6
「…!?」
今の、何?
どうしたの?
あの、猫の声!?
抱えたダンボールをぐっと握りなおして、急いで石段を降りる、河合。
そして川原を走る。
ウォォォォーン、と犬の声が夜の闇に響く。
不安が押し寄せてきて、只、ひたすらに冷たい川原を走る。
「猫ちゃん!?おじぃちゃん!?」
走って、走って。
川原に一人の男の姿。
遠めに判別できず、一瞬びくっと身構える。
たじろいだ様子は男も同じ。
びゅううっ、と風が吹いて月明かり。
その男が、一歩、二歩。
「河合…さん?」
「!!…桜井君…?」
ほら、ね?
ジャージじゃなくて良かったでしょ?
やっぱり、女の子は可愛くしてなくちゃ。
「誰か」にあうかもしれないって、言ったよね。
意外なトコロで意外なデアイ。
うん、ロマンティックってやつだよね?
なんだっけ。
最近良く聞くヤツ。
あ、そうそう、デアイケイ、だっけ。
あれでも良く書いてあるよね?
人と人が出会うから、デアイケイ。
わかりやすいよね。
あれって面白い?
デアイしたい人がだくさんいるの?
人、そこらにいっぱいいるのに、それとはちがう?
でもそんな面倒なコトしないでさ、
出会いたいですって看板もって歩いた方が早いと思うな、ボク。
うん、やっぱり冴えてる。
いいよ、このアイデア使っても。