受付さんのヒミツ ~異世界に行き中学生デビューし損ねたぼく~
ギルドの訳アリな受付のお姉さんと、
唯一の異世界人で「中学生デビュー」をし損ねた少年。
ポップな話です。
「はあ。
また、薬草集めですか?」
「はい。
お姉さん、早いですね。ぼく、結構早めに来たつもりなんですが」
「受付なので」
ギルドの受付のお姉さんは、メガネをクイッと上げる。
早朝、太陽が昇りはじめの頃。
ぼくと、お姉さんしか、ギルドにはいない。
「他の受付さんは、まだ来てませんよね?」
「私は私です」
「わあ、格好いいですね」
笑顔でぼくは言う。
「は?」
しかし、若干イラッとされる。
お姉さんは立ち上がり、
「じゃあ、依頼を選んで来て下さい。私は、奥の部屋で準備しますので。
どの薬草集めなんでしょうね」
「依頼確認所じゃない…」
ぼくは呟く。
お姉さんが座っていた椅子の、テーブル。
そこに、1冊のメモ帳。
本人は、今は、奥の部屋にいる。
多分、というか、絶対、あのお姉さんのメモ帳。
「どうしよう」
ぼそり。
見たい、すっごく、見たい。
何を書いてるんだ? いつもはクールなお姉さん。一体、内容は。
「いけないけない」
他人の秘密を知ろうとしたら。
…。
よし。
「また、薬草集めなんですね。
わかりきっていましたが」
「は、ははは」
「?
何ですか、そんな顔して」
「いえっ、何でも」
「??
はい。確認しました、頑張って下さい」
どうしよう。
ぼくはどうすればいいんだ。
すごく、ドキドキする。
お姉さんがメモ帳に書いていたこと。
それは、『この世界と、ある人に合っているか』について。
美味しい店、観光の穴場、主なニュース。
それに、『ぼく』が合っているかどうか。
勘違いじゃない、ぼくの名前が書かれていたから。
この世界に、ぼくと同じ名前の人はいない、いるわけがない。
『異世界人』のぼくと、同じ名前の人は。
ぼくは、唯一の異世界人なのだから。
お姉さんと、どう接していいのか。
し損ねた『中学生デビュー』をしようか。格好良くなって。この世界にはまだ慣れてなくて、まだ薬草集めしかできないけど。
そうしたら、少しは踏み込んで会話できるだろうか。
でも、本当に。
心配してくれてるだけ、なんだよね?
恋、とか。
あっ、不味い、顔が赤くなっちゃった。
読んでいただき、ありがとうございました。
いやいや、2人の先が楽しみですね。付き合うのか、関係維持か。
あなたにもいい出会いがありますように!




