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第4話 美術室の隠蔽と、理科室の圧力

目には滅を!歯には破を!

第4話 美術室の隠蔽と、理科室の圧力

宮華西高校での戦いから数週間。藤野たちの日常は、再び紅葉高校に戻っていた。能力のレベルアップ練習も順調で、石本の分析速度は上がり、浦澤の暗記限界は少しずつ伸び始めていた。猪奈倉チームとの連絡も密で、大西の情報網が組織の動きを捉え始めている。しかし、平穏は長く続かない。藤野は美術部に所属していた。旅行と写真が趣味の自分に合っていると思い、カメラで撮った風景をスケッチしたり、油絵に挑戦したり。部長の尾川は優しく、顧問の夜田先生も熱心に指導してくれる。部員たちからも可愛がられていた。だが、ある日突然、部長が変わった。新部長は冷たく、藤野を冷遇し始めた。道具を貸さない、場所を譲らない、作品を無視する。顧問の夜田も、藤野にだけ厳しい。「何か……おかしい。」藤野は砂野に相談した。砂野はネットで調べ、すぐに答える。「尾川と夜田、結託してるらしい。美術部で何か隠してる。」浦澤が過去を遡る。「直近の部活動記録……不自然に空白が多い。隠蔽してる。」伊藤の絵で心情を探ると、尾川と夜田の心は黒く歪んでいる。調べていくと、衝撃の事実が発覚した。夜田は特殊なペンを持ち、尾川はノートを持つ。二つの能力を組み合わせ、起こった事実自体を「うやむや」に消す力。部内で起きた不都合な出来事――部費の私的流用、特定の部員への過度な寵愛――すべてを隠蔽していた。藤野は尾川のノートを偶然拾う。そこには、消されたはずの事実が薄く残っていた。「これ……本当のことが書いてある。」尾川は慌てて取り返そうとするが、夜田が脅す。「黙ってろ。さもないと、お前も消すぞ。」尾川は震えながら藤野に襲いかかるが、ノートのおかげで隠蔽は効かない。藤野の記憶奪取で、二人の短期記憶を消し、混乱させる。学校側に事実がバレ、夜田は教職追放。生活に苦しみながら去っていった。尾川は退学命令。片親で生活が苦しくなる未来を嘆きながら、リタイア。「自業自得だ……。」藤野は美術部を辞め、理科部への入部を考える。与根田という部長が誘ってくれた。機械に強く、電気を自在に操る能力者。理系でクールな印象だ。「藤野、うちに来ないか? 面白い実験がいっぱいだよ。」与根田の誘いに乗り、藤野は理科部室へ。顧問の汰川先生は、理科の実験助手も兼ねる熱血教師に見えた。だが、入部希望を聞かれぬまま、重労働を強いられる。机の運搬、器具の掃除、実験準備。拒否すると、汰川が笑う。「入部するんだろ? まずはこれだ。」部屋のドアが閉まり、圧力が急激に高まる。汰川の能力――生徒の運動エネルギーを吸収し、室内に圧力をかける。出られない密室。「ここで潰してやる。藤原の仇だ。」汰川は、退学になったはずの冨士原を生かした原因の教師だった。組織と結託し、次の刺客を呼び寄せていた。藤野は息が苦しくなる。与根田は最初、従っていたが、何か違和感を感じている様子。「与根田……お前も敵か?」与根田は静かに、机の下にメモを滑らせる。【窓を壊せ。圧力の弱点だ。】身を挺してのヒント。与根田自身も、汰川に利用されていた。圧力の中で、電気を操り、窓ガラスに微電流を流す。藤野は椅子で窓を叩き割り、外の空気が流入。圧力が一気に崩壊。汰川は慌てる。「どうして……!」与根田は外と内の圧力差で負傷しながらも、叫ぶ。「顧問の命令だった。でも、俺も攻撃されてたんだ!」部屋から脱出。事件が学校にバレ、汰川は教職追放。生活に苦しみながら去る。実は組織から3人の刺客を呼び寄せていた張本人だった。米田は病院で回復し、藤野たちに頭を下げる。「ありがとう。利用されてたけど、目が覚めた。俺も味方する。」新メンバー、与根田の加入。電気操作の力は、チームの攻撃力を大きく上げる。その後、同じクラスの田中と高田も協力関係としてチームに加わった。田中はサイコロで仲間の能力を強化。高田は歴史幻想を見せるめんどくさがり屋。「続 紅葉高校編、か……。」石本が地図を広げる。「次は野球部の強い高校だ。絵盛と東打。奴らの闇が深い。」丹羽の予知。「負の連鎖が見える。自滅の嵐が来る。」内田が笑う。「運命も、操れるようになるかもな。」藤野はカメラを手に、仲間たちを撮る。美術室の隠蔽、理科室の圧力。すべて、組織の息がかかったもの。白誠中学校の影が、また少し濃くなった。復讐の歯車は、止まることなく回る。紅葉高校の秋風が、冷たく吹き始めた。

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