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類魂  作者: 嶋恭作ニ
第三章 第二の人生へ
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44.X-day

5月になって愛奈の配属先も決まり計画第一段階=一人暮らし開始は無事終了した。

母親は'通おうと思えば通える距離なんだから家から通えば?'と不満気だったが、満員電車通勤の辛さとか、残業や遅番の時の不便さなどを並べたててなんとか説き伏せた。もちろんこの時点で母親は恭作まで完全に出ていくとは知らないが、京都で定年後の仕事をする為に数ヶ月はいなくなる事は知っていた。


「猫ちゃんはどうするのよ?」


「私が飼い主なんだから引越しして落ち着いたら連れていく」


これに対して母親は何故か余り不満を言わなかった。愛奈は内心ホッとしたが'やっぱり母親めは猫が余り好きじゃなかったんだ'とも思った。


一人暮らし先は新築のワンルームマンションの2階でもちろん猫飼育可、配属先沿線である中央線のとある駅から徒歩3分という好条件だった。それから1ヶ月も経たないうちに仁美さんのアドバイス通りに精神科の医師からパニック症候群は治っているとのお墨付きをもらった。'やっぱり母親いないと楽だわ。一緒にいるだけでメンタルおかしくなっていたもの。パパも早く脱出させなきゃ'と実感していた。


ちょうどその頃、恭作が優子の家に泊まっている日に訪問したいと愛奈からメールが来た。優子は戸惑っていたが'向こうが来たいといってきたんだから良いんじゃない'という恭作の意見で大歓迎した。夕食を共にしたが酒も結構飲んで盛り上がった。最後は泊まっていけば?という事になってかなり夜遅くまで3人で飲んだ。恭作は娘がいつの間にか自分より酒が強くなっている娘を見て大人になったなと感心し、優子との相性も良いみたいでそこも嬉しかった。ここの関係ももしかして何らかの魂のつながりがあるのかな?とも思ってしまった。そう言えば仁美さんが愛奈を鑑定中に優子の事を「グランマっていう感じでしょ」と言ったらしい。これって⁇とも思ったが’まさかね'と自己否定した。


計画の第二段階も順調に進み愛猫も新しいマンションに馴染んでくれた。後は第三段階の離婚を切り出す日を残すのみとなり、その日をX-dayと3人(恭作と優子と娘)の中で名付けた。

X-dayは6月末の定年退職日のとした。そこで京都に引越すという架空の設定だ。その日は恭作にとって人生の中で一番怖かった日かもしれない。それ程緊張していた。


-続く-


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