第七話
士郎は、殻倉あつなを被害者が殺害された自宅アパートの一室へ連れて行き……
2日後に士郎は、殻倉 あつなを殺害現場であり被害者が住んでいたアパートの一室へと連れて行った。
入った瞬間、あつなは絶句する。
「これは……すごい部屋ですね。」
「まったく、同感ですよお嬢さん。私も、最初は言った時に思わず『痛い』って言っちゃいました。申し訳ないですね、このような部屋にお嬢さんのようなおしとやかな方を入れてしまって。」
「いえ、いいんです。少しでも、捜査のお役にたてれば。」
「そうですか、ありがたいことです。しかし、自分のポスターがこのようなところに張られているなんて、変な気分じゃあありませんか?」
あつなは、手をパーにしてさささっと左右に振る。
「そんなことはありませんっ! ファンの方にポスターを貼ってもらえるなんて、この殻倉 あつなにとっては嬉しいかぎりですぅ!」
「フフフ、全くもってアニメのような声ですなあ。」
「それで……わたしをここに連れて来た理由は一体何でしょうか?」
士郎は、棚に置かれたピンクのガンタンクに目をやる。
ガンタンクは綺麗に目消しがしてあって塗装にもムラが無かった。キャノン砲にはエロチックなデカールが貼ってある。
「いえね。あなたがここに来てくれれば、何かインスピレーションみたいなものが浮かびそうな気がしましてね。」
「インスピレーション?」
「そう、犯人の姿が想像できると思ったのですよ。まあ、長年の勘と言うヤツです。」
「はぁ。」
あつなは、よくわからないなと言う顔をした。