表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

炎天下の孤独

相沢悠斗は、昼過ぎの昭和記念公園にいた。

手には折りたたんだブルーシートと、水を入れたペットボトルが数本。


正直、花火大会なんてどうでもよかった。

家でゲームでもしていた方がずっと楽しい。

でも、断るのはもっと面倒くさい。

それに――彼女も、気軽に誘える友達もいない。


「……まぁ、やるしかないか。」


木陰の少ない芝生広場にシートを広げ、四隅にペットボトルを置いた。

場所は簡単に取れたが、まだ太陽は真上にあり、熱気が地面から立ち上る。

人の気配はまばらで、蝉の鳴き声だけがやけに大きく響いている。


悠斗はコンビニの袋からお茶を取り出し、一口飲んだ。

口の中に広がるのはぬるい緑茶の味。

スマホを取り出して時間を見ると、まだ午後一時前だった。

花火が上がるまで、あと六時間以上。


「……長ぇな。」


炎天下。

悠斗はブルーシートの上に寝転がり、腕で顔を覆った。

目を閉じても、まぶたの裏は赤い。

風はほとんどなく、空気は重く、じっとしているだけで汗がにじむ。


ポケットの中のスマホが気になったが、取り出さない。

バッテリーを温存しなければ、夜の連絡が取れなくなる。

することがないからこそ、余計に時間が遅く感じられる。


「……まだ一時間しか経ってないのかよ。」

空に向かって小さくつぶやき、再びごろりと横を向く。

芝生の匂いが鼻につく。

遠くで、子どもの笑い声と、蝉の鳴き声だけが続いていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ