悪夢。
「...」
暗い教室。窓から差し込む月明かりが唯一の光だ。
誰もいない。いるはずがない教室に俺はいた。隅っこで、うずくまっていた。
何故だ。何故学校にいる。何故うずくまっている。
体を動かそうとするが全く動かない。しかし、体は小刻みに震えている。まるでコントローラーのないFPSゲームだ。
「長井くぅん」
聞き覚えのない声。鋭くヌメヌメしたその声は廊下を木霊している。
その声がスイッチを押したかのように、体の震えが一層高まった。
首がかってに教室のドアの方向へと向く。
人影がくっきり、浮き上がっていた。
「長井くぅん」
正体不明。誰かもわからない人影は、俺の名前を呼ぶ。
「長井くぅん」
やめてくれ。俺はお前を知らない。知らないんだ。
「アソボォ........」
深く深呼吸をする。
肺に空気をためて、口ではきだした。
額の汗を拭って、服を脱いだ。目覚まし時計を見ると、時刻は深夜2時を指している。
「悪夢....」
新しい寝具のカッターシャツを羽織りながら呟いた。
単純な直感が出した言葉がそれだった。だが
それではしっくりこない気もする。
ボタンを最後まで着けて、また布団に戻った。もう二度とあんな夢、みませんように....
夢
ではない
これは未来
この世界の
お前は
生き残れるか?
唐突に頭の中に響く。誰だ??その言葉が出る前に、睡魔が襲ってきた。