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類魂  作者: 嶋恭作ニ
第二章 もう一つの運命
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27.チアダンス

愛奈は意気揚々と高校の門をくぐった。後から慌てて恭作と妻が追いついた。


「愛奈、今日は張り切ってるなー!気合い入り過ぎじゃない?」


「パパ、そりゃあそうよ、憧れのNA高校に入れて、その入学式なんだから」


「私は目まいしそうだから先行ってて。今めまいの薬飲むから」


「ママはちゃんと薬飲んできてよ。じゃあ私は新入生の集合場所に行くね。親は直接会場の体育館に行けって書いてあるわ。後でね」


愛奈の3年間の中学時代は黒歴史と言いたい位だった。

部活はやらず、いわゆる帰宅部で仲間も少なく親友と呼べる友達も少なかった。小学生の時に通っていたピアノ教室も公文も辞めてしまった。唯一の楽しみは代わりに通い始めたダンス教室だった。

'大好きだったパパは単身赴任で京都に行っちゃったし、ママはメニエール病でいつも機嫌が悪いし、ママのお気に入りのお兄ちゃんは大学生活を満喫してあまり家にいないから私に当たり散らすし・・・夕食もママと二人だとロクなもの出てこないし、まるでアニメ「わたしんち」のお母さんの作る竹輪だけのオカズだわ'

と恭作によく愚痴っていた。

愛奈の通っていたダンス教室はあまり本格的なもので無く、大会には基本的に出ないし年に一度の発表会がある位のゆる〜くやっている所で中学生の愛奈には心地良い教室だった。ダンスの種類はいろいろあり、ジャズダンス、ヒップホップ、チアダンスなどだが、特に愛奈のお気に入りはチアダンスだった。

'絶対に高校進学したらチアダンスのチームが有名な所に入るんだ'と心に決めていた。自宅からそこそこ通える範囲にあるチアダンスの強豪校はNA高校だけで、そう決心した中学2年生の時の愛奈の成績では少し難しかった。


「パパ、私の家庭教師やってよ。パパは理系だから数学と理科は得意でしょ。あと英語もできるんだよね。月一の帰って来た時と連休の時によろしくね。NA高校絶対入るんだから」


恭作は内心嬉しかった。これくらいの年になると父は娘からウザいと言われて敬遠されるとよく聞いていたからだ。これは張り切りざるを得ないと勿論喜んでやり始め、中学3年の時の受験が迫って来た頃は帰宅回数を増やした。元々優子の所には月に2回は帰って来ていたので簡単だった。

そんな事もあって娘の入学式は恭作にとっても感無量だった。


愛奈は宣言通りチアダンス部に入部した。全国大会出場の常連で、「入部して脱落しなかった部員は1年生の8月から全員一軍で大会に出場する」という顧問の方針だったので、入部早々のトレーニングや基礎練習はかなり厳しいものだった。数週間以内で脱落する者も多かったが愛奈の同期は愛奈を含め15人が残った。

全国大会常連校となると結構父母にも負担がかかった。NA高校は野球を始め伝統のある部活に予算を回すが創部10年目のチアダンス部には金も練習場もまともに与えてくれなかった。父母への負担は金銭面だけじゃ無く、年に5~6回ある大会参加(応援席の場所取りなど)で早朝から出かけたり、その他父母の会合(飲み会など)もあった。父親がそこまでするのは恭作を含めて4~5人だったが母親はほぼ全員参加していた。恭作の妻はその活動にあまり乗り気では無く、大会の席取りは参加したもののその他の活動は恭作が一人で参加していた。


いきなり入部3ヶ月目に大阪遠征があり親同伴必須の自由参加(出場するのは3年生のみで自由参加の下級生はけんがくと応援)だったが、恭作の関西出張が上手く重なって行く事が出来た。予備日には一緒にUSJにも行った。

「泊まる所はパパが良く泊まるビジネスホテルで良いの?シングル2部屋取ろうか?」

「いいわよ、一部屋で。親子なんだから」

恭作が嬉しかったのは言うまでもない。


こんな感じで愛奈は父親ベッタリになって行き、逆に母親とは疎遠になっていった。


-続く-


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