第2話「本物」の愛でいっぱいwwwwwwwwwwwwwwww
僕は屋根に設置した箱から大きめの石を取り出した。
この箱はあの「本物」の悪魔から身を守るための唯一の防衛手段である。
あいつは数限りない銃火器などを使用するが、僕には石くらいしか装備できないのだ。
もうRPGとかに出てくるレベル1主人公の以下なのに、現代の兵器と戦わなくてはならないんだけど!!!
スライムとかと戦わせて!!!!レベル上げさせてよ!!!!
あとスライムを倒した後に出てくるコインが使える武器屋も誰か作って!!!!!!
そうじゃないといい加減死んじゃうから!!!
人の命は一度消えたら元に戻らないんだよ!!!!
ああああああ!!!分かったよ!!月に3000円位なら課金できるから!!!!
もう少しでいいから僕にも武器を渡してくれええええええええええええ!!!!
でも良い部分もあって、石はいくらでも拾ってこれるから弾切れということはまずない。
あの悪魔は無限に武器を調達できる資金源があるんだけど、僕は普通の高校生だから石を拾うことくらいしかできない。
あと屋根に登っていれば、飛行機でも使わない限り上から攻撃されるということはない。
石を投げるにしても上から下の方が強く投げられるし敵も見つけやすい。
まあ、それも屋根に何か仕掛けられてたり、家ごと爆破されたりしたら終わりなんだけどね…
恐らく玄関だ。玄関に何か仕掛けられている。
日々危険をくぐり抜けながら自然に身についた僕の「死亡フラグ回避センサー」が働く!!!
僕は屋根から次々と石を玄関に向かって投げつけた。
死にたくない!!!まだ死にたくない!!!
何で入学式だっていうのにこんなことをしているのか!!!!!!
何で僕だけこんな無慈悲な試練を乗り越えないといけないの!!!!!!
すると石が玄関付近にぶつかる瞬間、爆発音と共に炎が立ち上がった。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!という轟音と共に小さなキノコ雲が浮かび上がる。
玄関は一部吹っ飛び、メラメラと残骸に火が点いていた。
ウヒヒヒヒ…燃えてる…燃えてるよ…
やはりそうか…僕が慌てて玄関から逃げ出したら、爆発するトラップを仕掛けていたようだ。
これで大丈夫だ。
あの「本物」の悪魔は深追いすることはない。
今朝はここまでだ。
ああ…今日も無事生き残ったよ…
だがしかし!その時であった!
屋根の上で呆然としていると、これ以上高い場所なんて周りにあるはずがないのに、聞き覚えのある「本物」の声が空から鳴り響いてきた。
「ニャンパスススススススススススウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
さすが「本物」意味不明な叫びだ。
その声の「本物」は僕が振り返る間もなく、ドサッと僕の背中におぶさるように落ちてきた。
そのまま後ろから僕を強く抱きしめると、飢えた肉食獣のように荒くてイヤラシイ息遣いで「ハア…ハア…」と言い続けた。
背中にあいつの胸が当たる…めっちゃスレンダーに見えるのに大きい…
間違いないあいつだ!!!あの「本物」が今日も僕を殺しにやって来たんだ!!!!!
「ニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwうひっひヒィィィぃ!カッコイイwwwwwwwwwwwイケメン!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwイケメン!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwレボリューションズwwwwレボリューションズwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
あいつが僕に抱きつきながら、意味不明な言葉を喚き散らしている。
これが「本物」の悪魔の正体。
毎日僕を殺しにやってくる張本人、僕の幼馴染みで彼女である沙織だ。
性欲のままに荒ぶる沙織にぶんぶん振り回すように抱きつかれ、僕はストレスと振動で吐きそうになっていた。
沙織は「本物」の愛で僕をいっぱいにしてくれる「本物」だ。
昔から沙織はめっちゃキレイで良くモテていたんだけど、小さい頃から執拗に僕につきまとってきた。
そしていつも「お前は私の彼氏だwwwイケメンやったなw」と言われ続け今日に至る。