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ココロノヤミ  作者: ぬこ
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9




 うわー、なんだか照れちゃったね、ボク。

 桜井君ってば、かっこいー!


 それで?それで?


 河合さんってば、どうしちゃうの?

 



 頭の中、きっとドキドキ桜井でいっぱいだね。

 

 桜井君ってば、河合キラー!

 ねらい目は冷え性って感じ?


 


 いいね、冬の夜のドキドキ。

 



 あの、犬と猫は、どうしてるかな。







 

 手、繋いで…ってっ。



 石段の前で立ち止まって、じっと無言の二人。

 ほんの、あと数段あがればそこは少女の家。



 「!」



 パッと灯された明かりに驚いて顔を上げる。

 少女の家の、風呂場の明かりだろう。

 母親が風呂に入る時間なのだとふと思い出して、緊張感が溶けるのを感じる。


 

 「河合さん家?」

 「うん。親、お風呂みたい」

 

 

 それを感じたのは、少年も同じなのだろうか、とふと少女は思う。

 急に先ほどまでのあの空気が流れたような、それでいてもまだ、どこか特別なような。


 

 「そっか、それじゃ、ここで帰るよ」


 くすっと、笑って桜井が手を振る。

 うん、と素直に頷いて、笑顔で手を振る桜井。


 「うん、ありがと。気をつけてね」

 

 石段を登る河合を見送ると、土手を上がり、明るい街灯の下を帰っていく桜井。

 既に夜も遅くなり、人気は殆どといっていいほどない。

 

 自宅の玄関の前でその姿をしばらく見送り、少年が土手を越え、その姿が見えなくなるのを見届けて、少女はドアを開け、家の中に入る。


 



 

 「ただいま」

 

 風呂場に声を掛けると、母親がおかえり、と声を掛けてくれる。

 犬と、猫、飼いたいっていったら、どうかな?

 やっぱ、ダメっていうだろな。

 でも、もしいいよっていってくれたら?


 …でも、私面倒みきれないかもしれない。

 でも、どうしたらいいんだろう。


 

 桜井君、保健所に言わないでくれるって言ってたし、まだ、大丈夫だよね?






 ふうん、そっかそっか。

 河合さん、ママが「ダメ」っていうの、ちょこっと期待してる?


 なんとかしてはあげたいけど、うん、そうだよね。


 ずっと一生、っていうのって結構面倒だったり?

 うん、しょうがないよね。


 途中で面倒見切れなくなって投げ出すのは良くないよね。


 

 だったら。



 「ママがダメっていうから」

 「ほんとは飼いたかったんだけど」



 うん、ニンゲンだしね、仕方ないんじゃない?







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