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第十一話


 犯人のトリックとは?


 犯人である殻倉(からくら)あつなの取った行動はこうだ。



 まず、コスプレアイドルである彼女はそれを利用し熱狂的ファン2人を取り込んで犯行を手伝わせた。彼らは宅配員を装い被害者宅に等身大ガチャピソ人形を送り届けた。この2人は、彼女が逮捕されるとあっさり犯行を認めた。



 犯人はこの時どこにいたか? そう、等身大ガチャピソ人形の中に入っていたのだ。

 先に逮捕された永森(ながもり)守のような長身では無理だが、彼女ならば十分に入る事が出来た。

 士郎がアパートで気付いたのはここだった。殻倉あつなと等身大ガチャピソ人形があまりにしっくり行きすぎていたのだ。


 さて、部屋に運ばれた人形に、被害者は疑問こそ持ったが、すぐにつき返す事はできずにひとまず置いておいた。欲が働いたのかもしれないがこの後のサプライズにはさぞ驚いた事だろう。なにせ、自分の好きなアイドルが人形の中から出て来たのだから。


 急に人が出てきたら普通は不振がるし、長時間人形に入り続ければ熱中症になってしまうが、ここも、コスプレアイドルである事を利用して簡単に被害者の前に出る事が出来たた。「会員限定の抽選で一日デート権」が当たったと言われれば、熱狂的ファンの被害者は信じないはずもない。カワイイ女の子が側にいてくれるだけでも舞い上がってしまっただろう。それからしばらく、被害者は出て来たアイドルと人生最後の至福の時を送った。



 そして、その夜、彼が油断したすきに犯人は殺害を決行した。

 寝ている時に刺されたようだアイドルに看取られて絶命したのだから幸せな顔を浮かべたのだろう。

 なお、近くにあった抱き枕は犯行後に移動したようだ。おそらく犯人の小工作だったのだろう。



 犯行を終えると犯人はアパートの窓から、凶器と保冷剤を持って部屋を脱出した。保冷剤は人形の中にいた時に使っていたもので、人形内の染みはこれをつかっても抑えられなかった犯人の汗だったようだ。アパートの窓側は、山になっており深夜なら気付かれずに逃げるのは容易だ。柱を伝って建物を降り山に逃げ込んだのだろう。そして遠くでさっきの2人と待ち合わせ車で逃走。次の日にはもう普段の生活に戻った。



 以上が、犯行の内容である。

 犯人は、この犯行は上手く言ったと思ったようだが。多くの欠陥を残してしまっていた。

 自分が疑われまいという犯人の気持ちが、多くのミスを残した中途半端な犯行にしてしまったのだ。

 

 



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