第10話「本物」の何かを隠してる沙織のママwwwwwwwwwwwwwwww
「それに沙織もあんまり『やり過ぎる』と差身君と離れ離れになっちゃうのよ」
沙織のお母さんが諭すようにそう言うと、沙織が不思議そうな顔をして沙織のお母さんを見た。
えっ?沙織のお母さん…
今、『やり過ぎる』って言いませんでしたか…
あなた、女神のような笑顔で、とんでもないこと口走りませんでしたか…
「ママwwwwwwwwwwwなんで?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
おい…沙織…今「なんで」って言わなかったか…
それってお前が何かを「やり過ぎ」ているから、そんな返事をしたのかな?
やっぱり学校を爆破したのお前だろ…
あれだけの惨劇を引き起こしたのに、うまそうにクッキーなんか食いやがって…
沙織がそう言うと沙織のお母さんはゆっくりと微笑んだ。
やはり沙織の親だけあって、このあたりも沙織とよく似てるんだよな。
沙織も何か話そうとする時に、よく病んだ笑みを浮かべることが多い。
先祖代々受け継いだ癖で、つい微笑んでしまうんだろうな。
沙織のお母さんの笑顔は、凄く優しそうで変な感じはしないんだけどね。
「あの高校が壊れてしまったら、通ってるみんながバラバラになって色んな高校に転校していくことになると思うの。そうなったら沙織は差身君とお別れしてしまうのよ。きっと別々の高校に行くことになります。それにパパと約束したでしょ?ちゃんと差身君と高校に通って卒業するって。あんまり高校を『壊しちゃう』と、パパが怒って差身君のいない高校に転校させてしまいますよ」
沙織のお母さん…『壊しちゃう』って何ですか…
一瞬耳を疑いましたが、僕は聞き逃しませんでしたよ…
「あんまり高校を『壊しちゃう』」ってどういうことなんですか!!!!!!!
僕はさっき崩れ去る校舎を目の当たりにしたんですけど、もしかしてあれのことを言ってるんですか?
めっちゃ学校が崩壊してたんですけど、それって沙織の仕業ってことなんですかね!!!!
「そwwwwwwwwwwそんなwwwwwwwwwwwwwwwwww差身がいなくなったら生きられないwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は弱った顔をして、うつむいて少し考え始めた。
これもいつも通りだ。昔から沙織をたしなめたりする時に必ず沙織のお母さんが使う手だ。
沙織に「差身君と会えなくなりますよ」とか「差身君と離れないといけません」等と言うと、沙織はどうにもならなくなってしまい素直に言うことを聞くのだ。
「だからほどほどにするのよ。あんまりやり過ぎると沙織が大変なことになりますからね」
沙織のママが小さな子供の言い聞かせるように優しく諭すと、沙織は意味が分かってるのかどうか分からないが病んだ笑みを浮かべ頷いた。
「ママwwwwwwwwwwwwwわかりましたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwほどほどにしますwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織がそう返事をすると沙織のお母さんはにっこり微笑んで立ち上がり、沙織の部屋から出ていこうとした。
「あ…あの…」
どうしても聞かなくてはならないことがある…
僕は恐る恐る沙織のお母さんに声をかけた。
すると沙織のお母さんは、優しく微笑みながら振り返った。
「どうしたの差身君?」
「あの…学校を爆破したのは沙織なんですか?…」
「そんなことないのよ。差身君は心配しなくても大丈夫よ。パパがうまくやってくれるわ」
沙織のお母さんはそう言うと沙織の部屋から出て行った。
沙織のお母さん…昔からそうやって僕を誤魔化してきましたよね…
変わらないことは素敵です。
でも、僕ももう高校生なんですよ…幼稚園児ではないのですよ…
あなたも本当は全部知ってるんじゃないんですか!!!!!!
あと「パパがうまくやってくれる」って何?!っていうか絶対知ってるでしょ!!!!!
むしろ全部分かった上で沙織を泳がせてるんですね!!!!!!
間違いない!!!間違いないよ!!!!!!!
僕の心はすでに狂いかけているというのに!!!!
どうしてあなた達は落ち着いていられるんだあああああああああああああああっ!!!!!