第182話「本物」の囮wwwwwwwwwwwwwww
「敵wwwwwwwwwwww我々のアジトを嗅ぎ回る敵wwwwwwwwwwwwwwwwみんな挟撃するぞwwwwwwwwwwwww」
沙織は病んだ笑みを浮かべながら作戦会議を始めた。
作戦は簡単なもので沙織の豪邸の裏口から外に出て、正面口にいる敵を二手に分かれ左右から挟み撃ちにするんだけど…
僕が最初に囮になって敵と遭遇し注意を引くことになった。
沙織は「攻撃力は低いから大丈夫wwwwwwwwwwwww最悪いつものように石を投げるんだwwwwwwwwwwwwww」と沙織は言うけど「本物」達の誰でも良いから一緒に来てくれないのかなあ?
僕達は沙織の豪邸を裏口から出ると「本物」達は何か楽しそうに話しながら僕と反対側に歩いていった。
暗い中を1人で歩いて行ったんだけど、またわけのわからない「本物」の事件が起きないと良いんだけど…
しばらく歩くとすぐに敵と遭遇した。
そこにはこっそりと沙織の豪邸を覗くかなっちがいた。
あれ?なにか忘れ物でもしたのかな?
かなっちなら殺される危険性はないな。
全く僕の気配に気づかないかなっち。
僕はかなっちに近づき声をかけることにした。
「どうしたの?こんな夜中に。忘れ物でもした?」
僕がかなっちに後ろから声をかけるとかなっちはそっと振り向いた。
驚いていると言うよりは意外な感じというか…
かなっちは不思議そうに僕を見上げていた。
「おい、お前、なんでここにいるのだ?いつも起きているのか?」
かなっちは昼間と違っておとなしかった。
素直そうな感じがする。
「いつも寝てるけど、たまに夜起きてることもあるよ」
「そうなのか。私はつまらないから寝れないことが多いのだ。差身はここに住んでるのか?」
「そうなんだよね、沙織達に家を壊されて今建て直してるんだ。だから家が完成するまではここにいるよ。沙織は幼馴染みだから小さい時からこの豪邸は慣れてるんだ」
「そうなのか…差身は沙織と付き合ってるのか?」
「ああ…まあ…沙織以外と一緒にいたことがないしね…付き合ってるといえば付き合ってるよ」
僕がそう言うとかなっちはちょっと怒ったような顔になって腕組みをした。
「差身よ!あんな狂った女とは別れた方が良いのだ!どう見てもおかしいぞ。差身は見た目に惑わされているのだ!」
かなっちはそう語気を強めるんだけど、そんなことを言われてもなあ…
確かに沙織はキレイなんだけど、あんまりそのへんは気にしてないんだよね。
もう刷り込まれたように沙織から離れられないんだよな…
あれ?いつもの沙織の決めセリフ「私のことを忘れないように24時間怯え続けろ!」を思い出したんだけど、僕はいつの間にか沙織に洗脳されてるのかな…
「そうだね…沙織となんで付き合ってるのか自分でもわからないんだけど、何だか離れられないし、離れようとするとすぐ殺しに来るし、このまま死ぬまで一緒にいる気がするんだよね」
「駄目なのだ!沙織といたら一生に苦しむのだ!どう考えても不幸になるのだ!」
「いや…そう言われても…」
「差身よ!本当のことを話すのだ!私は差身を助けに来たのだ!あの犯罪者達から一緒に逃げるのだ!」
かなっちは僕の腕を力強く引っ張り始めた。
「え?逃げるってどこに?」
「大丈夫なのだ。私は収入もバッチリなのだ。動画を1つ公開すると15万円位はお金が入るのだ。結構貯まってきたのだ。世界中で動画は撮影できるから安定収入なのだ!差身よ!私と学校がない世界へ逃げ出すのだ!」
かなっちは両手を突き上げかなりそう信じ込んだように声を上げた。