episode1
この頃はお互いになんの恋愛感情も抱いてなかったと思う。私にとっては仲の良い男友達でよく一緒に遊ぶ存在。
彼にとっても仲の良い女友達。
そして、お互いに負けず嫌いな性格で記憶力がよく、よくお互いにナンプレのタイムを競い合ったり、憲法などを覚えたらクラスの前で発表しあったりしていた。
片方が発表すれば、もう片方も次の日に発表する。お互いに、よきライバルだ。
幼稚園の頃はお互いに遊ぶだけの中だったけど、小学校に入ると、ある変化が起きた。クラスの座席の座り方だ。
最初は苗字の順に座る為、互いに苗字の頭が近い私たちは、毎回隣同士になった。小学校低学年までは何とも思っていなかった。
関係が変わったのは高学年になってから。
どちらともなく意識しだしたのか、急に小っ恥ずかしいと言うか、嬉しいというか、とにかく何とも言えない感情が芽生えてきた。
学校から帰る時も、いつも途中まで毎日、一緒に帰った。いつからかはわからないけど、それが習慣になり、やがて楽しみになっていった。
そして今までの関係がかわった決定的なキッカケが、小学校6年生の修学旅行だった。
座席も近かったのと、お互い気心が知れた仲だった私たちは、自然と同じグループになった。その打ち合わせや下調べを一緒にやっていた放課後の図書室。
誰もいなく2人だけだった時に、私は誠から告白された。顔を真っ赤にして、でも声は少し震えてて、精一杯の感情を込めて「好きだ。付き合って下さい。」とストレートに言われた。
私は迷わずに「はい。」と答えた。私も同じ気持ちだったから。もし誠がこのタイミング告白してくれなかったとしても、修学旅行前に私から告白しようと思っていたから。