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狂信者

 ダルクに案内されて着いたのは、とある住宅街の中だった。喫茶店からはそれなりに距離があったので馬車を使ってきたのだが・・・


「オウェ・・・」


「大丈夫かマイン?」


 完全に酔ってしまった。


「お前、ほんと乗り物酔いひどいよな」


「うるさい。それで、例の人はどこにいるんだ?」


「それなら、この家だ」


 そういってダルクが指さしたのは、どこにでもあるような石造りの家だった。

 俺がドアをノックすると中からは二十歳前後の女性が出てきた。


「あの、どちら様でしょうか?」


「私、マイン剣士英雄事務所のマイン・デイブレイクというものです」


「俺は情報屋のダルクです」


 そう喋るダルクの方を見ると、いつの間に眼鏡と帽子をしていた。職業柄素顔を無暗にさらすわけにもいかないからだ。ちなみに、普段こいつは自身のことをダルク・アレストラと名乗っているがこれは偽名らしい。え?じゃあ本名はなんだって?俺も知らん。答えてくれないと思うが本人に聞いてくれ。


「あなたが、ニナさんですか?」


「はい。そうですけど、英雄さんと情報屋さんが何の用でしょうか?」


「実は、ここ最近起きている失踪事件についてお聞きしたいことがありまして」


「わかりました。では、立ち話もあれですしどうぞ上がってください」


 ニナさんは少し不思議そうな顔をしながら俺たちを家の中へと入れた。

 とある部屋に案内され、ニナさんはお茶を入れてくると言って台所へと向かった。


「なぁ、マイン。これどう思う?」


 ダルクは、ニナさんに聞こえないように小さな声で聞いてきた。


「多分、黒だな」


「同じく。どうやらまんまと罠にかかったようだな」


 そういいながらダルクは立ち上がり、巻木ストーブの中に手を突っ込み何かを取り出した。燃えてほとんどが灰になって原形をとどめてない。いや、そもそも原形がわからないがそれが何なのか理解するのは一瞬だった。


「その骨。多分行方不明者のだな」


「ああ。多分だが探せばまだ見つかるだろうな。もっとも、灰になって大半はもうなくなってるだろうが。これ、何人いるんだニナさん。いや、そもそもそれは本名なんですかね?」


 そういいながらダルクは部屋の入口の方を向いた。そこにはティーカップの乗ったお盆を持ったニナさんがいた。


「あら。もう気づいちゃいましたか」


 ニナさんは、感情のこもってない。暗い声で言った。


「あれで気づかないと思ってる方が無理あるわ」


「そうですか。さすが英雄ですね・・・」


「それじゃ、俺たちとしてもあまり面倒なことはしたくない。大人しくつかまってくれないか?」


「俺としても、別に情報屋は情報以外何も求めない。お前が何もしないっていうんなら俺からもなんもしない」


 しかし、ニナさんは俺たちを無視して左手を上にあげた。すると突然壁を破壊しながら何者かが俺たちに突撃してきた。俺たちがそれをかわしてそいつを見てみると、灰色がかった白色の脂ぎった体をしてる目のないヒキガエルのような見た目。鼻と思われるが、とてもそうとは形容しがたいところの先からは桃色の触手を生やしており、手には槍を持つ。大人の人間より一回り大きい生物が六体いた。


「ムーンビーストか・・・」


「てことは、狂信者の目的はニャルラトホテプの召喚だな」


「ああ。ムーンビーストはニャルを崇拝してるからな。あいつ召喚されたらこの国どころか、世界が滅ぶぞ」


「そうだな。じゃあ、早く止めるか」


 そういいながらダルクはチョッキの中からネクタイを引っ張り出した。


「悪いが俺の実力じゃ二体が限界だ。残り四体頼めるか?」


「もちろんだ。戦闘は英雄の十八番(おはこ)だからな。それに・・・」


「それになんだ?」


「主人公なら、こんな依頼の序盤も序盤で死にはしねぇよ」


「そうか。じゃあ主人公らしく速攻で倒してくれよ」

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