28.高校生活
愛奈のチアダンス部活動を中心とした高校生活は帰宅部だった中学生時代とは180度違ってとても充実していた。部活は身体的にはキツかったが精神的には楽しかった。入部5ヶ月後の新人戦ではベスト3に入り、秋の全国大会では創部初の全国優勝まで果たした。チアダンス部のメンバーは一気に学園のアイドル化し、クラスで数人のチアダンス部の娘達は「一軍女子」となり、中学生時代はクラスでも目立たない方で友達も多くない地味だった愛奈もその一軍メンバーとなった。
「何だよ?その一軍メンバーって?」
部活終わりの足腰マッサージをしながら恭作は愛奈に聞いた。
「えっ?パパの時代はそういうの無かったの?要するにクラスの人気者でリーダー格みたいな人達の事だよ」
「そういえば確かにあった。俺は小学生低学年の時には小児喘息持ちで運動できなくて仲間ハズレ気味だったのが、高学年になって喘息が治って中学ではサッカー部に入って都大会優勝したら一気にそういう感じになったっけ」
このマッサージによる父娘のコミュニケーションは部活をやっていた2年の間続き、母娘に対する愚痴から仲の悪さの実態もこの事から知った。
愛奈としては'普通、娘に対する母親の態度とはこんなもんだろう'と諦めていたのだが、高校生活で出来た親友達(特に部活関係)の話を聞いたり、その親友の家に遊びに行ったりして母娘のやり取りを実際に見ると'ウチの母親はおかしい'と思い始めた。'チアダンスに対してももそうだが、母親というものはもっと娘に興味を持ちウザい位かまってくるものなんだなぁ。ウチはその役割をパパがやっている。'
そうこうしているうちに約2年間の部活生活を終える時がきた。部活は系列のN大以外の大学受験するものは3年生の4月で引退することになっていて、愛奈はその受験希望組だった。
恭作のマッサージタイムは家庭教師タイムへと変わり、相変わらず父娘のコミュニケーションは良好だったが、まさかの受験失敗(全落ち)となってしまった。
こうなると進路の方法は3択で
1. 二次募集の別の大学を受験するか、系列のN大系列に内部進学する
2.浪人して来年希望大学を目指す
3.専門学校に進学して、そこから希望大学への編入を目指す
だが、愛奈は3を選択した。
ここが彼女にとって「人生の岐路」だったのかもしれない。そして恭作にとっても・・・
-続く-




