第九話
士郎は、等身大ガチャピソの人形を調べる。色々な形跡を発見し……
この部屋はがさつだ。
しかし、この物品は良く見てみるとこの部屋に違和感があった。
女の子とかロボットが好きな奴が、こんな等身大の子供向けテレビ番組のキャラクターを買うだろうか? いや、買うとは思えない。これだけ大きいと場所を取るだけだし、何より高価なものだろう。
普通に被害者が手に入れたとは言い難い代物だ。
それなら、これは何のためにどうしてここにあるのか?
犯人が殺害に利用した。
士郎はそう確信した。
本部に戻った彼は、鑑識班にこの等身大ガチャピソの人形の調査を依頼した。
すると、彼の予想通り奇妙な痕跡が発見される。
まず、このガチャピソはただの人形では無く、着ぐるみとして機能するかのような内部空間があった。
小柄な人間ならば入る事が出来る程の大きさだ。
次に、何者かの指紋。
おそらく、容疑者のものも混じっているだろう。ここから脱出する時にでもついたのかもしれない。
そして、何かの染みの様なものが内部のところどころに見られた。
血では無かった。
この調査と同時に、士郎はこのガチャピソの人形が運ばれた日時を調査する。
すると、アパートの住人から情報が得られた。
等身大ガチャピソ人形がアパートに届いたのは、「事件の2日前」との事だった。2日前に、宅配業者らしき二人組が重そうにこの人形を運んで来たと言う。
士郎は、コーヒーを飲みながらこれらの情報に目を通すと、小さく笑った。