表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
類魂  作者: 嶋恭作ニ
第一章 運命の人
9/45

9. 危機

恭作と優子の恋愛が益々深まっていた付き合い後2年近くになる頃、危機はいきなり訪れた。

'社内恋愛はバレてないと思っているのは当事者だけ'という格言があるように、本人たちは気をつけているつもりでもバレバレだった様だ。


それは恭作が開催した'社内報奨金還元パーティー'(恭作のチーム開発商品が大ヒットした事に対する賞金を皆んなで飲んで食って使おうという主旨)での事、普段行けない様な高級焼肉店で大盛り上がりの中、それこそ’宴たけなわではございますが’というアナウンスが入ろうかというくらいのタイミングで比較的仲の良い(少なくともそれ迄はそう思っていた)Kからいきなりき全員に聞こえる様な大声で言われたのだ。

「恭作さん、優子さんと付き合っているんですか?」

自分の脳からサーっと血が引くのを感じた。宴会全体もこのKのKY発言に雰囲気が凍りついた。勿論否定はしたが

「そんな事ないでしょ。すごい噂になってますよ、皆んな知ってますよ」とたて続けのKY発言。この連打にノックアウト寸前の恭作にタオルが投げ込まれ終了のゴングが鳴った。

「おい、K。もうそれくらいにしておいてやれよ。」

とSからの発言。そしてそれをきっかけに宴会はお開きとなった。


後で冷静に考えれば、’そうか、そりゃあバレるよな’という程燃え上がっていたが恋に夢中な恭作と優子にはわからなかった。恭作も賛否両論的な人間で熱血指導がパワハラに取るスタッフもいたし、優子も女子社員とは付き合いが薄くその割にすぐ入社後抜擢され敵が多く悪い意味であっという間に噂は広まった。

恭作が賛否両論で味方も敵も多かったというのは次に書く事情だ。彼が開発して特許を取った商品が爆発的に売れて、その利益でバブルの時に本社工場移転をした時の不動産売買の失敗で数百億円の損失を出した会社を倒産の危機から救った。その功績が認められて47歳という若さで役員に昇格したからだ。その時の社長は当時65歳で恭作を可愛がって二階級特進人事で役員にしたが、次の次の社長の座を狙う50歳代前半の役員達は戦々恐々としていた。この不倫暴露事件の時、次期社長は恭作の10歳年上の人に内定していて、恭作は51歳で常務まで昇進している為に次々期社長候補の本命と噂されていたからだ。


このころの恭作は自分の会社規模程度ではドラマに出てくるような派閥とかドロドロしたものはないとたかをくくっていた。しかし実際はそうでなかったと知ったのは相当後の話だった。一方で1人ダントツで若くして役員になった恭作に対する嫉みは大きかったらしく、色々な輩が足を掬おうとしていたと後に聞いた。特に恭作の翌年に役員になった6歳年上のO、その少し後で役員になったM辺りは社長を取り巻いてある事ない事吹聴していたようだ。水面下でそういう出世競争があったとは全く知らない恭作は何も気にせずにのびのびと恋愛と仕事とに励んでいた訳だ。当然そういう連中に恭作の事をチクる輩がいても不思議では無い。Kもその1人だったんだろう。


とにかく,恭作はそのパーティー後すぐ優子に電話して'ほとぼりが冷めるまで会うのを控えよう'と提案した。しかし優子はそれには大反対だった。優子としてはそのまま別れる事になると思ったからだ。恭作としてはそんなつもりで提案したのでは無いのに無意識のうちに会社での立場の護身に入ってしまった。付き合って2年弱で最初で最後の大喧嘩をしてしまった。


-続く-



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ