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ココロノヤミ  作者: ぬこ
20/21

19-2




 「って、なにこれ」

 

 えー、コレって言われちゃうと、ボクちょっとガッカリ。

 セクシーナイスダンディって言ってほしいんだけどな。


 「うわ、しゃべるし」

 

 うん、そりゃしゃべるよ?

 ねぇ、ボク、キミにもお礼にきたの。


 「わけわかんないんだけど、なんなの?」


 んー、そうだよね、ボクもよくわかんないや。

 キミのことずっと見てたわけじゃないし、お礼、なにがいいかなー。


 「はぁ?」


 キミは、見てただけだよね?

 うん、そう、見てただけ。

 直接何か言ったわけじゃないしー、笑ってみてただけ。


 うーん、お礼、何がいいかなー?


 「意味わかんないから、なんなの?」


 そうなんだよねぇ、ボクもよくわかんない。

 だけど、お礼しないで帰るって、それはダメダメ君だもん。

 ナイスダンディで、礼儀ただしく。

 うん、ほら、やっぱりボクって出来てるよねっ?


 「ほんとわけわかんない。どっかいってくれない?」


 あれ、クラクラしてない?

 あ、わかった。

 ツンデロ、ってやつだね、きっと。

 うん、ボク物知りだから知ってるよっ?


 ツンデレ、だっけ?

 まぁ、どっちでもいいや。

 それじゃ、キミにも同じお礼でいっかな。


 「お礼ってなんなのよ」


 キミ、ただ見て笑ってただけだもんね、うん。


 「だからなんなのよ、何もしてないからね」


 じゃぁ、キミにも、それ、あげる。

 キミになにかあったとき、ただじっとみて、笑ってもらえるように。

 ただ、そこにいて、キミがしてきたのと同じように。

 


 「はぁ?」

 「てか、アンタなに一人でさっきからブツブツいってんの?」

 「え、聞こえない?」

 


 キミが、困ってる時も、ただ、じっと見て。

 キミがしてきたのと同じように、してもらえるように、してあげるねっ。


 

 声を掛けてきたクラスメート。

 彼女には何も聞こえていないのだろう、此方の様子を訝しがるように見ている。



 ね、お礼、うけとってねっ。



 「だから、いらないって。わけわかんないっていってんじゃん」

 「いや、ワケわかんないのこっちだから。どうしたの?」

 「ちょっと、ほんとに聞こえない?」

 「…アンタ、どうしたの?」


 周りでは、じっとこっちの様子をみて、ひそひそと話し始める声。

 声を掛けてきたクラスメートも、半歩ほど後ずさり、眉をひそめている。


 「なんでもないから」

 「ちょっと、キモイよ?」

 「なんでもないっていってんじゃんっ」


 それじゃ、ボクいくね、またねー?


 「ちょっと、なんなのよ!」

 「ほんと、アタシがききたいんだけど。アンタどうしたの?」

 「なんでアンタ聞こえないわけ!?ほら、いるじゃん、そこに!」



 あ、無理無理。

 だってボク、ステキなナイスダンディだからさ。

 普通に皆、ボクみたらクラクラしちゃうでしょ?


 忘れられなくて、眠れぬ夜。

 うーん、お肌の天敵。


 そんなこと、ボクできないさ。



 「真面目にきいてんのよ!」

 「……アンタ、おかしくない?」

 「なんなのよ、ほんと!」

 「……」


 無言で去っていくクラスメート。

 すぐ側で、此方をみてひそひそと話していた中に戻っていく。

 


 それじゃ、またねー!

 お礼、喜んでくれたら、うれしいなっ。


 「ちょっと!」


 「あいつ、やばくね?」

 「おかしいって、ぜってー」

 「最近なんかちょーしこいてるし」


 小さく囁かれる声。

 それが、隣人へと移るたびに同意になり。


 「つか、前からなんかむかつくと思ってたんだよねー」

 「あー、わかる、なんかウザイよね」


 顔を上げたその瞳に映るのは。


 「アイツ、放置でよくね?」

 「いんじゃね?」


 薄笑う数人のクラスメートの視線。

 こちらを見て、にやりと笑って。

 目があうと、再びそらし、隣人とひそひそと。




 「ちょっと!ちょっとまってよ!!!」


 

 「まだやってるよ、イタすぎ」

 「だから放置だってー」


 囁かれる声ははっきりと耳に。

 それに慌てて立ち上がり、クラスメートに向かって、  に向かって叫ぶ少女。


 「ねぇ、あたし何もしてないじゃん!!!」



 

 んー、ボク、いかなくちゃなんだけどなー?

 デートに遅れるオトコはダメなんだよ?


 ま、デートじゃないんだけどさ。

 あ、ちょっと期待しちゃった?


 ボクってば罪作り、うーん、やっぱりダンディ。


 うん、キミは何もしてないよね?

 だから、ボク、それあげる。


 キミに何があっても、キミがしていたように。

 キミが何か言っても、キミがしてきたように。


 

 「ちょっと!!!」



 うん、もうちょっと話してたいんだけどさ?

 あ、逢瀬っていうんだっけ?

 

 雰囲気ゾックゾク。

 知性のあるダンディってイイよね?


 これからボク、知性なカレシに会いに行くの。


 カレシ、っていっても、ボクのカレシじゃないからね?



 引き止めてたいオトメゴコロ、ちょっとイイけど、またいつか。

 だってボクはセクシービジネスマンなのさ。





 

 さてと、うん、結構大変。

 でも、ここで帰っちゃナイスダンディの名がすたるってやつさ。

 だから、ボク、がんばらなくっちゃ。



 もちろん、クラスの皆にも、ちょこっとずつ見せてもらったぶん、ちょこっとずつお礼するねっ。

 順番だから、時間差できちゃうけど、ごめんね。

 でも、ちゃんと全員にするから、いいこでまっててね。



 さてと、次は、みんなの憧れ、桜井君のとこいこっかなっ。


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