第十二話
犯人、殻倉あつなは沢山のミスを犯していた。
そして、彼女の動機とは?
まず、犯人は玄関のドアの鍵が開いている事に気づかずに部屋を出て言ってしまった。おかげで、たまたま訪れた第一発見者(宅配人)に扉を開けられて、遺体の発見を早めてしまった。これは、大きな誤算である。長期間遺体が放置されれば捜査は難航しただろうし、犯人が疑われる可能性も大幅に減った可能性が高い。
そして、このミスと士郎の勘の良さによって、犯人殻倉あつなに容疑がかかるのが非常に早くなったのだが、当の本人がこれを予測していなかった。自分に捜査の手が及ぶ事は難しいと思ったのだろう、犯行時の行動にずさんな部分があった。手袋等を着用していなかったため部屋中に指紋が残っており、犯人の髪の毛まで採取された。ここまで、大きな証拠を提示されれば、友達に時間的アリバイの口裏合わせをしようとしてももう手遅れだった。
殻倉 あつなは、こうして犯行を認める事となった。
士郎は、その後彼女に殺害の動機を聞くと内容はこうだった。
犯人は、被害者坂崎台三郎とある関係があった。
被害者が、運営していたアップローダーを利用していたのである。
このアップローダーとは、画像やデータなどをネット上に保管する銀行の様なものなのだが、犯人はここに、とても重要な見られてはいけないようなものを保管していたらしい。
しかし、このアップローダーの運営者だった被害者は、保管者がコスプレアイドル殻倉 あつなである事を知ると、そのデータを勝手に引き出して、売買等に利用したらしい。そして、謎の恐喝等にあった事でデータ漏えいに気付いた犯人は激怒、アップローダーの管理者が被害者と特定すると犯行を計画、実行に移したとのことだ。
犯人は、こう漏らした。
短絡的な犯行だった、警察に相談すべきだったと。