆっくり話をせねば…
「沙織、この穴は絶対に危ないから、隠しておこう」
感慨深げに目をつぶり何かを思い返している沙織にそう言うと、沙織は何かを思いついたのか下を向いたまま狂ったように笑い出した。
「うひひっひひひいひwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこのニャンパスの穴の良い使い方を思いついたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
偉大なる実験を行う前のマッドサイエンティストのように、沙織は「本物」の狂気に満ちた目で僕を見上げた。
「差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww明日の夜にはパパの会社の人に塞いでもらうwwwwwwwwwwwwwwww今日は帰ろうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織の目のあたりに黒い影がかかり凶悪な光を発していた。
来る…確実になんかやらかす気だ…
もはや沙織の考えていることなど分かるはずもなかった。
今僕が置かれている状況ですら、僕には受け入れられるはずもなく、見ていることしかできない。
沙織は「本物」の暗黒オーラを爆発させながら病んだ笑みを浮かべるのであった。