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英雄、そして主人公・・・

王様になりたい。ヒーローになりたい。悪の大魔王になりたい。

このようなことを一度は夢見たことはないだろうか?しかし、この夢たちが夢であり続ける時間はほんのわずか。ほとんどの場合はすぐに興味すら持たなくなる。

しかし、そんな中夢から覚めない男が一人いた。その男の夢。それは、主人公だった。






 ジリリリリリ・・・


 部屋の中で目覚まし時計の音が鳴り響いた。音を止めて時間を見てみるとすでに七時になっていた。


「あ、やっべ」


 そう寝ぼけた声で呟きながら俺は布団の中から出た。顔を洗い、朝食をとり、着替えたころにはすでに七時半だ。俺は机の上に置いてあるスケジュール帳を手に取った。今日の予定は八時から。間に合う。


「行ってきます!」


 そう誰もいないのに叫んで俺は外に出た。

 中学を卒業して俺は高校に入学しないで剣士としての仕事を始めた。一応中学の時から「ガキのくせに強い奴がいるぞ」と業界内ではそれなりに有名だったから意外とすぐに生活は安定した。

 剣士。いや、それを含めた《英雄》と呼ばれる職はこの国の平和を守るのを目的とした職だ。犯罪者を捕えたりするのはもちろん、モンスターの討伐なんかもやっている。大抵の奴らは何かしらの組織に所属するのだが、生憎俺は大人数で誰かに使えるのが苦手なので起業して一人で働いている。

 そして、今日はそんな俺に依頼者がやってくる日だ。それにしてもなんでこんな朝早くに指定してきたんだよ。まぁ、依頼が来るだけありがたいと思うべきなのかもしれないが。

 そんなことを考えながら歩いているとすぐに俺の事務所についた。急いで中に入って時計を見るとまだ七時四十分。意外と余裕で間に合った。椅子に座って机の上に置いてあった雑誌を読んで時間をつぶしているとチリリンという音を鳴らしながら扉が開いた。俺は読んでた雑誌を後方へ投げ飛ばしながら立ち上がった。


「あ、こんにちは。先日連絡したアインスというものです」


 アインスと名乗る女性は背が高く、モデルのような体系だった。


「こんにちは。マイン剣士英雄事務所のマイン・デイブレイクです。よろしくお願いします」


 そういいながら俺は名刺を取り出し、アインスさんに渡した。


「それでは、どうぞ座ってください」


 俺は、アインスさんを座らせてた。


「それで、本日はどのようなご用件ですか?」


「はい、実はここ数日、夫のヤオの様子がおかしくて・・・」


「おかしいとは、どのようにおかしいのですか?」


「仕事から帰ってくるのが極端に遅くなったり、突然何かぶつぶつとつぶやきだしたりして・・・」


 なるほど。確かにおかしいな。最初のだけなら浮気とかそういうのも考えられるが、何かぶつぶつとつぶやくようになったのが気になる。

「わかりました。それでは、こちらの方で色々と調べていきますので何かあったらご連絡ください」


 そういうとアインスさんは「お願いします」と言って事務所を後にした。

 さて、ぶつぶつと何かをつぶやく。か・・・ほぼ確実に狂信者が絡んでるな。あいつらは一般人を呪文で洗脳して、ある程度人がたまったらそれを生贄に化け物を召喚しようとしてくる。大抵の場合俺たち英雄にバレてやられるか、労力がかかる行為なので途中で挫折するかして召喚されることはほとんどないが、あれで召喚される奴は基本ヤバイ。ドラゴンがかわいく見えてくるレベルだ。普通にまずい。何としても止めないとな。

 そう思って俺はとある人の元へ向かった。




「なるほど。それで俺んところ来たって訳か」


 喫茶店の中で俺の向かいに座ってる男、ダルク・アレストラが熱々のコーヒーにビビりながら言った。


「お前、猫舌はまだいいとして苦い苦手だろ。なんでブラック飲んでるんだよ」


「うるせぇいい豆が手に入ったんだよ。こういうのは最初はブラックに限るんだよ!」


 彼はこの喫茶店、グロリアスのオーナーをやっている。猫舌で苦いの苦手とかいう絶対喫茶店向いてないし、かといって儲かるというわけでもない。しかし、これは彼にとって、本職を隠すためのカモフラージュであった。


「それで、なんか入ってきてねぇのか?《情報屋》」


「ああ、入ってきてるさ。一か月ほど前から行方不明者が増えてきているって話は聞いたことあるか?」


「ああ。新聞に書いてあった」


「その行方不明者は全員、消える前に何かぶつぶつとつぶやいているらしい」


「ヤオさんと同じだな」


「そうだ。そしてここからが目玉だ。実は、その消えた人が黒い服にフードを被った怪しい奴と話してるのを見かけたっていう情報が入ってきた」


「なるほど。やっぱ狂信者か」


 狂信者は召喚したいやつがだれであろうとなにかそういう決まりでもあるかのように、黒い服にフードを被っているという特徴がある。


「お前もそう思うか。それで、一人まだ消えてなくて狂信者と話していたという目撃証言のある奴がいる」


「なるほど。じゃあ、早速そこに行ってみる。どこにいる?」


「まぁまて」


 カフェオレを飲み干して立ち上がった俺をダルクは呼び止めた。


「俺も今日そいつに話を聞きに行こうと思っていたんだ。俺も行くからちょっと待っててくれ」


 そうして、俺とダルクは狂信者との目撃証言があるという人の元へと向かった。

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