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類魂  作者: 嶋恭作ニ
第一章 運命の人
15/45

15.夜逃げ

優子はアンジェラと会っていた。


「前から言っていた様にマンションが契約出来たので夜逃げして離婚しようと思うの。そこでアンタにちょっとだけ手伝って欲しいんだ」


「姉さん、マンションがキャンセルになったって落ち込んでたのに良くまた見つかったね。私は暇だからいつでも手伝うよ」


「ルパンが頑張って見つけてくれて、訳ありで安いし間取りも良くてペットも飼えるんだよ。駅からは徒歩10分ちょっとかかるんだけどね。それで手伝って欲しいのは夜逃げなんだけど・・・」


優子の夜逃げと離婚計画はこうだ。

まず数日前から段ボールに引っ越す荷物を入れてなるべく自分の部屋に隠しておく。但し量は部屋に隠しきれる最小限に留めておく。

平日、夫は7時半には会社に出かけていくので、引っ越し屋は平日朝9時に来てもらう。そして素早く段ボールに詰めた荷物だけの引っ越しを完了するという手筈だ。


「あいにくその引越し予定の日はルパンが出張で関東にいないの。それでアンタに引越しの手伝いをして欲しいのよ。夜逃げじゃ無くて朝逃げで早い時間でごめんね。」


「私は全然大丈夫だけど姉さんのダンナはダンボールに気がついたりしないの?」


「アイツは自分の部屋に引きこもっているので私の部屋の段ボールには気づかない筈。この計画の最大の問題点は夫がなんらかの理由で会社に行かないというパターンになった時なの。そうなった時は修羅場も覚悟するけど多分大丈夫。病気でもない限り仕事休むの見たことないから。

あと、引っ越しの日の夕方にルパンが地方出張から帰って来るので私と都内で落合い、そのまま二泊三日の小旅行に行くの。万が一、引っ越し屋などから引越し先がバレて夫が乗り込んで来ても大丈夫という作戦よ」


「ラジャー!さすがルイ姉さん、バッチリだね。本当にキャッツアイみたいでドキドキするわ」


結局、作戦は計画通り事が運んで、その日の夕方優子と恭作は小旅行に旅立った。さすがに夫からはメールがじゃんじゃん来たのだが、電話は着信拒否してシャットダウンしてメールだけで対応した。未練がましいメールだったが

'何年も会話が無いどころか顔も見せないのに今更何言ってんのよ!'

という内容を返して無視した。小旅行から帰った後も勤め先は変わっていないのだから、会社帰りの待ち伏せするとか興信所に調査を頼むとか夫にしてみればいくらでも優子の居場所など探せ出せたはずだが、幸いその心配は一切不要だった。それだけ優子の事は思っていなかったのだろう。その後、優子の母親から向こうの両親に連絡を入れたりして夫の説得の中に入ってもらい、なんとか離婚にこぎつけた。


-続く-


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