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一軍集合
駅前のコンビニ前。
成瀬翔太はペットボトルを片手に、大輝の肩を軽くたたいた。
「なあ、大輝。お前さ、美桜のことどう思ってんの?」
大輝は少し驚いたように顔を上げた。
「美桜? いや、俺は……。普通にいい子だと思うけど、そういう意味じゃないかな。」
「え、マジ? じゃあお前誰か好きな子いんの?」
大輝は笑いながら首を振った。
「まあ……別にクラスの子じゃないし。だから華はお前が頑張れよ。」
翔太は一瞬黙り込み、コンビニの窓ガラスに映る自分の顔を見た。
「……そっか。」
芝生の上。
悠斗はタオルを頭にかぶせたまま、ぼんやりと空を見ていた。
太陽はまだ高い。
まるで彼一人を狙い撃ちしているように、熱を落としてくる。
――夏って、インドアの人間に優しくない。
体の奥から力が抜けていく。
飲み物はもうぬるく、汗は乾く前にまた吹き出す。
視界が少し揺れた。
「……やば。」
スマホを見る気にもならない。
バッテリーを節約したいというより、画面を直視する集中力すら残っていなかった。
彼はただ、シートの上に横たわり、
「夏は……陰キャに厳しすぎるだろ……」と小さくつぶやいた。