第173話「本物」の朝wwwwwwwwwwwwwww
あれから2日…そう…まだ2日しか経っていなかった…
なんでこんなに時間が経たないのかな?
いつまでもこの異常事態が続くっていうの?
南の島で「本物」の戦火をかいくぐり生き延びた僕達は沙織の豪邸にみんなで住んでいた。
まだ学校は清城京の一撃で壊れたままで学校にも行けず、このままゴールデンウィークを迎える様相だ。
清城京と天使はなんとなく住み始めたんだけど、昨日若菜ちゃんもごっそり荷物を持って引っ越してきた。
僕は沙織に家を壊されてここにいるしかない。
ああ…もう…こんな狂った高校生活から逃げ出したい…
コンテナ船の荷物に紛れて「本物」から追われない世界に逃げ出したああああああああああいっ!!
あああああああああっ!!!死なない程度に衰弱しても良いから銃で撃たれる恐怖から解放させて!
あと差身補完計画というので僕を増やすとかいうわけのわからないやつをやるのはヤメテくれえええええええええええええええっ!
「どうした差身?wwwwwwwww顔色が悪いぞ?wwwwwwwwwww学校がない毎日だというのに調子が悪そうだなあ?ニャンパス?wwwwwwwwwwwwwwwww」
横浜にしては比較的自然が豊かな小机町。
その小机町にそびえる巨大な城、沙織の豪邸。
僕と沙織は2人で小机駅に向かって歩いていた。
他の「本物」達は南の島から帰ってきたあとも騒ぎまくっていたのでさすがに疲れたのか寝込んでいた。
朝の澄んだ空気が朝日をきらめかせる。
その光が沙織の透き通った白い肌を輝かせていた。
その黒く長い髪は女神のようにさらりとなびく。
いやもう人間の粋を超えた美しさだ。
人間とは別格の美しい種族が歩いていると言っても過言ではない。
すらりとした体躯、ふわりとした春服が風になびくと、それはもうそこら中に花でも咲きそうなオーラが溢れかえる。
その目を見るものは魅惑され、身動きできなくなるほど沙織の虜となる。
だけどね…だけど沙織の頭の中は大変なことでいっぱい!!!
みんな「沙織の持って生まれた『自然に湧き上がる。男を狂わせ沙織のためなら人すら殺しかねない状態にする魔法』という特殊能力」にすぐに騙されるんだけど、こいつただのアニメとゲームが好きな引きこもりですから!
ついでに武器とかで何でも破壊する爆弾魔よりも危険なやつですよ!
どうして「自然(略)特殊能力」に騙されちゃうかな!
「差身wwwwwwwwwwww永遠の夏休みが始まったというのにwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は病んだ笑みを浮かんべながらそう言うと僕の腕と自分の腕を組んだ。
「えへへへへへwwwwwwwww紅魔族の頭のおかしい娘がおんぶされてる時もこんな気分なのかなあ?wwwwwwwwwwwww」
「沙織…まだこのあたり近所だから放してくれ…学校の奴らも休みなんだからそのへんにいるかも知れないだろ?」
僕は抵抗すると殺されるのは分かっているけど一応言うだけ言うと、沙織は病んだ笑みを浮かべたまま僕の腕を引っ張った。
「駄目だwwwwwwwww差身に色目を使うビッチ共に誰が差身の子を最初に生む者かを知らしめる必要があるwwwwwwwwwwwドミネーターで犯罪者指数が高い奴らに死をwwwwwwwwwwああ…差身の腕が温かい…wwwwwwwwww」
沙織はわけのわからないこと言いながら幸せそうに病んだ笑みを浮かべた。
駄目だ…もう全く何を言っているのかわからない…
でもそういう僕もなんというか沙織から離れられないというか好きではある。
幼馴染みでずっと一緒だったし沙織以外考えられないんだよな。
そんな感じでいつものように小机駅から電車に乗って向かった先は電車で乗り換えても30分もかからない横浜駅であった。
東口にあるアニメイト行くと沙織が聞かなかったのだ。
大体朝8時に満員電車に乗ってアニメイトに行っても開店してないだろ?
どこか近くで安いコーヒーでも飲みながら待機することになるんだろうな…
現地につくと当たり前だがまだ開店していなかった。
ビルの入口自体も閉まっている。
「ああ…wwwwwwwwwwwまだ開いてないなwwwwwwwwwwww撃ち破るかwwwwwwwwwww」
沙織が病んだ笑みを浮かべながら隠し持っていたコンバットナイフを取り出すとナイフの持つ所でそれなりに強くガンガン扉を叩き始めた。
「止めろ!!!!アニメイトを殺したら駄目だ!!!!!みんな買いに来れなくなるだろ?どこかで開店まで時間を潰そう」
僕が沙織をなんとか止めると沙織は病んだ笑みを浮かべながらコンバットナイフを隠した。
「そうだな差身wwwwwwwwwwwwwwアニメイトを殺したらいけないwwwwwwwwwwwwwのんのんびより3期もグッズや円盤が売れなくなると大変wwwwwwwwwwwwwwwwwどこかでお茶でも飲もうwwwwwwwwwwwwwwwww」
あーあ、学校がないから授業という逃げ場がないので朝から大変だよ…
しかしそれが「本物」の事件が起こるきっかけになるとは考えてもいなかった。
「お前達!なにをしているのだ!」
響き渡る女の子の声。それはどこか幼く、しかし強い主張を感じた。
僕と沙織は声がした方を振り向いた。