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第五話

 殻倉(からくら) あつなのライブを見た後、士郎は……

 

 

 「失礼するよ。」



 警察手帳と言うものは本当に便利なものだと士郎は思った。

 こうやって、人気抜群だった女の子に簡単に近づけるのだから。どこかで、複製などした奴もいた気がする。捕まった、気がする。



 「どうも、こんにちはっ刑事さん!」



 楽屋にいた、コスプレ衣装では無い、殻倉(からくら) あつなの姿は中々のおしとやかな好青年だった。ドジっ子のようなあたふたした仕草は可愛らしさを誘った。しかし、士郎にとってはやっぱり亡き妻と去年の学園祭で見事な演技をしたと言う娘の鏡子(きょうこ)の方が上であった。



 「こんにちは、殻倉さん。警視庁のの摩奈川(まながわ) 士郎(しろう)と言うものです。こっちは遠坂 綸児(りんじ)。」



 そう言って緊張する綸児の背中をポンと叩く。

 綸児はビクッとわかり易いリアクションをとったので、あつなは面白かったのかクスクス笑った。



 「くすくす……面白い方ですね。それで、刑事さん。今日のご用はなんなのですかっ?」



 「ああ、ちょっとお聞きしたい事がありましてね。」

 


 士郎は、胸ポケットから写真を取り出す。

 そして、あつなによく見えるようにひらりと彼女の目の前に写真を持ってきた。



 「この男と、どこかでお会いした事はありませんかな?」



 「え? いえ、知りませんけど。」



 一瞬、あつなの表情が強張ったのを士郎は長年の刑事生活で身に付けた洞察眼は逃がさなかった。

 知っている。何かを。



 「そうですか、この男は昨日何者かに殺されましてな。あなたのファンだったようなのですが、っここで見た事は無いですかな?」



 

 「そうですね。お客さんの中にも近寄ってくる人はいるんですが、この人は……刑事さん?」



 ギンッ。

 士郎は鋭い目をして、あつなを見つめた。

 餌を見つけた鷹のように。



 「26日、この被害者が死亡した当日、あなたはどこで、何をしていましたか? 殻倉さん。」






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